ホストクラブと掛け取引の話

若い女性がホストクラブに多額の借金を作って、支払いのために身体を売るという件に対して、あれやこれやといろいろな界隈で騒がしいようだ。

SNSでは、キャバクラで嬢に貢いでおるおっさんと何が違うんだ、本質は同じじゃないか、それならおっさんたちも(弱者男性たちも?)救済しろ! なんて声も耳にする。

ただ、これに関しては異論がある。 
ある意味正論だし、感情論的なことも分からんでもないのだけれど、事の本質はだいぶ異なっていると僕は思う。

本来なら、「僕のことも救済して!!!」も声高に叫んでも良さげなレベルで こそこの金額を歌舞伎町に落としてきた僕が言うのだ。

ポイントは2つ。

ひとつは、相手の状況に関わらず、掛け取引を組織的に許可しているところ。また、一部では(あるいは「その多くは」なのかもしれないが、詳しくは知らない)それを店と客ではなく、ホスト個人が店に立て替えたうえで、女性客に支払わせるよう仕向けている部分だ。

もちろんそこには恋心やそれに近しい何かしらの感情を悪用して儲けてやろうという意図がはっきりあるのは言うまでもない。 
掛け取引とは、従来、ある程度の信用がおける取引先同士の間でこそ成り立つものだけれど、この場合は、なんの資金的余裕を持たない客であっても、後に、半強制的に女性の性を売り物にしてでも回収するという報方針ありきなのだから、非難されてしかるべきだ。

「キャバクラとおっさん」 バージョンでこれが成立しないのは、いうまでもなくおっさんには売るものがないからに他ならない。

2点目のポイントは、その客が十代であったり、二十歳そこそこの若い娘たちであるという点だ。

成人年齢が18歳に引き下げられたとはいえ、やはりそれでも18歳(そもそも酒は20歳からのままだったはずだが……)。

いくら小生意気で、ノリノリで歌舞伎町を闊歩していたって、夜の遊びの経験値は限りなく低い。

飲み方も遊び方も知らない、いわば夜の界隈ではひよっこ、おこちゃまたちを、過剰によいしょしまくるなり、「君だけだよ」なんて言いくるめて、借金漬けにするなんてのは極めて悪質だ。

繰り返すけれど、法的に成人していたって、いくら小生意気だって、正しい飲み方、遊び方を知らないおこちゃまたちに、身体を売らせて回収するという将来を担保に、湯水のようにカネをじゃぶじゃぶ使わせる行為は、どんなに正論風の言葉を繰り出したって、やはり暴力的な商売のやり方だと断罪せざるを得ない。

自己責任論もあるだろうし、彼女らに対しては、成人なんだからきちんと自分で判断するように、と、将来のために咎めることはすべきだけれど、それでも、だ。

本来の掛け取引の在り方からは全く外れた状況でで、ホスト個人と客という間柄でそれに準ずる取引を行ったうえで、感情を利用して身体を売らせて支払いに当てさせる。また本来の正しい飲み方、節度ある遊び方を知らない、夜の世界の経験値の低いおこちゃまたちに、限度を超えた金銭を使わせる。

そういった乱暴な商売を前提としたものは、放っておいてもよいわけはなく、自己責任論なんて言葉で片付けて良いものでもなく、違法じゃないだけで、やっていることはヤクザと変わらないのだから、こればっかりは、騒ぎ立てるべき事案だ、と思うわけです。

ただ店が直接関与していない(風に見せている)ホスト個人が立て替えているケースって、条例やなんかで取り締まりってデキるもんなんね? そこだけ疑問が残る。

まあとにもかくにも、こないだまで女子高生してたような年齢の娘らが、真っ当な社会の大人の手引なく、経費でもなく奢られでもなく、いきなり自分でホストクラブに凸して借金作らせられてって状況は異常だわね。よくある初回無料で引っ張っていてってのも沼に引きずり込む気満々だし。

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