ゆるりぬるりと過ぎていく✴︎遊学日記week8@CDMX, México
いろんな人にスペイン語に慣れてきたねと言われた1週間。
少しうれしい気持ちで過ごしていると、またすぐに、理解できない、伝えられない状況に直面して奮い立たされる。
6/3 かんちがい
授業でコラムがすらすら読めた。
日常会話も拾える単語が増えてきて、今まで呪文のように聞こえていた家族の日常会話も想像力をフル回転にしながら理解できるようになってきた。
気がしていただけなのか。
もらった本は知らない単語で埋め尽くされていて、一度読んで、わからない単語を調べてもう一度読み返す、の手順でしか進むことができず、途中で眠りに落ちてしまうのがお決まりの流れ。
お家に来たホストファミリーの知り合いにご挨拶をして、少し話聞いていきなよと家族に言われて端に座る。洋服のデザイン、流通の話をしているらしく、どんどん会話は進んでいく。
「わかった?」と聞かれて、「分かった気がする。」と返事をしたら、「はい、じゃあなんて言ってた?」と聞かれて、改めて記憶を遡ってみると、何も残っていなかった。
今までの全部の会話がわかっていた気になっていただけで、自分の中には何も残っていないと思うと恐ろしくなった。
勘違いせず、調子に乗らず、がんばります。
6/4 2500円でおもしろおかしい経験
夜、語学学校の友人と出かけた。向かう先はクラブ。
語学交換を目的として、毎週火曜日にメキシコシティの中心部で開催されているクラブイベント。
日本語を勉強しているトヨタで働くメキシコ人女性、日本語を勉強しているティーネイジャー男女、日本とアメリカのハーフでメキシコに引っ越してきてリモートで働いている府中出身の男性、たまたま流れ着いて日本語テーブルに来たメキシコ人カップル、ベトナム語とスペイン語が話せるアメリカ人男性、、それぞ異なるきっかけや理由で母国語以外の語学を学んでいた。互いの国の文化や言語にリスペクトがあって、安心してその場にいれた。
クラブなので、もちろんほっと一息できるわけではなく、変な人もいた。
たくさん話したあとに、友人らとクラブフロアに降りて、踊ったり話したりしていたとき。どこから来たのとか色々話していて、サルサを教えてあげるよと言われてステップ踏んでくるーって回ったりしてたら、距離感にバグが生じてきて、キスしようと言われ、どう逃げようか考えていたところを友人に助けられた。
年齢や見た目で判断するのはよくないだろうけど、40手前(知らないけど)のでぶっちょおじさんはさよならです。
日本語を勉強している女の子から、後日メキシコシティを案内するよ〜との連絡が来た。とってもうれしい。
この日のことは楽しい、おもしろおかしい記憶として残しておこう。
6/5 丸のなかに丸をつくる
2週間ぶりに、日系人のおじいちゃんおばあちゃんが集まる敬老会に参加した。
テーブルごとに配るお菓子の盛り付けを任される。メキシコ特有の辛めのスナック菓子とクッキーは定番で、この日はそれに加えて一口サイズのおせんべいを入れる。
籠を4つのテーブルに置いていく。一番最初になくなるのはどのテーブルもおせんべいだった。
今回は100歳の誕生日を迎えたおばあちゃんを含め、3人の方のお誕生日祝いで歌を歌って、ケーキを食べた。ここにいる方々はお肌がつるつるで足腰もしゃんとしているので、年齢を聞いて驚く。
メキシコのケーキの切り方が不思議だなと改めて思った。
お祝いはみんなでするから、大きなケーキを買って、大人数で分けるからこうなるのだろうか。この日だけでなくて、他の日にケーキを食べた時もこの切り方だった。
6/6 JUEVEBES
このお家はたびたび来客がやってくる。今日は幼馴染家族。
来客に合わせてホストファザーが料理をつくる。
"sunomono"を作るよ〜と言われたので、キッチンに行って手順を見る。
きちんと細くて小さなきゅうりを用意していた。
薄切りにして、塩で揉んで少し水分を出す。
醤油とお酢と黒胡麻を入れて混ぜる。
味見タイム。
何か足りないと思ったら砂糖を忘れていた。お酢と砂糖を少し足して、完成。
甘めの料理が苦手なホストマザーが一口食べて、おいしいけどちょっと甘いね、と一言。甘さレーダーが鋭い。
作りたい、食べたい日本食を考えてみたら、甘さが決め手になっている料理が多かった。
生姜焼き、肉じゃが、煮物、大学芋。日本米も他の国と比べて甘みが強い。
作り方を考えたら味付けに砂糖やみりんを使っている。
メキシコにきてから食べている料理で、味付けに砂糖が使われていることは基本的にない気がする。今まで気が付かなかった大発見だった。
ちなみに我が家の卵焼きは砂糖をいれない。
他にもチーズやホストファザー手作りのチーズが客間のテーブルに並び、赤ワインとともに嗜む。お互いの近況や、周りの結婚や出産などの話に花が咲く。小さい頃に一緒に遊びに行った時のおもしろエピソードもどんどん出てくる。幼い頃から一緒だった子どもたちとお酒を飲みながら話しているなんて、感慨深いんだろうなと完全アウェイなわたしが感傷に浸る。
ちなみに木曜日にお酒を楽しむことをJUEVEBESというらしい。
6/7 1本2本3本、これなんほん?
日本人とメキシコ人が集まる会に参加した。
日本語教室と言われていたので、日本語を教えるのかなと身構えながら足を運んだのだが、みんなでおしゃべりしましょうという緩い雰囲気の集まりだった。
日本語とスペイン語を混ぜながらおしゃべりして、日本語の「数え方」の話になった。
日本語が母国語じゃなかったら、頭が壊れそうなくらい複雑だろう。
小さい頃お姉ちゃんとよくやっていた遊びを思い出して、一緒にやった。
後から日本語を勉強してまだ2ヶ月しか経っていないと聞いてびっくりなくらい、日本語を話していたし、スポンジを超える吸収力だった。
6/8 amorであふれる
メキシコシティでたくさんお世話になっている家族のお母さんのお誕生日ごはん会にお呼ばれした。
almendradoというアーモンドがベースのソースでチキンを煮た料理を作るよとのこと。1から一緒に作りたかったけど、前の用事が少し長引き、仕上げのみ参加。
almendradoというのは、メキシコ料理に使われるソース mole の一つ。
ペーストを使うのかなと思ってお家にお邪魔したら、砕かれて真っ白になったアーモンドがぐつぐつと煮込まれていた。ミキサーで材料を順番に砕いて、煮込んでいくよう。comida casera (おふくろの味)だ。
順番にミキサーにかけて、鍋にいれて煮込んでいく。
昔は一人しか mole を作る鍋を混ぜてはいけなかったらしい。じっくりぐつぐつお世話をする。
お母さんは誰かに呼びかける時に amor という。愛する人、という意味。
amor がたくさんとびかうお家でつくられたご飯は優しさであふれていた。
ちなみにこの日は Copa América のメキシコ対ブラジル戦が繰り広げられていた。後半で同点になったと思ったら、終了2分前にブラジルにヘディングで1点決められた。あちゃ。
6/9 Gokuくん
メキシコシティが位置するMéxico州と隣り合わせのPuebla州出身の子が mole と tamal を振る舞ってくれるとのことで、お誘いいただいてお家におじゃました。
mole は前述の通り。
tamal はとうもろこしを使った一品。
この日いただく mole は mole poblano。たくさんスパイスが入っている黒いもの。一から作るのは大変なので、ペーストをコンソメスープで伸ばす方法。
tamal は今まで食べたことのない見た目だった。Puebla 北部出身の彼女の地元付近で定番のよう。トウモロコシをすりつぶした粉とバター、そしてalberjónと呼ばれるひよこ豆くらいの大きさの乾燥させた豆を混ぜて、バナナの葉に包んで蒸す。
tamal とarroz rojo(ケチャップライスみたいな) と pollo seco(鶏肉をさいたもの)たちを mole と少しずつ混ぜながらいただく。
mole は前に食べたものよりも苦味があって、甘すぎずとってもおいしかった。
「死ぬ前に食べたいごはんはこれ!」っていうくらい大好きで、地元を思い出す味なんだそう。
一緒に食べていた一人は、Pueblaと並んで美食で有名なOaxaca出身。彼も mole oaxaqueño(Oaxacaのmole) を食べるとオアハカに帰った気分になると言っていた。
ご飯を食べた後はおしゃべりしたり、カラオケしたり、ゲームをしたり。
「アニメ見る?」は日本出身と言ったら当たり前に聞かれる質問。メキシコではドラゴンボールは知ってて常識というくらい、90年代に流行った。
その影響でか Goku という名前を子どもにつけた人が出てきて、その後法律で禁止されたらしい。メキシコには他にも nombre prohibido (禁止された名前)がある。
Burger King, Email, Facebook, Harry Potter, Hermione, Micheline, Yahooなとなど他にもたくさん。何かのキャラクターやお店、サービスの名前、聖なるもの、ちょっと下品なものも。
禁止になるってことは、つけようとした人がいたということ。
名前への想いの込め方はいろいろだ。
振り返ればいろんなことがあったけど、なんだか当たり前が増えてきて、いろんなものに鈍感になってきた気がする。新しいルールでもつくって、もう一度意識をピンと伸ばしてみよう。
小さな幸せを拾い集めて、かけがえのない出会いに感謝して、あらゆる出来事をおもしろがる。これはずっと続けること。
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