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それぞれの人生

父を亡くした私を心配して、20年来の親友が私に電話をしてくれた。

彼女も3年程前に父親を病気で亡くしていた。

また、私達は3人兄弟の末っ子でファザコン気味と言うところと、互いの父親のことを良く知っていたというところで、気持ちを共有しやすかった。

それぞれの思いを吐露し、亡き父親を悼んだ。


そんな彼女が、目下悩んでいるのは母親との関係だった。

母親が他の子どもたちと折り合いが悪く、彼女に依存しきっているとのこと。

正直、重荷になっているという。

それを聞いて私がどう思ったか。

私は母親を19年前に亡くしている。

昔の私だったら、「悩めるだけいいじゃん、死んだらもうそれもできない」

と相手には言わないにしろ、心のどこかでそう思っていたかもしれない。

自分にないものを妬んで、卑屈になっていたかもしれない。

でも、今は違う。

根本的に、自分といくら境遇が似ていても、性格が似ていても、仲が良くても、やはり相手と自分は違う。

自分の気持ちは自分にしかわからないし、相手の気持ちは相手にしかわからない。

どうしても他者との比較の中で生きてしまいがちだけど、やはり、自分と相手は違う存在なんだ。


仏教の言葉で「生老病死」と言う言葉がある。

老いることも、病気になることも、死ぬことも辛い。

でも、生きることだって大変なんだ。

彼女は、彼女の人生の苦しみがある。

私も、私の人生の苦しみがある。

それ以上でもそれ以下でもなく、ただ、それだけなんだろうと思う。


ままならないことばかりだけど、だからこそ見える人生の輝きを大切にしていきたい。

そんな中で、大切な人の気持ちに寄り添いたい。

そんなことを思った夜。





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