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こころの中で、何かが動き出す瞬間。

 当たり前のことかもしれないけれど、興味のないことに、一所懸命になることは、できません。そして、興味のないことを人に強要するということも同じだと思います。昔から、『こどもが勉強しない』という不平を漏らす大人は多いですし、学校教育は古いというイメージが、私自身も数年前までは勝手に思っていました。そして、先進的なことを学べるのは、一部の私立の、限られた学校だけなのだろうとも。そんなイメージを覆されたのが、この本でも紹介されている、大阪府枚方市にある、香里小学校の生徒たちが作った、CM形式の動画を見る機会があったとき。ワクワクしたのと同時に、うらやましさと、うかうかしていると、世の中に取り残されていくような感覚もありました。

 神田昌典さんのセミナーの中で、ある日紹介されていたのが、先程の香里小学生の生徒たちの作った動画。その動画だけでもすごいと感じましたが、そこに至るまでに、生徒たちがグループを会社として組織して、意見を出し合ったり、考え方を様々な方法でまとめたり。大人がやっている仕事よりもよほどリアリティを感じるようなことや、大人にはないような視点もあったりして、自分自身の問題意識の低さが恥ずかしくなったりもしました。

 世の中の大きな変化の中で、学校教育が大きく変わってきている昨今。この流れを理解しないままに大人が今まで通りの仕事の流れでいたとすると、彼らが大人になって会社に入ってきたときに、間違いなく必要とされなくなるのは、今の大人たちになってしまうと思います。

 ですが、そのこどもたちに、どんな大人が、どんなかかわり方をするかによっては、結局、作業的になってしまったり、模倣的なものになってしまって、あまり良い体験にならなかったという結果につながってしまうかもしれません。

 自分自身に置き換えてみても、ついつい、結論ばかりを意識して、正しい答えや、どうしなければならないかということばかりを考えて、指示していることが多いように思います。結論ありきの仕事であれば、それでよいのかもしれませんが、こどもでも、大人でも、自分たちの頭で考えたことを形にしていく以上に、学べることはないように思います。

 このようなかかわり方は、細かく見ていくと、キャリアカウンセラーが、クライエントに向き合っていく姿そのもの。どんなかかわり方がこれから求められるのか、違う角度から再認識させていただいたように思います。立場や、物事が変わると、大事なことを忘れてしまう。そんなことも改めて教えていただいたような気がします。

 『こころのなかで、何かが動き出す瞬間』を、どのようにサポートしていくか。テクニックだけではなく、多くの大人が、こどもにそのようにかかわっていければ、日本の未来はまたさらに、明るくなるのではないかと、ちょっと未来が楽しみになる、そんな素敵な本に出会えました。


『探求の達人~子どもが夢中になって学ぶ! 「探究心」の育て方』

学修デザイナー協会 執筆

神田 昌典 監修

実業之日本社 発行 を読んでの感想

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