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「ジャパニーズ・ブランデー」を勝手に定義!《和製ブランデー④:最終回》

■前回からの続きです

ジャパニーズ・ブランデーのブームを妄想する4回目(最終回です)。

◇前回までのおさらい

クラフトウイスキーの蒸溜所が急増している。
クラフトワイナリーも急増している。

クラフトワインと、蒸溜技術(蒸溜設備)が結びつけば、令和のジャパニーズ・ブランデーが誕生し、人気になる可能性もあるのでは?

クラフトウイスキー蒸溜所が、ワインを調達してブランデーづくりに参入する場合、ウイスキー用のポットスチルでも、ブランデーをつくることができるだろう。

その場合、ワイナリーのヤンチャすぎて使いづらいワイン原酒を、蒸溜所へ融通できれば、両者がハッピーになるだろう。

ここまでが前回までのお話です。

今回はまずは、ヤンチャな原酒(醸造酒/蒸溜酒)再蒸溜することで価値を再生した事例をご紹介します。


■ヤンチャ原酒の再生事例①

《事例①》 ウイスキー原酒の再生
         ↓
     カバラン ジントニック缶

台湾プレミアムウイスキー「カバラン」から缶RTD、日本酒類販売が6月発売 | WANDS (wandsmagazine.jp)

カバラン蒸溜所は、そのウイスキーが世界的に超高い評価を得ています。
シングルモルトの発売は2008年が初めてですが、もはや老舗の風格を漂わせている台湾のウイスキー蒸溜所です。

常識を疑え!! 台湾のウイスキー!|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com)

ここでは、カバラン・ジンや、ジントニック缶も製造しています。
元々が、金車グループという飲料メーカーなので、ジントニック缶とかはお手のものでしょう。

で、ここで使われているジンのベーススピリッツですが、「シングルモルト用に木樽熟成させたモルト原酒」で、ヤンチャすぎる原酒「再度蒸溜したもの=モルトスピリッツ」なのだそうです。

木樽熟成で琥珀色になった原酒も、再度蒸溜すると再び透明になります。

この場合、2回蒸溜してモルト原酒をつくって木樽熟成。それを再度蒸溜するので、3回蒸溜していることになります。

(カラバンの)ジントニックは、ウイスキーと同じ原料のスピリッツにジュニパーベリーや6種類のボタニカルを漬け込んだジンを用いている。(中略) 麦芽100%、3回蒸留の貴重なスピリッツです。

ウイスキガロア Vol.27 AUGUST 2021 P95-96
発行:ウイスキー文化研究所

ちょっと裏技的な製法ですが、世界的に評価の高いカバランのシングルモルトがベーススピリッツになっていると聞くと、非常にスペックの良いベーススピリッツを使っていることになりますよね。

イメージでは、山崎とか白州の原酒を「再蒸溜」して、ジン(翠とかROKUとか)のベーススピリッツに使うって感じです!

なんかスゲー!


■ヤンチャ原酒の再生事例②

《事例②》 ビール原酒の再生
        ↓
    木内酒造 不良ビールの再生

具体的には、

 賞味期限の切れたビールを、蒸溜して再生!
      ↓
  ①  ジン
のベーススピリッツに!
  ②  医療用アルコールに!

これはニュースでご覧になった方もいるかと思います。

コロナ禍で、飲食店向けのビールが全然売れなくなった2020年春。

木内酒造(日本酒、ビール=常陸野ネストビール、ウイスキー=日の丸ウイスキーなどで有名な総合酒類メーカー)が、飲食店や、キリンビール・アサヒビールから日付が経過してしまったビールを譲り受け、それを蒸溜することで価値を再生した事例です。

◇パターン① ジンへ

飲食店で非常事態宣言によって営業できず日付が経過したビール
→ジンへ!

コロナ禍で売れ残ったビールをジンに 酒造会社が無料で蒸留 - CNN.co.jp

◇パターン② 医療用アルコールへ

キリンビール・アサヒビールで出荷できず日付が経過したビール
→当時、超絶不足していた医療用アルコールへ!

ビールは蒸溜酒? 醸造酒? ビールの製造方法を解説|たのしいお酒.jp (tanoshiiosake.jp)

(医療用アルコールも、飲料用アルコールも製法は基本的には一緒です)

このように、持て余したヤンチャな原酒が「蒸溜」によって、別のお酒に再生されることは、結構あることなのです。


■これを日本のクラフトウイスキー/クラフトワインに当てはめると・・

ウイスキー蒸溜所もワイナリーも増えまくっているので、いつかは飽和します。

将来のその時に

・市場飽和で「ウイスキー原酒の在庫」が積み上がった蒸溜所

・市場飽和で「日本ワインの在庫」が積み上がったワイナリー

が協業するということは、あるのかも知れませんね!

特に、日本ワイン(※)を蒸溜するのであれば、ブドウは「100%日本国産」なので、国内外へ特色をアピールしやすいと思います。

※ 日本ワインとは
日本ワインの基礎知識 | 日本ワイナリー協会 (winery.or.jp)


■そのためには

まずはブランデーの認知向上が必要です!

今、ブランデーを飲む人って、ほとんどいませんよね。
正直、私もまず飲むことがありません。

バブル期(とその後しばらく)は、ブランデーは

お金持ちが 高級ラウンジで、
ヘネシーをメロンに注ぎ入れて
食べる(飲む?)。

というちょっと変な飲み方(食べ方?)がありました。

私も若かりし頃、ラウンジでこの飲み方をやっている人を見て、「何やってんのこの人!?」と思った記憶があります。

下記のLEONのサイトから転載

ブランデー×マスクメロンで作るオトナの酒スイーツ簡単レシピ。 | グルメ | LEON レオン オフィシャルWebサイト

これはこれで「大人のデザート」で紳士のタシナミなのでしょうが、ブランデー文化をウイスキーのように復活させるには、ブランデーの味わいそのものをアピールしないといけないでしょうね。

そのためには、日本国産ブドウを100%使用したブランデーを、
「ジャパニーズ・ブランデー」
「ニッポン・ブランデー」
と呼ぶようにするなり、呼称を設定する必要があるかも知れません。


■以上で

ジャパニーズ・ブランデーへの空想(全4回)を終了します!

早く誰か、超センスのよいジャパニーズ・ブランデーをつくらないかな?
(もうつくっている人もいそうですが・・・)

4話に渡っての長い妄想へのお付き合い、ありがとうございました!


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