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世界の5大ウイスキーと、日本のウイスキーのルーツ

■世界に冠たるスコッチウイスキー

ウイスキー。その発祥は、スコットランドともアイルランドとも言われますが(現在はアイルランド説が優勢っぽいですが)、現時点で、ウイスキーといえば、やっぱり「スコッチウイスキー」が、メジャーです。

それは、他の国のウイスキーに比べ、スコッチウイスキーは、圧倒的にNo.1の流通量であり、伝統的なモルト蒸溜所の数でも他国を圧倒しています。
シングルモルトウイスキーのブランドとしても、グレンフィディック、グレンリベット、マッカランをはじめ、名前を挙げはじめたら、きりがありません。

簡単にいうと、「伝統・質・量」のすべての観点で、スコッチウイスキーは、ちょっと別格ということになります。


■5大ウイスキーって?

ウイスキーには、5大ウイスキーという表現があります。
これは、ウイスキーのメジャーな生産国の5ケ国を指す言葉です!

ここでいうウイスキーのメジャーというのは、「伝統」「国際的な流通」という観点を含むので、台湾のように「2000年以降に開設された新進気鋭の新しい蒸溜所」とか、インドみたいに「地元じゃメッチャ飲んでいるけど、国際ブランドではありません。というか正確には、ウイスキーではなく、色のついたラムのような・・・」というケースは、含んでいません。

ただ、最近は、この台湾とインドに、超本格かつクオリティの高い蒸溜所ができ、その2ケ国を含んで、「7大ウイスキー」と表現する場合もあるようです。

少々、講釈が長くなりましたが、5大ウイスキーとは、以下の5ケ国です!

・ウイスキーの本場『スコットランド』
・ウイスキー発祥の地ともいわれる『アイルランド』(スコットランドの隣り)
・スコットランドやアイルランドからの移民がウイスキーをつくりはじめた『アメリカ』
・そのアメリカからの移民がウイスキーをつくりはじめ、アメリカ禁酒法の時代に一気にシェアを高めた『カナダ』
・鳥井信治郎(サントリー創業者)が、竹鶴政孝(ニッカウイスキー創業者)を工場長に据えて、本邦初のウイスキーづくりをはじめた『日本』

みなさん、思っていた5ケ国と合っていたでしょうか??


■農民とお酒づくり

この5大ウイスキーの中で、圧倒的に時間差があり、最後にウイスキーをつくりはじめたのは日本です。
また、日本以外の4ケ国は、移民などで多かれ少なかれスコットランドと関係があり、ウイスキーづくりについては、ウイスキーづくりを知る農民が、余剰穀物から「自分たちで飲むため」に、つくりはじめました。

ちなみに、日本酒は、米農家が余剰穀物でつくっていた「どぶろく」を発祥とします。その点では、他4ケ国の農民のウイスキーづくりと発祥は似ていると思います。
また、ウイスキーや日本酒に限らず、世界中において、初期のお酒づくりは、農民が「自分(やその知人など)で飲むために」、つくりはじめたケースが多いようです。


一方で、日本のウイスキーは、かなり立ち位置が違います。

鳥井は商人の息子ですし、竹鶴はつくり酒屋の息子です。
そして、鳥井は13歳から丁稚奉公で働き、のし上がった苦労人の商売人。竹鶴は、大阪大学(当時は大阪高等工業学校)の醸造科で学び、酒類会社へ新卒入社したインテリ層です。
どちらも農民とは縁がありません。

日本のウイスキーづくりは、農業由来ではないのです。


■産業としてはじまった日本のウイスキーづくり

日本のウイスキーづくりは、鳥井信治郎が『産業』として、立ち上げたビジネスです。
鳥井がウイスキーづくりを発表した1923年は、日本の食卓もいよいよ欧米化が進み、ビールも大いに流通するようになった時期になります。

まだ流行っていない(翠のCMみたいですが)が「ウイスキーもビールのように流通するようになるだろう」、「それどころか日本酒すら将来的に抜くかも知れない」という鳥井の商才チャレンジ精神。

サントリージン 翠 SUI (suntory.co.jp)
SUNTORY  HP

そして、のちに日本初の国産本格ウイスキー白札のポスターに書かれている文言「断じて舶来を要せず」に代表される、「外国品には負けていられない。良質な国産品で輸入品に勝利し、日本が世界の一流国と肩を並べられることを内外に示し、外貨流出を防ぐのだ!」という鳥井の明治男の心意気。

この気概こそが、鳥井を、無謀ともいえる『産業としてのウイスキービジネス』への参入を決意させ、他の4ケ国のウイスキーとは異なる「農家基点」でなく、「産業基点」での、「ウイスキーづくりの興り」となりました。


■後発のウイスキーづくりだからこそ

最後に話が脱線しますが、日本のウイスキーは、鳥井がウイスキーづくりを発表した1923年にスタートを切ります。(来年で100周年!)

後発なだけに「産業」としてのスタートという、他の4ケ国のウイスキーの「農業基点」との違いをお話ししましたが、もう一つ、時代背景として、大きく異なる点があります。

それは、その時すでに、スコッチウイスキーは『ほぼブレンディッドウイスキーしかなかった』という点です。
ブレンディッドウイスキーは、「ブレンディッドウイスキー(グレーンウイスキー)はウイスキーではない!」の訴訟にグレーンウイスキー業者側が勝訴した1909年以降は、完全にウイスキー界の主導権を握ります。

そのため、地酒として農民が飲むウイスキーとしてスタートした他4ケ国と比較して、産業として、洗練されたブレンディッドウイスキー時代にスタートした日本は、ウイスキーに対するスタンス・考え方が異なります。
これについても。いつか記事化したいと思います!

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