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チャガタイ中野
2020年9月24日 15:35
連続岐路エッセイその① 一九九四年、当時十九歳だった私は大学進学のために長崎を出た。将来に対する目標など、何も持たない無気力な若者だった私は、ただ「このまま働きたくない」という、とても後ろ向きな理由で進学を志していた。大学選びも「演劇サークルがあるところ」という、学問とは何ら関係のない部分を重視していた。そしてとにかく実家を、長崎を出たかった。 なぜ演劇サークルなのか? 何も打ち込むもの
2020年9月30日 13:42
連続岐路エッセイ 最終回 仕事を失うまで、残り二ヶ月を切っていた。 ちょうどその頃、東京の外れにある大手自動車工場に季節工として働きに来ていた三〇歳の従兄弟が、契約期間を満了して長崎へ戻ろうとしていた。この一年、私は彼に付き合って東京の色々な場所を案内していた。 三〇歳になるまで長崎を離れたことがなかった彼には「一度は東京で暮らしてみたい」という願望があったらしい。彼は週末の度に都心に出て