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18 終末期の予習


看護師さんも先生も、訪問看護師さんも、訪問診療の先生も、死に向かうプロセスについて、案外教えてくれないものだった。

なんとなく避けてるような、気を遣っているのか分からないが、みんな揃ってハッキリ伝えない雰囲気を感じた。


私と姉は、母の予後を告げられてから【終末期】についてよく調べた。母が家に来る前から、動画やネットの記事を見て実際に目の当たりにするであろう事柄を予習した。

月単位、週単位、日単位、時間単位…
せん妄…中直り現象…
尿の状態、呼吸の変化…

Dr.Toshさんの動画を何度も見て勉強した。

ーーー

退院前に先生から、母の状態や予後について話があった。

「遠くから仕事を休んで来てくれて本当に良かった、今がとても大切な時間です。」

先生は言った。
続けて、何でも聞いてくださいというので私はどんどん質問した。

❁「母の死因は何になるんですか?」
「まずは嚥下機能が低下しますので、誤嚥や窒息の可能性も高くなります。後は身体全体の機能の低下です。」

❁「母の状態が、危険だと感じたらどこに連絡すればいいのですか?」
「訪問看護か、訪問診療に連絡してください。119にかけて救急車を呼んでしまうとそのまま入院となってしまい、(コロナにより)会うことができなくなってしまうので気をつけてください。」

❁「母は滝に行きたいらしいんですけど、行けますか?」
「ちょっと…滝は…笑 近くの散歩から始めて、ですかね…。」

❁「点滴はしないのですか?」
「今は口からしっかり食べられているので必要ないと思いますが、適宜訪問の先生に相談してみてください。」


ーーー

私は、点滴をしない理由を知っていた。
(体の機能が低下した終末期の患者さんには点滴の水分を入れても上手く処理できずに腹水や浮腫などになって苦しさにつながるという。)

なのに、なぜ隠すのか。
食事がしっかり摂れているなんて嘘だ。
面会をして、食べられていない姿を知っているのに。


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