24番「ミラクルの本のページを開く」

 フェリシーの本棚には魅力がいっぱいある。

栞「今日の運勢、今日の運勢」

 栞さんがなにやらつぶやいている。

 バサッ

 栞さんが呟きながら、一冊の本を開いた。

栞「内側の静けさに飛び込む」

アカリ「え、と、栞さん・・・?」

奈子「だめよっアカリ! いま、栞さんには結界が張られているの!」

 栞さんの周りに光の柱が立っているのが見える。見える。見える?

 栞さんは目をつむる。何かに集中しているようだ。

 栞さんは呼吸を整える。そして、何かに閃いたように目を開眼させるっ

栞「今日の晩御飯はぶり大根にしよう!」

 ズサァ!

 私は盛大にこけた。

栞「・・・? アカリ何やってるの?」

アカリ「それは私のセリフですっ。何読んでたんですか!?」

奈子「それはフェリシーに古くから伝わる魔導書よ」

アカリ「奈子さんは黙っててください」

奈子「えー」

栞「これはフェリシーに伝わる伝統の」

 私は本の表紙を見た。

アカリ「奇跡の毎日が起こる」

栞「そうそう。何かを念じながらこの本を開くとメッセージが貰えるという代物らしいの。誰が置いたかは分からないのだけど、面白そうだなーって。アカリちゃんもやってみたら?」

アカリ「あ、そういう本なんですね」

栞「そうなの。何か本に質問してみるのもいいかもしれないわね」

 私は神経を集中させた。目を閉じて本を撫でるように触れる。スッと開く

「心の痛みに向き合う

 あなたの中に、取り残された感情があります。それは長い間そのままだったようで、今ではモヤがかかったように感じにくくなっています。ほかの誰かを優先したり、我慢したり、そんな気遣いや優しさから、自分でも感じないようにしてきたのでしょう。今、やっとその痛みに向き合うことができます。

これを読んで頭に浮かんだことがあったり、悲しい気持ちや怒りの気持ちが湧いてきたりしたら、そのまま感じていましょう。起こるままに任せていましょう」

アカリ「・・・??」

栞「どうだった?」

アカリ「えーと、よくわからなくて」

栞「ま、そういうこともあるわね」

アカリ「私の忘れられた過去の中に何かあるのかな」

 私はここに来る前のことの記憶が無いけれど、この本にある通り、何か大切な感情を忘れているのかもしれない。何だろう。モヤモヤする。

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