新しい香りとの出会い。グルマン香水への愛を語る
お菓子みたいに甘ったるい香りが好き。寒い季節だけじゃなくて、夏も。
8月の暑い日。久し振りに都内の伊勢丹で香水を買った。
フレグランスコーナーで店員さんに甘い香りが好きなんですとお伝えした所、甘美な果実の香りから、パウダリーで高貴なフローラル、バニラにタバコのスパイスが効いた中性的な印象の物まで、とにかく様々な種類の香りを試香紙に出して下さった。
本当に見事に、どれも好みの香りだったので一旦その場を離れ、店内をぐるぐると歩き回ること数時間。
結局、第一印象の時点で特に強く惹きつけられていた物を購入する事にした。
それがParle Moi de Parfumのギモーヴ ドゥ ノエル。
「夏だって好きな香りを付ければ良いんですよ、自分の気持ちが上がるのなら」
と店員さんが言って下さって救われた。
説明によると、ギモーヴ ドゥ ノエルはクリスマスの甘いお菓子や家族と過ごす暖かで幸せな休日の記憶から着想を得た香りだそう。
シンプルでスタイリッシュなボトルデザインだけれど、香りの印象はまるで色付けされた甘いシロップのような。
スプレーした瞬間、どこか懐かしい幸福感に包まれる。
煮詰めた砂糖やフルーツ、海外のお菓子やきらきら光る電飾を連想させ、纏うだけで自分がご機嫌で愛されていて、無敵な女の子であるかのような感覚になれる。
温もりがあるけれど、不思議と重苦しさはない。
香り物がとにかく好きなので、様々な価格帯のフレグランスを試しているけれど、この香りは決して安っぽく無いのに気負わず、背伸びをせずに纏う事が出来て、心が解れるような香り。暖かくてふかふかなベッドみたいだ。
私がこれまで所持していたグルマンで共通しているのは大人っぽく官能的な印象。モードであり究極のセクシー。そんな香りを纏うと決めた日のコーディネートは、レザーのジャケットに深紅のルージュ、髪はオイルでウェットに仕上げる。
だけど私は、そんな特別な日でなくともお気に入りの香りを纏いたい。いや、何ならとっておきの一日こそ、自分本位で大好きな香りに癒されたい。それがどんな一日であろうと、いつでも自分に馴染んでくれる香りを私は求めていた。
そういった意味において、ギモーヴ ドゥ ノエルのとびきり幸福な香りは、私にとってはいい意味で等身大だと感じられる香りだった。
自分の事も相手の事もとことん甘やかしたい。だって人は褒められてどんどん調子に乗った方が絶対良いに決まってると思うから。
この香りみたいに、どれだけ大人になっても「最近の若者は」なんて一生口にしないで、フレッシュな感性を受け入れて、楽しむ事を諦めない自分でいたい。
クリスマスに特別な思い入れがあるわけではないけれど、童心はいつまでも忘れたくない物だ。
いつもよりかなり慎重に選んだと言うのもあるけれど、ギモーヴ ドゥ ノエルとの出会いは久しぶりに心がキラキラときめいた素敵な瞬間だった。
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