《焼酎 vs ウイスキー》 蒸溜器の違い=減圧蒸留とは? 『ニッカ・ザ・グレーン』⑧
■「ニッカ・ザ・グレーン」について解説する8回目です。
「焼酎もウイスキーも同じ蒸溜酒なので、焼酎用の単式蒸溜器でも、(できあがる酒質は別として)ウイスキーをつくれますよ!」
「そうはいうものの焼酎とウイスキーの蒸溜器には違いがいくつかあって、最大の違いはその材質!」
というお話をしました。
今回は、焼酎独特の蒸溜方法である『減圧蒸溜』についてご紹介します。
■焼酎では減圧蒸溜も可能
お酒に詳しい方なら、焼酎の蒸溜方法には「常圧蒸溜」と「減圧蒸溜」があることを、ご存じだと思います。
減圧蒸溜は、焼酎の世界に革命を巻き起こし、
の2パターンから
という新しい3つ目のカテゴリーを生み出しました。
本格焼酎ブームが到来した背景には、こういった減圧蒸留の普及もあったのです。(本格焼酎の消費のピークは平成19年=2007年。)
ちなみに、プレミアム焼酎の中で一番有名といっても過言ではない
「芋焼酎・魔王」も減圧蒸溜
でつくられています。
ただ、「常圧と減圧のどちらが優れているか?」という話ではありません。
通常、焼酎蔵元はこの「常圧蒸溜」と「減圧蒸留」を、目指す焼酎の味わいに合わせて使い分けています。
■減圧蒸溜器の発明は福岡県の日本酒メーカー
今回、減圧蒸溜について調べていて、それが福岡県の日本酒メーカー(焼酎もつくっている)『喜多屋』さんであることを初めて知りました。
ゆったり焼酎日和 | 減圧蒸留機は日本酒蔵からって知ってた? | 九州焼酎島 (44471.jp.net)
喜多屋さんでは、この「減圧蒸溜器」について『特許』をとっておらず、焼酎業界発展のために、蒸溜器メーカーに無償でこの製造・販売を許可しているそうです。
凄いですね!
■ウイスキーで、減圧蒸溜が導入されない理由
銅は、「柔らかく加工しやすい」ので、当初からウイスキーの蒸溜器の素材に採用され、その銅が「ウイスキーを美味しくする」ことが経験則としても、科学的にも証明されてきたので、今も昔もポットスチルは銅製です。
ただ、「柔らかく加工しやすい」性質の銅製のポットスチルでは、『減圧に耐えられない』そうです。
もし減圧処理を施したなら、『バコン!!』と凹んでしまうことになってしまうようです。
そのため、ウイスキーの蒸溜では、減圧蒸溜は導入されて来ませんでした。
ちなみに理論上では、標高で高いところでは気圧が低くなるので、そこで蒸溜をすれば、減圧蒸溜と似た効果が得られるはずです。
(実際の減圧蒸溜ではかなり気圧を下げるので、標高が1,000mくらいでは、それと比較すると効果が薄いですが、味わいに一定の影響を与えると思います。)
以前に記事化しています↓
山だぜ日本! ジャパニーズウイスキーの可能性!!|チャーリー / ウイスキー日記|note
■話は戻ってニッカ・ザ・グレーン
ニッカ・ザ・グレーンでは、焼酎蒸溜所の原酒としては、「2工場・3原酒」が使われています。
ここで、「減圧蒸溜」×「ウイスキー」は、存在しているのでしょうか??
きたー!! 門司工場! 「減圧蒸溜」×「ウイスキー」
そして、やっぱり味わいは「すっきり」しているのか??
やっぱり、減圧蒸溜の原酒は味わいが、「すっきり」しているそうです!!
ただ、すっきりの要因は、蒸留器のサイズをはじめ他の要因も、色々と影響していると思います。
■次回は
《焼酎vsウイスキー》蒸溜器の違いの3つ目、「加熱方式の違い」についてです!
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