さよなら鉛筆、トンボ印のちびた秋
親指と人差し指と中指で
支えるように持つのは
箸と鉛筆と歯ブラシと
お道具箱のひきだしの中
噛み跡だらけにしたのはだあれ
初めて手にした六角形は
金色のトンボがついていた
削っていくといいにおい
鉛筆削りのひきだしを
くずで開かなくしたのはだあれ
漢字練習帳に秋と書くたび
ちびてゆくトンボたち
小指を真っ黒にした手を
太ももの下に隠して
校舎の裏に忘れものしたのはだあれ
トンボの羽はパリパリ乾いて
湿った指に貼りついて
今すぐ逃がしてあげたいのに
逃がしてあげられなくて
逃れられないのならせめて
そっと手の中で握り潰す
さよなら鉛筆
ぼくたちはもう大人だから
トンボを追いかけなくたっていい
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褒められて伸びる子です。 というか、伸びたい。