新しくなったfreeeのブランドコアを、元パギャルが社内に広めようとした話
この記事は freee Designers Advent Calendar の21日目です。
こんにちは。freeeのbrand studioでデザイナーをしているhoshieriです。
元パギャル(中途半端なギャル)だった自分が、今年刷新されたfreeeのブランドコアを社内で広めようとした話を書いてみようと思います。
※ブランドコア=ブランドの思想になる大切な要素。ブランドの中核。
freeeに入る前は、長いことアパレル業界にいました。在籍していたのは渋谷109系のブランド。服のデザインや生産管理を担当していました。
紆余曲折あり、3年前にグラフィックデザイナーに転身。フリーランスとなり1年前にfreeeにジョインしました。
現在は業務委託として、freeeのブランディングに関するあれこれをお手伝いをしています。
今年、freeeがリブランディングしたよ
視覚的なところだとロゴがリニューアルされたりコーポレートカラーが刷新されました。
それに伴い、内面的な部分であるブランドコアも新しくなりました。
新しくなったfreeeのブランドコアってなに?
ブランドコアとは、既述のとおりブランドの思想のもとになる重要な要素。
freeeでは「自由」「解放」「自然体」「ちょっとした楽しさ」のキーワードがあります。
freeeは「スモールビジネスを、世界の主役に。」を全社的なミッションとして掲げています。解放、自然体、ちょっとした楽しさ
この3つの要素を、freeeユーザーに感じてもらうことで、スモールビジネスに関わるすべての人に自由になってほしいという思いが込められています。
さらにこのブランドコアから派生して、「デザインフィロソフィー」という4つのキーワードがあります。
・かろやかシンプル
・あんしんインテリジェント
・まえむきリラックス
・たのしさスパイス
freeeがどのようなデザインを目指しているかを言葉で定義しており、ブランドを体現するためのデザイン指針となっています。
freeeから発信されるアウトプット(プロダクト、LP、動画、印刷物、グラフィック等)は、このブランドコアとデザイン指針を基に作られています。
なぜブランドコアを社内に広めようとしたの?
freeeのブランドコアを世に広めていくためには、「まず社内のメンバーに認知されることが大切なのでは?」という話がbrand studioチーム内で上がったのがきっかけでした。
brand studioでは、freeeのブランドを守ったり、広めるために様々なプロジェクトが動いています。私はこの「まずは社内にブランドコアを広げる」というプロジェクトを担当することになりました。
自分にそんなこと、できるかね?
当時の私の業務は、イラストやロゴ等の素材を作るグラフィックデザインがメインでした。主体的にプロジェクトを進めたことはない。「そんなこと自分ができるん?」これが正直な気持ち。ふと、パギャル時代のことを思い出しました。見た目だけでなく仕事も中途半端。
がむしゃらにやってた記憶はありますが、何かを成し遂げた記憶はありませんでした。
どうやって広めようとしたのか
不安な気持ちを持ち続けてもしょうがないので、少なめの脳をフル回転させました。でも、自分の脳には限界がありました。brand studioチーム内の頼もしすぎるメンバーにアイディアやアドバイスを日々もらいながら、なんとか考えをまとめることに成功。
考えた結果「ブランドコアに気軽に触れてもらう」機会を作り、社内に広めることにしました。気軽に触れてもらうためには、社内のメンバーが「楽しい」と思ってくれるコンテンツづくりが必要。
ブランドコアの概念をもうちょっと噛み砕いて、わかりやすいコンテンツを発信することに。イメージとしては教育番組のような感じ。ハードルを下げて学び(ブランドコア)を伝えていくのが良さそうだね、というところに落ち着きました。
具体的に何したの?
具体的にやったことは、下記のとおり。
【1.まずは社内におけるブランドコアに対する理解度・印象を知る】
社内で「ブランドコアについてどう考えられているか?」を知ることからスタート。freeeのリブランディングにあたり、各事業部に1名ずつ推進者の方がいました。推進者の方とbrand studioのメンバーが過去にミーティングを重ねていたことを知り、議事録を読み漁ってヒントを探しました。
その結果こんな声を発見。
「ブランドコアに関する資料を読んでみたものの、なんだか自分ごと化しきれない」「ブランドコアを具現化したアウトプットがわかんない」
ブランドコアっていう概念はなんとなくわかるけど、アウトプットがどんな形になるのかが不明確なのかも。
アウトプット例と一緒にブランドコアを発信するとわかりやすいのかなあ。
ぼんやりですが、方向性が見えてきました。
【2.社内で日常的にブランドコアに触れる機会をつくる】
同じbrand studioのメンバーが「freeeのメインツールであるworkplace(企業版Facebook)でコンテンツ発信をするのが良いのでは」とアイディアをくれました。その時、アパレル時代にインフルエンサーの方に聞いた話をふと思い出しました。
「SNS投稿はできるだけ同じ時間帯に、頻度高くするのが良い」
これって今回のプロジェクトでも使えるんじゃ?
freee社内で使ってるworkplaceもSNSみたいなものだよね?
brand studioメンバーと、昔出会ったインフルエンサーの話をヒントにworkplace上でコンテンツを発信することにしました。
投稿日は毎週水曜日に絞りました。「水曜日になるとブランドコアのコンテンツがUPされる」というイメージをコツコツと浸透させるのが狙い。
そうすることで、社内メンバーの日常の一部にブランドコアを入れ込んでしまおうという作戦です。
【3.文章にイラストをプラスして社内に発信する】
いよいよ、どんなコンテンツにしようか考えるフェーズに突入。
freeeのブランドコアの概念をそのまんま発信したら、多分文章ばっかりになる。文章だけだとおそらくスルーされる。なんとなく想像がつきました。
その時に役立ったのが1で書いた、社内の理解度を知る作業。あのときぼんやり考えていたことがヒントになりました。
やっぱり、具体的なアウトプット+ブランドコアのセットで発信するのがいいかも。自分が今まで作ってきたfreeeのイラストを交えると砕けた印象になるんじゃないか?と考えました。ここで「イラストを交えたコンテンツにする」という方向性が定まりました。
とりあえず、ブランドコアやデザイン指針を意識しながらイラストを1つ作ってみることに。
このイラストのテーマは「ペーパーレス」。
社内メンバーに親近感を持ってもらいたい。業務で使えるぞ!感を意識して、freee社内でよく出てくるワードをテーマにしました。
イラストのストーリー▼
個人事業主のカメラマンが、freee会計を使うことで空に舞うほど解放されている。紙飛行機はペーパーレスを表現。「freee会計を使うと煩雑な業務から解放されてかろやかな気持ちになれるよ」という思いを込めています。
「ふ〜、なんとかブランドコアに沿ってイラスト描けたあ〜」と一息つきたくなりましたが、まだ早い。早すぎる。
コンテンツの一部のイラストしか描けてない。ってかコンテンツ名、まだ決まってないよね?
ここでも役に立ったのはアパレル時代の経験でした。アパレルブランドは毎シーズンごとにコンセプトやテーマを決めて世界観を消費者に伝えることがよくあります。
「そうだ、コンセプト考えるのはやったことある。受け手にどう感じて欲しいか、から逆算して考えればいいんだ。」
今回のコンテンツで言えば、社内メンバー(受け手)にブランドコアを身近に感じて欲しい、親しみを感じてもらいたいと考えているから、、、みんなの身近なコンセプトが良いよね。
考えた結果「学校」をコンセプトにすることにしました。
ブランドコアにある「自由」と夏休みの宿題でよくある「自由研究」のワードを掛け合わせて「ブランドコア自由研究」と命名。学校の懐かしさが身近さにつながればという願いも込めました。より親しみを持ってもらうために、ロゴはあえて手描きで。
よし!コンテンツ名決まった!…あれ。
そうでした、コンテンツの中身がまだ完成してませんでした。イラストとブランドコアを組み合わせるんだよね、中身を詰めよう。もうひと頑張り。
カタカタカタカタカタカタ…(イラレの操作音)
カタカタカタカタ…
はい、できた!
先に作っておいたイラストに加えて、ブランドコアとデザインフィロソフィーを意識したポイントを文章で加えました。親しみを持ってもらうべく、文章はカジュアルな言葉遣いを意識。元パギャルの私でも理解できる文章になるまで噛み砕きました。
ちなみに背景に使われているマス目は、学校で使われている方眼用紙をイメージしています。
ようやくコンテンツの中身が完成しました(プロジェクト始動からここまで1ヶ月弱かかった記憶)さあ、ラストスパート。次は発信するフェーズに突入します。
【4.気軽さが大切!コンテンツにたどり着くまでの工数を極力省く】
せっかくここまで考えたコンテンツ。より多くの人に見てもらうべく、workplaceのフィードにアクセスした人が、クリック不要でコンテンツたどり着けるようにしました。
▲社内メンバー約1,200人の目に付くフィードで発信。
フィードにアクセスすれば、すぐにコンテンツの内容が見ることができる。
クリック不要で見ることができるようにしたポイントは、コンテンツ内容を1枚のpng画像に集約して作成したところ。そうすることで、投稿にpng画像が添付された状態そのままでフィードに表示されます。(instagramのフィードのようなイメージ)どこかをクリックしなくとも、フィードにアクセスすればすぐ表示されるのでより多くの方の目に触れることができると考えました。こんな感じで毎週水曜日はworkplaceのフィードにブランドコアに関するコンテンツを投稿する仕組みができました。
コンテンツ発信をやってみた結果
この「ブランドコア自由研究」は今年の夏に始動し、現在に至るまで続いています。やってみた結果どうなったかというと、、、
【1.イラスト・アイコン素材が拡充された】
コンテンツ発信をする度に新しいイラストやアイコンを作成したこともあり、社内外で使える素材が充実されていきました。拡充された素材は各事業部で活用され、freee会計等のプロダクトをはじめ様々な場所で使われています。印刷物やLP、メルマガ、動画、ノベルティ、記者会見など多くの場所でfreeeらしさを表現するのに役立てられています。
▲最近では、コンテンツ発信に協力してくださった方にfreeeのイラストのトンマナに合わせた似顔絵を贈呈しています。(社内ではアバターと呼んでいます)アバターはお渡しする際に喜びの声をもらうことが多く、作り手としても嬉しい限りです。ちなみにこのnoteのサムネに使用しているアバターは、私自身の似顔絵だったりします。
【2.事業部問わず、ブランドコア表現に関する相談が増えた】
「エンジニアの開発指針の文章をイラスト化してみたい」
「ダイバーシティの概念をブランドコア表現を適応して作ってみたい」
「freeeのセキュリティを示した図をブランドコア表現に沿って作りたい」
など、各部署からブランドコアを具現化するにはどうしたら良いかの相談が寄せられるようになりました。社内でブランドコアが身近なものになってきたのかな?と感じる瞬間が少しずつ増えています。
【3.イラスト・アイコン素材へのアクセスが爆延び】
コンテンツ発信を始める前に比べて、freeeのイラスト・アイコン素材を格納していた場所へのアクセスが約4倍に伸びました。コンテンツ発信時に素材格納場所のリンクをこまめに貼っていたのが良かったのかもしれません。
時には、コンテンツの続きを素材格納場所に行かないと見れないようにしたりして誘導したりも。(赤枠内)▼
こうすることで、社内で素材格納場所を知らなかった人にもアプローチすることができ、より幅広くイラスト・アイコン素材を活用してもらえるようになりました。ブランドコア表現やデザインフィロソフィーを注入した素材が各所で使われるということは、ユーザーにブランドコアを伝える一助になっているのではないかと思います。
あとがき
freeeにジョインして1年が経過しましたが、入ったときは正直「こんな私に何ができるのだろう」と不安でしかなかったのを覚えています。freeeとは全く違う業界にいたし、仕事も中途半端だし、大卒ではないし。
一年経ってもなんとか働けているのは同じbrand studioのメンバーの皆さんをはじめ、多くの方々に支えられているからだと心から感じています。
そんな自分にとってこの「ブランドコアを社内に広げようとした」プロジェクトは、大きな自信になりました。やっていくうちに2つ発見があったのでこれをシェアして終わりたいと思います。
1.アイディアが思いつかないときは他の人の知見に頼る
自ら企画するとき、デザインするとき、どうしても思いつかない時ってあると思います。ぽんこつだった私は「他の人に頼ると迷惑になる」という謎の固定概念があり、自分のリソースを割きまくって結局良いものが出来なかった…という経験を繰り返してきました。freeeにジョインして他の人の知見に頼る大切さを知りました。他の人の知見ってすごくて、別視点の意見を教えてもらうことで新たなアイディアが閃いたりするんです。自分と違う経験を積んできた方の意見は目からうろこ!なことも多く、これは聞かなきゃ損だなと思いました。freeeの「なんでも聞いてね」という社風のおかげでやっと気づくことができました。(当たり前のことですが、教えて頂いた時はお礼を忘れないこともだいじ!)
2.全く関係ないと思っていた経験もどこかで生かせる日が来る
初めてやるプロジェクトや別業界に飛び込む時、本当に不安を感じていました。でも、自分の経験と初めてやることはどこかで共通点があったりします。「ブランドコアを社内に広げようとした」プロジェクトの中に、アパレルで培った経験を生かせるシーンがあったのは発見でした。すべての経験をすべての物事に活かせるとは思いませんが、ちょっとだけ生かせるポイントは意外と多いのかなと感じています。そう考えると「自分にはできないかも」と最初からしょげてしまうのはもったいないのかもしれません。
こんなに長い文章を、最後まで読んでいただきありがとうございました!
今回のこの経験を生かしてこれからも奮闘していきたいと思います。
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