185番「眠りの魔女」

アカリ「美海さんって独特な雰囲気を醸し出してますよね」

栞「そうねぇ」

奈子「眠りの魔法も使ってくるわよ」

アカリ「眠りの魔法」

奈子「そう。視る者全てをその眼差しのとりこにする愛しい魔法」

アカリ「魔法」

 そう皆で美海さんの話をしていると、背後から視線を感じた。

 私はとっさに振り返った。

 誰もいない・・・?

 いや、給湯室のカーテンが揺れてる。と、そう思った矢先

「!?」

 カーテンの隙間からそっと片目だけ覗かせている女性がそこにはいた

アカリ「美海さん!?」

 美海さんの瞳が私を捉えて離さない。

 いや、私のことなんて見えてないのか。

 私ではないのかもしれない。私の背後を見通すような眼差し。

奈子「どうしたの?」

 奈子さんに声をかけられて、ふいに我にかえる。

アカリ「え、いや、今そこに美海さんがいるような気がして」

 私はさっきまで見ていた給湯室の方を指さす

奈子「?? 誰もいないわよ?」

アカリ「え? そんなはずは・・・」

 私と奈子さんは二人で給湯室を覗く。

アカリ「あれ。本当だ」

 私の勘違い・・・?

奈子「もぉ。驚かさないでよねぇ。アカリちゃん」

アカリ「あ、すいません」

 今日はもう夜も遅いし疲れているのかもしれない。

 美しい海と書いて美海

 私はもう彼女の妖艶な眼差しから目を離すことはできない

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