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朝活〜日が高くなる前に〜-2

 前回までの25。
「大統領!!何でこんな真似をしたんですか!!」
「仕方のない事だった!!息子が人質に囚われてるんだぞ!!君だってあの時同じ事をしたじゃないか!!」
「だからと言って私はペンタゴンのパソコンをハッキングしてあんな卑猥な画像を送り付けるようなことはしていません!!」
「あれはハッキングではない、クラッキングだ!!」

 おっとまたも物語を取り違えたようだ。
このお話しはまた別の機会に披露出来ることを願おう。

 バジル餃子なる奇妙奇天烈な品物を発注し、期待と不安で胸が小躍りしていた。
小躍りというとどのくらいかと言うのを表現すると、マイケルジャクソンのキラキラ衣装でボックスステップを踏んでしまうくらいの小躍りだ。
私は餃子があまり好きではない。
もし食べるとするなら肉とキャベツの比率は2:1くらい肉肉しい餃子でニラやニンニクは少なめに限る。
それくらい強いこだわりを持ってしないと中々食べる機会を設けることのない品物だ。

 そんな私の前にオーソドックスな姿をしているが、やや緑色のソレが来た。
「お好みでレモン汁をお使いください。」
何?!レモン汁??
完全に到着する前は酢胡椒を想定していた。
一般的な醤油、酢、ラー油の餃子タレでは、このワガママな味覚を黙らせる事が出来ないことが多いからだ。
しかしどちらで行っても良いようにレモン汁とは別に小皿を用意してくれているのはありがたい。

 さぁ、あまり相性の良くない相手とのご対面だ。
まずはレモン汁に付けて1個目の半分をパクリ…
「えっ?!これ餃子??!!美味すぎないか!!!!」
心の中で小躍りをしていたキング・オブ・ポップはゼログラビティからのムーンウォークの大技連発ですよ!!
ぶっちゃけレモン汁なんて使ってダメならハイボールに入れてしまえと思っていたのに…
良い意味で最早餃子では無かった。
店内に流れる大好きなL'Arc〜en〜CielのSTAY AWAYに触発されて抜け出した大地で手に入れた自由の如く暴走した箸は止まる事を知らずに駆け抜けた。
そして例によっていつの間にか目の前にいたリトルグリーンメンは消え失せていた。
しかしそんな熱烈中華がいきなりイタリアに渡航しそうになった船旅もどきの口の中は、気付けばあっという間に中華に引き戻される後味だ。
何が言いたいかと言うと、結局僕が食べたのは餃子だったのだ。

 そんな素敵な出会いを経て、ハイボールも残り半分となった。
そろそろ帰ってもう一眠りしようかなと昼夜逆転思想の中、何で終えようかラーメンの項目を眺める。
なかなかバリエーションがあって悩ませてくれるじゃないか。
しかしながら朝から酒を飲むような痛め付けられた身体を優しく見守ってくれる一品がいた。
なんと、半ラーメンがあるではないか。
しかも200円という学食もビックリなプライス。
本来炒飯等にセットで頼める半ラーメンが単品でも注文出来るのだ。
ガッツリではなく、〆に丁度いいサイズ、即決だった。

 程なく彼は到着した。
絶妙なサイズ加減、飲み会帰りにとりあえずでラーメンに手を伸ばす世のイケないお父様方も納得の量。
こうなってくるともう罪悪感もない。
シンプルな醤油ラーメンというのが丁度良すぎる。
しかも手を抜くこともなく具もしっかり入ってるじゃないか。
早速一口…
「おっ、お母ちゃん…」
口と胃袋一杯に優しさが押し寄せてくる。
あっさりした醤油ラーメン程、ちょい食べに合うものはない。
あまりの優しさにいつも使うハズのコショウをかけ忘れるくらいだ。
昔ながらの優しい口当たりは半量ということもありあっという間に終わってしまう。
最後のハイボールを流し込み、温かみに溢れた中華の旅は幕を閉じるのであった。

 駅近に割と多く存在することもあり安定した心の拠り所でちょい飲みが出来て幸せの極みである。
お腹も心も満たされ気付けば朝9時。
帰ってもう一眠りしようとほろ酔い気分で家路に着くのであった。

 ちなみに、あまりの美味しさとコスパに負けて唐揚げ1kgとバジル餃子の冷凍持ち帰りまで買ってしまうとは、中々やってくれるじゃないか日高屋。(これは昼からの2回戦目必須じゃないか…)

次の店へ続く

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