見出し画像

16歳だった!ー初めての肝試しー④


やまちゃんは中の人に声をかけ続け
おサルはまた洗面台に足をかけて中を覗き込んだ。

「大丈夫ですかーー…」





次の瞬間








「うるっせーーーーーーーーーーーんだよーーーーーーーーー!!!!!!!!」



大きな怒鳴り声と共にドアが
バシーーーン!!!!!!!!!!と開いた





ぎゃああああああああああああああああーーーーーーーー!!!!!!!!??!?!

その声の主をしっかり目視する前に全員が一目散で逃げ始めた。



さっきまで「女の子達さがっててね」なんて言ってたやまちゃんなんて女子を突き飛ばして1番に逃げた。

トイレから飛び出て真ん中のメインの広い道を男子に遅れを取りながら走った。
走りながら振り返ると髪も髭もボサボサのおっさんが鬼の形相で追いかけて来ていた。



「おめぇらうるせぇーーーんだよーーー!!!!!!!!!!ごらぁぁあああああ!!!!!!!!」



「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああーーーーーー!!!!!」






全員本気で走った。




※全員手はパー。本当死ぬ気で走った







しばらく走るとまたさっきと同じような広場に着いた。

男子達は一足先に到着して地べたに座ってはぁはぁ言っていた。

後ろを振り返るとおっさんはもう居なかった。




「ホームレスかよ!!!!!!!」

やまちゃんが肩で息をしながら叫んだ。



私達もその場にしゃがみ込み、息を整えた。

心臓がバクバク鳴っていた。
久々に本気で走ったから脇腹が痛い。

こ、、怖かった〜、、、

まさか生身のおっさんに追いかけられるとは、、

「なんであいつ女子便にいるんだよ!せめて男子便だろ!」



「てかさ…やまちゃんウチらのこと思いっきり突き飛ばしたでしょ!」

「危ないから下がってて、とか言っときながら1番に逃げたからね!」


まぁおさるもセンセイも我先にと逃げていったが。

下がっててね、、!なんて言っときながらいざとなったら女子突き飛ばして逃げるとは…やまちゃんは女子一同から非難轟々。

結局は自分の身は自分で守るしかないと早くも思い知った16の夜だった。


しばらく霊園内の女子トイレに住み着くホームレスのおっさんの話しと、やまちゃんの完璧なダメさ加減で盛り上がった。




しかし、最初トイレ行った時、空いてる方の個室、使わなく良かったーーーーーーーー。





私達一同は気を取り直し、ユウとおサルが言っていた“鞠をつく音“を聞きにいく事にした。

音はメインロードとユウ達が歩いていた道の間らへんで聞こえたらしいので、このまま逃げてきたメインロードを下る事にした。

以前夜の井の頭公園でユウとミカに「あそこに何かいる!ほら!そこ!!」と言われたことがあったと言ったが、私は本当に全く何も見えず感じずだった。

ユウに聞こえてたとしても今回も私はきっと何も感じないし聞こえないだろうな…

そもそもこんな広い霊園のど真ん中でマジで鞠をついてる音がしたら怖すぎる。

てかどんな状況だよ、墓場で鞠つきって。

まぁ本当かも分からないしね…

なんてまたもや冷めた事を考えていた。



生身のおっさんに怒鳴られ追いかけられたばかりの私達はちょっと恐怖レーダーがバグってしまって、このバカ広い霊園にそれほど恐怖を抱かなくなっていた。

みんなでさっきのやまちゃんの現金な逃げっぷりを蒸し返して笑って話していると


「あ..この辺だよ!聞こえてたの!!」

ユウが口元に人差し指を近づけて、静かに!のポーズをした。


皆話すのをピタッとやめて耳を澄ました。


霊園に静けさが戻る。

あれ?こんなに静かだったっけ..?

バグっていた恐怖心が少し戻ってくる。


「何も聞こえないね」

「もう鞠つき終わっちゃったかな?笑」

こんな静かな場所で少しでも何かが聞こえたら怖すぎる.. 

というか聞こえる訳ない。

だよね〜



と思ったその時









ぽんっ  ぽんっ...  ぽんっ...  ぽんっ...




ぽんっ  ぽんっ  ぽんっ...  ぽんっ...





心臓がキューーッッと縮み上がるのを感じる。

※確実にこれ…



私達は目を見開いてお互いの顔を見合った。







続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?