【コラム】居酒屋で野球と政治の話はNGなのか
よく「野球と政治と宗教は呑みの場ではNG」といいますよね。
例えば、阪神ファンと巨人ファンが居合わせてて、それまで楽しく飲んでたのに「あ?お前巨人ファンなんか???怒」ってなることがあったら嫌なので、そういったアイデンティティの話は控えましょうってことなんだろうけど、これうちの店では完全にオープンにしたいと常に思ってるんです。
宗教に関しては、お互いの信念や教義等話し合っても理解できない部分や、誤解される部分が大きくありますから、これはNGでいいと思うんです。
ただし、「私は○○の教徒ですので食事に○○は使わないでいただけますか」と言っていただいたり、飲食店と宗教の付き合い方は今後もっと考えなければいけない重要な要素だと思います。実際何回かありました。これ、先に言っていただけると本当に助かります。別に宗教上でなくとも、アレルギーも含めてお客様がまず自分のことを話してくれるとすごくやりやすいんです。
で、政治と野球の話になりますけど、これって要は、違うスタンスの人々はどうせ分かり合えないからその話はやめようねってことですよね。
・・・いやこれめっちゃつまらなくないですか?だってそのくらい自分を持ってるコンテンツの話ができないなんて・・・そんなもったいない事無いですよね?
しかも反対意見も聞けて参考にもなるし、自分のスタンスもより明確になるしいいことしか浮かばないんですけど、なんかNGなムードがあります。
これはお店側が余計な不安要素を抱えたくないっていうのが大きいと思うんですけど、飲む側にとってはなんか自由度が低いですよね・・・
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
よく日本人は議論ができないとか言われてますけど、議論ができないのではなくて、そもそも議論の場がないんです。
日常的に他人と議論、っていうと大げさですけどお話しができる場所って、日本においては「居酒屋」が担っていると思うんですよね。居酒屋にとって、コミュニケーションをお客様にとって頂くということは、ある意味一番大切なんじゃないかと思います。
で、その際に一番大切な事は、店主、又は店員が「中立・公平なMC」であることだと思います。
例えば、テレビかなんかみながらのんでて
A「いやー、あの○○ってやつはいかんな。駄目だよあんなじゃ」
B「いやいや、○○はこうでこうで駄目じゃないんだよ」
ってなったときに、店側はこの話を広げるか切るかっていう判断が求められるんですね。一番よくないのは雰囲気が険悪になることですのでそれを阻止するためにどうするかって頭になります。
うちの場合、それを判断するために一回両者の間に入ります。
両者にとって中立な立場の人間がいるっていうことは、お互いの発言にある意味で保険を掛けられるのです。これによって、自分が絶対に正しいという認識に基づく、攻撃的なスタンスを柔らげることができます。
ところが、店側がどちらかの意見に安易に乗ってしまいますと対立構図が発生してしまい、結果として険悪な雰囲気を生み出してしまうおそれがあるんです。
しかしながら、どうしても、どちらも聞く耳を持たない場合、さらに有効な方法があります。
それは、店側が共通の敵となってAB両者を結託させることです。
すると、若干の認識のズレで対立していた両者は、とんでもないスタンス、又は無知な店側との対立するチームになることができます。
経験上、これが一番議論が円滑に進む方法です。居酒屋は知識、学問を求められますが、これ以上に、無知・馬鹿を求められるシーンが多い業種です。そのためには、「最適な馬鹿」になるべく、常に勉強する必要があるのです。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
話が少しそれましたが、居酒屋が議論の場として機能するには、店側のMC力がないと難しいということです。
飲む側の気持ちとしては、自分の好きな事、興味・関心のあることを話しながら飲めれば一番いいですよね。それは、店側が提供すべきサービスであり、そのための店づくりをしていく必要があります。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
政治、野球の話、いいじゃないですか。好きな事は好きと言って、嫌いなものは嫌いだと言ってください。少なくともうちではあなたのスタンスに反対は絶対にしません。ただし、どっかでいきあったら、私個人のスタンスでお話しすることがあると思いますので、その時はよろしくです。
おわり。またね!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
酒場chacha
市原市五井中央西1-14-13第二佐和ビル1C
043-25-3588
OPEN12:00-CLOSE22:00
日曜定休
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?