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#小説
“死”に対抗する手段としての音楽、そして記憶。カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』
「記憶」は、ものを見るためのレンズであり、不確かな自己肯定であり、「死」に対する部分的な勝利である。
イシグロ文学の根源とされる「記憶」のテーマは、読み込むほどに多様な解釈を生む。
長編第6作「わたしを離さないで」は、カズオ・イシグロの名をさらに世界へ広める作品となった。2010年にはイギリスで映画化され、ハリウッドでも活躍する若手俳優らが起用された。日本でも2014年に蜷川幸雄演出により舞台