3番「結婚記念日」
フェリシーには妖精さんがいる。
そう。妖精さんがいるのだ。
???「もふもふ♪ 今日も忙しいもふ」
白いふわふわした羽毛のような肌を持ち、緑の羽が鮮やかなインコとの恋愛が度々話題に上がるアルパカさん。実際に二人は付き合っている仲だ。今日のアルパカさんはある準備のためせわしく動いている。
アルパカ「もふもふ♪ 羽を集めなきゃ」
そう。来週はわたしたち二人の結婚記念日だ。ここフェリシーの公認レズカップルとして結婚をあげた日がもうまじかに迫っている。
アルパカさんは愛しのインコさんのためインコの羽とアルパカの羽毛から結婚指輪を作ろうと今日も工作に明け暮れる毎日だ。去年、ウェディングドレスをまとい結婚式をあげたが、まだ指輪ができていない。来週のために早いとこ作らねばならない。
アルパカはインコの飛び去ったあとに残る羽を集める毎日を送っていた。そんなある時
インコ「最近、アルパカさんの様子がおかしいわ。私をじっと見つめてくれるのに私にどっかにいってほしいみたいな。。話しかけても無視されるし。私なにか知らず知らずのうちに悪いことでもしたのかしら」
インコさんはアルパカさんから嫌われているように感じていた。
インコ「シカさんシカさん」
シカ「なんだい。インコさん」
インコ「私はアルパカさんに嫌われているのかしら。もしそうなら、わたしはここを去る他ないわ」
シカ「どうしたんだい。君は、何か嫌われてるようなことを彼女にしたのかい」
インコ「うんううん。それが心当たりがないの。だから、悩んでいるの」
シカさんは何かを察したように
シカ「大丈夫。アルパカさんはインコさんのことをいつも想ってくれる子だ。それはインコさんが最も知っているだろう?」
インコ「・・・はい」
シカ「自信もって。あなたたちは素敵なカップルだわ。アルパカさんのことを本当に愛しているならば、きっと大丈夫よ。信じなさい」
インコさんはそれまで胸に抱えていた不安が何であったかを理解した。
インコ「・・・。シカさん、ありがとう。わたし待ってみる」
それから数日の月日が経った。結婚一周年記念日だ。
わたしたちカップルはシカさんやカエルさんから盛大に祝福を受けた。でも、アルパカさんは何だかよそよそしい。何だろう。この気持ち。何かひっかかるものを感じつつも、記念日を迎えられたことを喜んだ。アルパカさんが好きだ。好きすぎる
アルパカ「・・・」
アルパカさんが赤面している。シカさん、インコさんが
「あらあら、まぁまぁ」
と言っている。
アルパカ「そんな直球で好きと言われると恥ずかしいな」
なんと私は「好き」を口に出していたようだ。私も恥ずかしくなり頬を赤らめる。
アルパカ「ちょっと目をとじて待ってて」
インコ「はい」
私はやや緊張した面持ちでアルパカさんを待つ。
アルパカ「もふもふ♪」
アルパカさんは可愛い。可愛いアナタが好き。そんな私はアナタに合う存在になれているのかしら。
アルパカ「さぁ、目をあけて」
私は目を開ける。なにやら足に何か違和感を感じる。
アルパカ「はい。結婚指輪。一年かかっちゃったけれど、私とアナタの愛の証。改めて、私と結婚してください」
シカさん、カエルさんが「ヒューヒュー!熱いねぇ!」とやじを入れてくる中
私は一瞬で理解した。勘違いしてた。アルパカさんのことを。
私は
インコ「はい。私も愛しています」
そう返事をした。
・・・あとのことはよく覚えていない。私はこれからもアルパカさんと幸せに生きていく。そのためにどんな障害がこようとも、二人ならきっと大丈夫。なぜなら私はアルパカさんを愛しているのだから・・・
栞「・・・っていうお話を今、書いているのだけど、どうかな?」
もこ「おお。大作な予感がしますね」
わたしこと栞は、後輩のもこさんに小説の相談をしていた。あの二人はもうフェリシーには居ないけれど、せめて結婚記念日にはプレゼントを贈ってあげたい。わたしはそのために今日も執筆作業を続けている。
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