[観劇]ミス・サイゴン

　先日、久々の観劇。帝国劇場は満席で補助席も加わる大盛況。コロナ以降久しく聞いていなかった万来の拍手。日本で30年目を迎える名作は圧巻であった。

　名物の大掛かりな舞台装備。場内全体に響き渡る音響。洗練された俳優達による目を楽しませる踊り。そして朗々たる歌声。商業ミュージカルの頂点の一つとして見応えたっぷりだった。

　エンジニア役の市村さんは彼の年齢の為か動きがやや小さく声量の絶えはある。しかし、見せ場のアメリカンドリームでは中年男の哀感を漂わせながらも、周囲を従える見事な存在感で踊り上げ、ミュージカルの素晴らしさを存分に味わえた。

　キム役の高畑さんは掛け値無しに素晴らしい。テレビ等で演技は見ていたが、子を守る母を演じ情感たっぷりに歌うシーンは、歌い進むにつれ彼女の目が潤み涙も浮かび、役が取り憑いた様。見せ場での声量もたっぷりで、いいものを見せて貰った。

　正に時の経つのがあっという間だった。