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開催レポート:ジェンダーギャップにアクションする3日間【2020年8月開催】

こんにちは!チャリツモのコンテンツディレクター、ばんです。
突然ですが、みなさんは、チャリツモがなんで「チャリツモ」っていうか知っていますか?

実は、「おもいやり(チャリティ)をつもう」という意味が込められているのです。
だれかを思いやるためには、まず社会で起こっていることを知ること。そして、他者の境遇に想いをはせるための「想像力」をもってほしいと願っています。
そんな理念の下、複雑でむつかしい社会問題を、クリエイティブの力を使って、やさしく伝えるため、チャリツモというメディアをやってきました。

こうして「伝える」ことを大切に活動してきたチャリツモ。
次のステップとして、一緒にアクションをする仲間を増やすために、新たな活動を始めました!

それが、もやもやとした課題意識を具体的なアクションに移すため、チャリツモがこれまで培ってきた、やさしく伝えるポイントをシェアしながら、仲間どうしで背中を押し合うオンラインプログラム「世界を変える私の提言」です。

次世代リーダーの育成をミッションにオンライン・オフラインでの幅広い世代の方に実践機会を提供しているタイガーモブ株式会社とチャリツモがタッグを組んで、3日間ワークショップを実施しました!

「世界を変えるわたしの提言~ジェンダーギャップにアクションしよう」って?

「世界を変えるわたしの提言」では、社会問題をテーマに、構造的な問題や、ひとびとの意識の問題など、議論を通して考えを深め、最終日にそれぞれが「提言」を発表します。

社会問題と言えど、テーマはたくさんありますが、第1回はチャリツモでも「数字とイラストでみるジェンダーギャップ」として取り上げているジェンダーギャップを扱いました。

日本はジェンダーギャップ指数121位。下から数えたほうがずっと高い、ジェンダーギャップ大国です。なぜジェンダーギャップが生まれるんだろう。なぜ問題なのだろう。どうすればギャップが少なくなるのだろう。

1日目は「ジェンダーギャップ」が生まれる社会の仕組みについて、2日目には、その仕組みの裏にある歴史や私たち個人の意識や思想について扱いました。
参加者どうし意見を交わし、考えを深めて、最終日に向けて提言を制作。
ジェンダーギャップ、あるいはその中の特定の課題に対して、社会に変化を起こすことを目的に、作品を発表してもらいました。

参加者は15歳から40代の方まで幅広い年代、そして”ジェンダー”ギャップがテーマということもありセクシャリティも多様な方が参加してくださいました!

私たちの提言

3日間の短いワークショップでしたが、ジェンダーギャップについて、真剣に話し合い、アウトプットすることで、私たち自身もたくさんのことを学びました。
最終日の提言は、ユニークなものもたくさんあったので一部をご紹介します!

提言1:日常の小さなげミニズムを伝えるラジオ「フェミラジ」

日常にある「小さなフェミニズム」について、ライトにポップに楽しく学べるラジオ企画。大学で放送に関わる活動をしているという麻奈さんが、短い時間で30分の作品にしてくれました。
麻奈さんは、ワークショップの初日に、日常で身の回りの人とジェンダーについて話す機会があまりない、と多くの人が言っていたことに着目。
「ラジオは、ただメディアであるだけでなく、コミュニティにもなると思うんです。聞いているときは一人だけど、他のリスナーの声も聞けて、繋がっている感じがします。」
たしかに、ラジオは新聞やテレビ、webメディアと比べて、一つの事柄についてゆったり、じっくり語ることができる媒体。参加者からは「ラジオって、かしこまらずに“普段着”でいられるメディアだよね」なんて声も聞こえました。

実はこの提言は、既に形になっています。

第一回のラジオのゲストは、チャリツモライターのひもっち。
30分間で3つのコーナーがあるのですが、一つ目は『○○が辛い』。ジェンダー規範によって悩むリスナーの声をお届けします。二つ目は『もういい!を探せ』。例えば「女子力高いよね」など、日常にありふれているけど、もやもやする言葉を紐解きます。そして最後は『日常のフェミニズム―楽曲編』。パーソナリティとゲストがそれぞれ「これってもしかしてフェミニズムに関係があるのでは?と思う音楽を、持ち寄って紹介します。その音楽の背景や作り手の想いから、ジェンダーやフェミニズムとのつながりに光を当てています。
この企画は、現在チャリツモのPodcastで配信中!気になる方はぜひ、聞いてみてくださいね。

「このラジオを流すだけで、社会は変わるとは思っていないけれど、こうした小さなアクションから、連隊が生まれるかもしれない。ツイッターとかSNSで広がるかもしれない。そうしたら、きっと社会の変化につながるのでは、と思って企画しました」(麻奈さん)

提言2:ジェンダーギャップを示唆する絵本

昔から、オリジナルの絵本を作ることが夢だったあやかさん。絵本という形でアウトプットすることで、子育て世代の親子にアプローチします。

幼い頃から母親がよく読み聞かせをしてくれていたというあやかさん。大学生になった今も、書店に行った際にはまず始めに絵本のコーナーを覗いてしまうほど絵本がだいすきなのだそう。絵本を通してたくさんのことを学んできた反面、最近は絵本の中のジェンダーに関するステレオタイプが時を経てもそのまま継承されることに少し疑問を持つようになったのだそうです。
例えば、「シンデレラ」の童話。恵まれない境遇にあったシンデレラはもともと美しい出で立ちをしていたため、王子様に一目惚れをされます。探し出された(選ばれて)シンデレラが王子様と結ばれることによって貧しく、つらい境遇から引き上げられて幸せになる。このお話は、よくよく考えると女性には主体性がなく、自ら人生を選ぶことが出来ず、男性に受け入れられるようなメイクをしたり身なりをして、選んでもらうことこそが女としての生き方であると示唆しているようにも受け取れます。


絵本が大好きな彼女だからこそ、これからの子どもたちには普遍的な価値を大切にしながらも、間違ったステレオタイプの刷り込みにつながらないような新しい絵本を用意したいという思いを抱くあやかさん。同時に、絵本の読み聞かせをする親世代の意識改革にも挑みます。


「参加者の方と話していて、これまでジェンダーに関心がなかったひとも、結婚や出産を経て、性別による役割やその違和感を感じ始めることが多いと聞きました。自分の両親も似たようなことを言っているのをきいて、子どもをもったタイミングで、”当たり前”のように見える家父長的な家族のかたちに違和感や危機感を感じている人に手に取ってもらえるものを作りたいと思っています。」(あやかさん)

あやかさんの絵本のチャレンジはまだ始まったばかり。チャリツモのイラストレーターと一緒に、喧々諤々、企画をねっている段階です。
完成した暁には、チャリツモでお知らせしま〜す!

提言3:朝日新聞の「声の欄」に投稿

ユニークな案のひとつは、朝日新聞の「声の欄」に投稿する、というもの。
SNSなどさまざまなツールがある中で、オールドメディアである新聞、その中でも特定の新聞社に投稿する意図は何でしょう?

提言者のかほさんは、過去に「声の欄」に日本の宿題について投稿したことがあるそうです。一つの新聞社のひとコーナーではありますが、「声の欄」に投稿された中で反響が多い記事は、再度別の記事として取り上げてもらうことがあるそう。反対意見や専門家の声が掲載されたり、そのトピックについての議論を巻き起こせるのだそう。
過去には彼女が寄稿した文章が、最終的には「天声人語」、そこから教科書にも掲載されたそうです。新聞記事への投稿も、反響があれば、新聞の枠を超えて大きく広がる可能性ももっているのです。

日ごろから、お兄さんと避妊や整理などの話題を何をはなすことが多いというかほさん。しかし、友達にお兄さんとの会話についてはなすと「それはタブーじゃないの?」「兄弟や家族でそんな話題話すべきじゃないよ」と、ネガティブな反応が返って来ることが多く、驚いたといいます。「同年代のひとであっても、“当たり前”が違うことに気が付き、そのタブーな認識がなぜ生まれるのか、ということに関心を持ちました。新聞というマスメディアに投稿することで、さまざまな立場の人の意見、反対意見にも耳を傾けることができ、そこから更に学びを深めることができるのでは。そんな想いから生まれたアイデアです。」(かほさん)

過去の実績もあるし、媒体研究も的確なかほさん。彼女の寄稿が皆さんの目に触れる日も、そう遠くはないはずです。
…新聞に限らず、チャリツモでも発信してもらえるとうれしいです!笑


その他にも、素朴な疑問を可視化するポスターや、インスタグラムでの発信、日めくりカレンダー、悩みを持っている人が集まることができるコミュニティ、LBGT+がでてくるアニメなど、たくさんのアイデアが生まれました。

チャリツモ上で発信が可能なものに関しては、提言がまとまり次第、随時発信していきます!

ふたつの気づき

ここで、3日間のワークショップを終えて、私が受け取ったふたつの気づきをご紹介させていただきます。

〇人と話すことの大切さ

参加者の一人が、3日間のプログラムで学んだことのひとつとして共有してくれたのが、人に話すことの大切さです。
私たちも、このワークショップをデザインする際に、関心の高い人、意識が高い人だけで完結させることなく、「ジェンダーギャップ」というテーマを幅広い人と対話する、ということが大切だと考え、意識してきました。

たしかに、社会問題は、なかなか身近な人と話しにくいですよね。
特にジェンダーの問題は、強い問題意識を持っている人がいる一方、それを問題だと気づいていない人も多いです。でも、気づいていない人をそのままに放っておくのではなく、自分から話して、問いを投げかけて、お互いに視点を広げることができたら素敵ですよね。
とくに、どんな話題をタブーと思うのか。家父長的なジェンダーの役割を疑問に思うか思わないかは、その人のバックグラウンドとも大きく関係します。

「意見が違うことは、みんなそれぞれバックグラウンドが違うことと同様に、当たり前のこと。それを前提に心にとめておくと、話しやすくなりますよね」
かほさんが言っていたこの言葉にとても共感します。

対話して、その人自身の背景を理解しようとする姿勢は、どんな場面でも大切になことですよね。

〇「変わらないもの」を諦めない

社会を変えるための発信は、どうあるべきなのか。だれにどんなメッセージを伝えていくべきなのでしょうか。

そんな議論になったとき社会を動かすためには、
①既に(もやもやと、あるいは明確に)問題意識を持っているけれど、どうしていいかわからない層
②そもそも問題を問題とすら思っていない(現状を変えたくない)層
両方にアプローチする必要がある、という話になりました。

①の層の人が集まってコミュニティとなり、アクティビスト的な活動をする例は、少しずつですが増えてきたように感じます。バイリンガルで情報を発信したり、国や言語の枠を超えて連帯する動きも、仲間を増やしていく動きもみられます。
問題意識を持っている人が集まってムーブメントを起こすことは、社会を動かすうえで重要な取り組み。しかし、後回しになったり、忘れられがちな②の層へのアプローチも大切です。

「旧来の権力や、私たちが”老害”と批判する人がいるが、時が経てば、価値観もアップデートされるので、自分たち自身もその”老害”になる可能性は十分にある」
参加者の一人がこう言っていたのが印象的でした。

今回の提言の中にも、②にあたる旧態依然の組織や年配の方を、理解を得られない「変わらないもの」として捉え、その人たちへのアプローチを諦めてしまうものがありました。

「時が経てば、自分たちの時代が来る」という声も聞きますが、そのころには自分の価値観が古いものになってはいやしないか、という危機感でしょうか。やはり、今権力を持っている層や②の人々にも、アプローチする必要があるし、自分たちが運動の当事者になる必要があるのかもしれません。

「(ジェンダーという)社会問題なのに、それを社会問題だと気付いてなくて、個人の問題だと信じて悩んでいる人が多いように感じています」
そう話してくれた参加者もいました。
自身も男性として生まれ、特に疑問を持たずに生きてきたものの、あるときジェンダー規範の持つ加害性に気が付いたといいます。

「ジェンダーによっておこる問題は身近にはたくさんあると思うんです。無関係じゃない人はいないはず。でも驚くほど関係ないと思っている人が多いですよね」


人の意識を変えることは、簡単ではありません。
どういう人に対して、どんな言葉を使ってメッセージを伝えたらいいのか、考えさせられました。

次回は「日本のレイシズム」にアクション!

世界を変える私の提言は、これからも続きます!

チャリツモの新たな取り組みは、これでおしまいではありません。
今回は、ジェンダーギャップをテーマにワークショップを行いましたが、今後も様々なテーマで、ワークショップを行っていきます。

次回は日本のレイシズムにアクションする3日間のワークショップを行います。

最終日のコメンテーターには、社会学者のケイン樹里安さんも参加してくださいます!

詳細はこちらから

これからのお知らせにもこうご期待!

(ばんゆかこ)

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