5番「ウサギ撮影」(平日午後～夕)

　フェリシーには数々の動物さんがいる。

　フェリシーの待合室をつぶらな瞳でみつめるフェルトのぬいぐるみは、フェリシーにご帰宅される2019年四天王の内の一人であるご主人様による趣味の裁縫から編み出されたものだという話を聞き、お客様の中には器用な方がいるものなのだなぁとつい関心と興味がわいてしまうものだ。

　フェルトのぬいぐるみは、メイド長、卒業生メイドのナメクジさんやウサギさん、シカさん、インコにアルパカまでいる。あ、アルパカさんは置物だったかな。

　ぬいぐるみたちは夜な夜なフェリシーのために日々を過ごしているという話だが、これはまた別の機会に。

　今日のわたしは、フェリシーの庭にいるウサギさんたちをスマホのカメラに収めようと虎視眈々と機会を窺っていた。

　背の低いウサギさんがこっちを下から見上げるように佇むその姿を一度、映える空間で撮ってみたい。と一度は思ったことはないだろうか？

　私はある。

　このフェリシーという館には何か不思議なパワーが宿っているように感じる。私は彼らを写真に収めることで、その恩恵に預かろうとしている。のかもしれない。

アカリ「よし、良いよ良いよー。そのままそのまま」

　私は動きもしないウサギの置物に声をかけながら、ウサギさんのアングルを調整して、写真を一枚一枚丁寧に撮っていく。

　次はあそこを撮るぞっ。っと意気揚々にウサギさんを抱えようとした瞬間

「ピンポーン」

　あ、お客様だ。

　これはまたの機会っていう感じですね。

　ごめんね。ウサギさん。わたしとアナタとの時間はお預けみたいなの。

　そんな寂しい顔をしないで

　わたしだって

　奈子「はーい。いま開けますね」

　あ。お客様のこと忘れてた。いけないいけない。業務に戻らなくちゃね。

※追記：2019年四天王は制作者のわたしとDさんとSさんです。三人で会ったこともある友達です。上述のフェルトの方ともお会いしてみたいなぁ( ˘ω˘)ｽﾔｧ