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ウイスキーに書いてある「プルーフ(PROOF)」って何だ?

■PROOFの日本語訳は?

ウイスキーボトルのラベルには、PROOFという文字が、数字とともに記載されていることがあります。

英語のPROOFという単語は、どういう意味でしょうか?

◇PROOF
①証明・証拠
②試験・吟味
③(アルコール飲料の)標準強度

③の「アルコール飲料の標準強度」というのはちょっとわかづらい辞書的な表現ですが、簡単に言えば、「アルコールの強さ」のことです。

ここで手元にある、ジムビームのラベルを見てみます。

◇ジムビーム
40% ALC / VOL     (80 PROOF)


これは、

アルコール度数 = 40% = 80プルーフ

という意味です。

ただそれにもしても、proofの「証明」という意味と、「アルコール飲料の標準強度」という意味は、かなり違うように思います。

しかし、その歴史を振り返ると、「なるほど!」と納得できます!

今回はこの「PROOF/プルーフ」についてご紹介します。


■米国プルーフと英国プルーフ

アメリカ式のプルーフと、イギリス式のプルーフは、少し異なります。
結論から言うと、以下のような違いとなります。

◇米国 80プルーフ
 = アルコール度数 40%

◇英国 80プルール
 = アルコール度数 45.7%

◇米国プルーフ × 0.5 ⇒ アルコール度数
◇英国プルーフ × 0.571⇒  アルコール度数

米国プルーフは、その値を半分にしたら「アルコール度数」となりますから、わかりやすいですね。

英国プルーフはちょっと面倒なので、私の場合は、同じプルーフの値でも、
「英国プルーフは、米国プルーフより1割ちょっとアルコール度数が高い」
と、ざっくりで覚えています。

今回は、「米国プルーフ」をベースにお話しします。


■アルコール強度としてのプルーフが誕生する背景

余剰穀物からつくられる農民のお酒だったウイスキーは、ビールなどと比べその保存性の高さから、「自家消費」からやがて「農民の貴重な現金収入源」となりました。

そして、次第に貨幣経済の中へ組み込まれ、市場に流通するようになります。

その時に重要になるのが、そのウイスキーの「品質」です。

このウイスキーの品質を判定する基準の中で、最もわかりやすい基準の1つがアルコール度数だったのです。


ちなみに、アメリカではじめてウイスキー税が導入されたのが1791年。

◇ウイスキー税とアメリカ・ウイスキー戦争

アリメカはイギリスとの独立戦争(1775年~1783年)を終え無事に独立できたものの、戦費負担位よる経済的危機を脱するために、政府はウイスキー税を導入。

これには、「独立戦争を政府と一緒に戦った俺らから、よりによってウイスキーに課税して、税金をむしり取るんかい!」と民衆は大反発!!

ウイスキー戦争と呼ばれる大反乱となり、それを抑え込むために派遣された合衆国政府からの軍隊の人数は、アメリカ独立戦争の時を上回るほどでした。

ウイスキー戦争については、いつか別途で記事化したいと思います!

話を戻して、このアメリカで最初のウイスキー税が導入された頃には、すでにアルコール比重計があって、徴税官は比重計でウイスキーの正確なアルコールプルーフを測っていました。

では、アルコール度数を測定するための比重計がない時代は、どのようにしてそのアルコール濃度を測定したのでしょうか?


■アルコール濃度の測定

このアルコール濃度の測定は、比重計のない時代は非常に困難であり、生産者そして徴税官の悩みの種でした。その中で色々な測定方法が試されました。

◇アルコール濃度の測定

《事例①》
アルコールを含んだ液体を、ムチャクチャかき混ぜて泡立てる。
 ⇒ その泡が消えるまでの時間を測定
    ↓
泡が消えにくい=水よりも粘度が高い=アルコール度数が高いと判断

《事例②》
アルコールを含んだ液体の重さを測る。
 ⇒ 加熱してアルコールを蒸発させる
(沸点の低いアルコールの方が水より先に蒸発)
    ↓
再度重さを測って、蒸発して軽くなった分を「アルコール分の重さ=量」と判断

など、色々試しますが、その中で、17世紀ごろから。比重計が発明されるまでこの測定方法が主流となります。

◇アルコール濃度の測定
《事例③》
アルコールを含んだ液体に、同量の火薬を混ぜて、火をつける!
 ⇒ 炎が揺らめくように保たれたら
    ↓
アルコール度数の強度が証明(プルーフ)されたと判断

アルコール度数のことを、「プルーフ=proof=証明」という語源はここにあるのです!

ぱちぱちと火花が出るだけで、炎がつかず消えてしまうならアルコール濃度が低い証拠なので、その酒は「アンダー・プルーフ(u.p.)」=「標準強度未満」と判定されました。

逆に、炎がたき火のように上がれば、「オーバー・プルーフ(o.p.)=「標準強度以上」とされました。


この点火の検証の中で

アルコールを含んだ液体の中の「アルコール含有量」が体積の50%前後
 ⇒ 一定の強さの炎が上がる

ことが確認されました。そして、

《アルコール含有量 = 液体の体積の50%
 ⇒ 標準であることが証明(プルーフ)された 
 ⇒ 100%標準(proof)であると証明された
 ↓
米国100プルーフ = アルコール度数:50%

となっているのです!


■次回は

アルコール度数=プルーフについて、さらにマニアックに掘り下げてみたいと思います。

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