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健康食品における市場変遷をまとめてみた

こんにちは。チャボです。
最近、お仕事の繋がりで「獲得効率が悪くなった」「売れる広告を作りたいがなかなかうまくいかない」という話を色々な方から伺います。
今、現職で健康食品のマーケットリサーチをいろんなカテゴリで行ってますが、その中で感じること・・・

ーーー健康食品を選ぶお客様の価値基準が変わってないか??

今回は、ここ数年の市場変遷から顧客の価値基準のシフトを自分なりにまとめてみました。

健康食品•機能性表示の市場変遷

まず、市場全体から動きを見てみましょう。
現在、健康食品は約9000億円前後の市場です。ここでいう健康食品は食品、サプリを含めた市場として捉えています。
ここ数年で市場はやや横ばい傾向の状態です。規模が一定まで成長しており、人口減少にある日本ではここからの伸長にはイノベーションが必要と考えられます。

健康食品市場 矢野経済研究所より

さらにこれを、機能性表示食品の市場でみてみましょう。
機能性表示は2015年に制度が生まれ、それ以降、食品・サプリ含めた両市場で伸長をしていました。
注目すべきは2020年。ここを境にサプリメントの市場は鈍化傾向となり、食品は継続伸長の見込みとなっています。これはどういうことでしょうか。

機能性表示食品市場 矢野経済研究所より

コロナを起点にした顧客トレンドの変化

コロナでの市場トレンド

ここからは少し顧客を起点に、市場動向を見てみましょう。
まず、コロナ期間中に流行った商品は以下の例です。

コロナ期間中での伸長商品 インテージデータより

上位から、食品にかかるものでは「オートミール」「麦芽飲料(ミロ)」「プロテイン」「ノンアル」「栄養バランス食品(やや広いですが、、)」などが挙げられます。
ここの注目ポイントは2点でいずれも「食品形状であること」「基本栄養素を補うものであること」です
上記に粒カプセルのサプリメントは含まれず、健康意識の対処行動が基本的に「食」に向いていたと考えられます。コロナ期間中はおうち時間やワークライフバランスが劇的に変わったため、上記のように「食」を軸に考える時間やきっかけがあったのかもしれません。
かつ、「基本栄養素」に視点が向いているのも特徴的。以下機能性表示サプリの市場と照らし合わせるとよりわかりやすいと思われます。

サプリメントでの市場変遷

では、サプリメントの変遷はどのように変わってきたのでしょうか。。機能性表示以降から順に見てみましょう。

●2015年〜 機能性表示の設立
2015年に機能性表示の時代が幕を明けました。第一号はLIONのラクトフェリン。内臓脂肪を減らす機能を皮切りに各社機能生表示を展開し、市場拡大が進んできました。

機能性表示食品第一号の LIONラクトフェリン

●2017年〜 市場拡大期
機能性表示を軸に広告PRを拡大する会社が増加。ダイエット市場ではLION、ファンケル、富士フィルムの台頭により市場での競争が激化しました。
かつ、葛の花イソフラボンによる景表法事件などもあり、市場の拡大・過度な広告による取り締まりを繰り返しながら、市場は伸長していきました。

●2019年〜 ヘルスクレーム合戦の時代
ちょうどこの頃に、市場へ機能性表示商品が溢れてきたこともあり「モノがないから売れる」時代が終わりを迎えはじめます。各社、差別化を図るため「価格競争」「ヘルスクレームの数での戦い」「新規成分での差別化」がはじまり、市場がだんだん成長鈍化していきます。

(ヘルスクレーム合戦の例)
糖や脂肪の吸収を抑える
→糖や脂肪の吸収を抑える&おなかの脂肪を減らす
→糖や脂肪の吸収を抑える&おなかの脂肪を減らす&腸内環境を整える
→お腹の脂肪、中性脂肪、体脂肪、体重、ウエスト周囲径をへらす

●2020年〜 コロナによる消費の変化
コロナによって消費トレンドに変化が現れます。今まで伸長を続けていた医薬品的なサプリ(健康診断数値、これをとれば痩せるというようなダイエット製品)が、コロナ太りが騒がれた2020年夏時期を境に横ばい縮小傾向となっていきます。
ちょうどこのくらいから、プロテインで筋肉をつける/おうちトレーニングなどが定着しはじめ、今の土台になる「本質的な健康」を求める傾向が強くなってきます。

実際に各社の広告を見ると、サントリーさんがDHAとセサミンの広告で、コロナ禍に打ち出した「基礎健康力」が象徴的で、アサヒ・DHC・ファンケルを見ていても、基本的に新調したカテゴリは、ビタミン・ミネラル・DHA・乳酸菌などの基本栄養素だったように思われます。

そのため、サプリメントへ求める事項が
(従来)「何かしらの健康悩みを手軽にケアする」という目先の手法

(これから)「食・栄養素材」を軸にした「健康の土台を作る」という部分にシフトしていったのではと思われます。(ヘルスケアではなく、ヘルスメイク)
これからもこの傾向は続いていくでしょうね。

象徴的な各社動向

各社動向にもこの動きは現れています。いくつか事例を挙げて紹介します。

資生堂

2023年にカゴメ・ツムラとの協業を発表。現在、複数の健康食品を展開しています。この協業で資生堂は、「ツムラ=漢方のもつ土台から身体を整える」「カゴメ=野菜の持つ食事から身体を育む」といった自社が持たない各社の強みを生かしつつ今の時代に合わせた製品・展開を進める皮切りになっています。
美は健康から作られるというこの考え方は、今の時代に合わせた資生堂のブランドパーセプションチェンジのための大きな1手です。

資生堂 キービジュアル
資生堂×ツムラ キービジュアル

FANCL・DHC

この2社は先日、コーポレートメッセージが変更されました。
FANCLの例で見ると、科学者が会社のスタンスを届ける正直品質→なにげない感動をずっと。というメッセージが提示されています。
「日常の肌が安定する・昨日よりも体が軽い。そんなささやかな喜びが続く毎日のために」というあたりが、今の健康を作り将来を健康であり続けることのスタンスにつながっています。

FANCL 新メッセージ
FANCL 旧メッセージ

DHCさんもマルチビタミンミネラルの商品で、つい普段の生活でやってしまうことも健康の土台を整えることで乗り切ろう。というようなメッセージを込めて展開をしています。

キューサイ

ここもコーポレートメッセージを変更しています。メッセージを「人生初を、いつまでも。」と変更しつつ、数年前からケールのリブランディングを進めています。
基本的な身体の状態を作っていく考えを今後強化していくのでしょう。

キューサイ ブランドメッセージ

終わりに

現在、市場の環境はコロナを経て変わってきています。
そして各社がそれを察し、新たな市場での戦いに向けて準備指定している状況です。日清などは既にある資産を生かし完全メシの強化を進めています。
カップヌードルとの比較したCMはかなり業界では話題になりました。(自社の資産をCMでこんな扱いすることは、数年先を見ないとなかなかできません・・・)


以上、今回は市場の変遷を直近の各社動きも含めてまとめてみました。
今回は広い捉え方でしたが、カテゴリごとに変遷が面白いので、次はまた別の軸でこの辺を紐解いてみようと思います。

それではまた。

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