人の育て方の、コンセプト。
会社で電話に出ると.『新しく担当になりました、〇〇社の○○と申します~』。そんな感じのものを受けることも多々あります。年度末から今ぐらいの時期までは特に多いように思います。会社によってもまちまちではありますが、定期的に担当の方が変わるという会社もあれば、やんごとなき事情によって頻繁に担当が変わる会社、そして、組織体制までもまめに変える会社もあります。個人的な買い物であれば、自分自身の求める商品やサービスの視点で決めることも多いですが、こと仕事においては、担当者によって意思決定や、社内への展開も変わってくるため、『どの方』と仕事をするかという観点でお声かけすることもあるように思います。
その、新しい担当の方とお会いしたときに、『あぁ、○○社さんらしいなぁ』という風に感じる方もいらっしゃれば、『○○社さんって、こんな方もいらっしゃるんだ』と、感じることもあります。今回の本の著者、越智 通勝さんが創業された、エン・ジャパンの方々は後者のイメージが強いように、個人的に感じていたのですが、この本を読んでその理由に納得しました。
本のタイトルにも出てくる、CSAとは、Career Select Abilityの略だそうです。このコンセプトこそが、エン・ジャパンの人材育成のコンセプトとのことで、考え方から、自社の評価制度との関連まで、事細かに記載されています。そこまで書いてしまって大丈夫なのかと思ってしまうほどに、ノウハウが凝縮されています。
会社の中の人材育成という部分では、会社が事業のために必要な人材を採用し、自社の事業に必要な能力を開発していくという考え方が、従来の日本では強かったように思います。雇用についても、終身雇用制度というベースの考え方もあり、1社のみのキャリアという方も多い状況であれば、ある意味、当たり前だったのかもしれません。ですが、先行きが不透明な状況になる前から、このようなコンセプトを持っていらっしゃったというのは、かなり先を見通していらっしゃったのだと感じます。時代が追い付いてきたということなのかもしれません。
越智さんは、会長になられてからも、かなりの数の日報に目を通してこられたというエピソードを見ると、会社だけのためではなく、1人ひとりの未来のことにも目を向けていらっしゃった、あたたかい方なのだということも感じました。
エン・ジャパンの経営からは離れられたようですが、バイタリティと、人やビジネスに対する熱い思いがひしひしと伝わってくるような、素晴らしい本でした。社内の育成方法のコンセプトを見直すなどの際にも、ヒントが詰まっています。
『エン・ジャパンの飛躍を支えたCSA経営』
越智 通勝 著 ダイヤモンド社 発行 を読んでの感想