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2週間前のわたしです✴︎遊学日記week10@CDMX, México

体に染み付いてきた日々のサイクルが終わりを迎え始める1週間。

6/17 寂しさひとつまみ

夜、リビングのソファを独り占めしてMUSEOを見た。

1985年のクリスマスイブにMuseo Nacional de Antolopología で140ものプレヒスパニックの資料が盗まれた事件をもとにした作品。

Museo Nacional de Antropología はアメリカ大陸最大の博物館で、メキシコ、世界中から来場者が訪れる。メキシコシティのおすすめの場所を聞いたらみんなが一番におすすめしてくれる場所。

映画の内容を完全に理解できたわけではないなかで、わたしの頭をよぎったのは「文化財返還問題」。この博物館には売買や窃盗などで他国から渡ってきたものはないけど、もとあった場所から遠く離れたメキシコシティまで多くのものが運ばれている。
博物館の外に建っている Chalchiuhtlicue は水の女神。同じく水と雨の神である Tlaloc の妻である。1963年に Chalchiuhtlicue を運ぶことが決まり、あらゆる作業が行われ、1964年4月にようやく博物館にやってきたこの女神。この女神がメキシコシティを移動している最中、市内は大雨と洪水が問題になった。うまくできた話と思う反面、その土地を離れることを拒絶する神の仕業のような気もする。

テスト勉強をしながら見ようと思っていたら、気づいたらテレビに齧り付いていた。ソファに絶対に小さな虫がいて手足がものすごく痒くなったのはここだけの話。

movie nightを楽しむ前、はじめての気持ちがわたしを包んだ。

お昼を食べて眠くなったわたしは15分お昼寝しようと思いベットに横たわった。次に目を開けた時には、空が少し赤く染まり始めていた。

椅子にかけられたシャツ、勉強机に広がるノートと本たち、窓の向こうに見える草木と空。見慣れた景色。

あと1週間したら毎日見ることがなくなって、きっと少しずつ薄らいでいく。

寂しい。その気持ちはひとつまみ。
その景色を見ることができている、安心。
これからも新たな景色へと更新されていく、興奮。
きっと今この瞬間でしか感じることのないもの。そう思ったらこの瞬間、この心、がとんでもなく愛おしくなった。

6/18 「移り住んだ国で人々はどのような食事をとるのか」

語学学校終わりに、お世話になっている日本人のお宅におじゃまする。

父の仕事の関係でインドネシアに4年(幼稚園前後)、イギリスに4年(中学生前後)暮らしていた。
日本人であること、日本ではない異国で暮らしているということ。この二つが混ざりながら、自分の中でかけがえのない事実として今でも残っているのは、きっと母が作ってくれていた食事。

アジア系のスーパーに行けば大抵のものが手に入るけど、高くて手が出ないものもあるし、せっかくならその土地のものを使って料理をしたい。初めてつくる料理にレシピに載ってない材料を勝手に入れてしまうくらいチャレンジングな母は、インドネシアでもイギリスでもいろんな料理を作ってくれた。

わたしのこの遊学の一つのテーマ、移り住んだ国で人々はどのような食事をとるのか

この日は念願かなって、料理上手な知り合いの日本人のお母さんにお料理を教わった。

・jícama、にんじん、キャベツのオイスター炒め
・nopalと玉ねぎのきんぴら〜panelaの甘み〜
・nopalとわかめの酢のもの
・chile poblanoのきんぴら
・flor de calabaza、cilantro、なすの天ぷら
・chayote, calabaza redonda, にんじんの浅漬け〜sal de Zapotitlán salinas〜
・かぼちゃとビーツのサラダ〜amarantosを添えて〜
・特製チャーシューと豆もやしの冷やしサラダ
・手作り鰆の一夜干し
・flor de calabazaと豆腐のお味噌汁〜cebollínを添えて〜
・手作りたくあん
・ご飯
・マンゴーサラダ〜jícamaときゅうり入り〜
・plátano machoの茹で焼きと天ぷら

お品書き

ホームステイ先でよくでてくる食材たちが、「日本食」になっている。
味を締めるために、昆布茶や鶏ガラのスープの素を入れることもあれば、メキシコの伝統塩やcafe de olla で使われるトウキビ砂糖 piloncillo を入れることもある。
少しずつメキシコと日本が折り重なっていく感覚が新鮮だった。

「作った!おもしろかった!」だけで終わらせたくない。何ができるだろう。

お土産にお庭の山椒と大葉をいただいた
ありがとうございます

6/19 歯が溶ける青い液体

学校帰り、友人に連れて行ってもらった場所で出会ったお酒、azulito。歯が溶けそうなくらい甘い。

コップの周りにブルーベリー味の甘グミを溶かしたようなものを回しかけ、ウォッカとスプライトを混ぜて完成。
調べてみると定番のものは、エナジードリンクとグミと酸っぱい液体もいれるらしい。とりあえず色々混ぜてみればいい、みたいな思考はなんなんだろう。おいしくないわけではないけど、また飲みたいかと聞かれるとそうでもない。

缶でも売ってるらしい

6/20 エンジンはチョコレート

語学学校のテスト一日目。パソコンと対面し、2時間問題と戦う。

早起きをして総復習をしていたら、わかっていなかった気になってただけかも、という思いがどんどん湧いてきてしまった。
学校ではエネルギーとポジティブな気持ちを補充するためにチョコレートを買って、そわそわと開始時刻を待った。

多分無事に、テストが終わり、ダンスの授業の打ち上げにクラスメイトと向かう。先生がご実家を解放して、ピザと音楽の生演奏を用意して待っててくれた。
お父さん、お母さん、いとこ、弟、もやってきて、先生家族と生徒たちでみんなで盛り上がった。初めましての人たちが当たり前のように同じ場にいて、一緒になって踊るのが当たり前なところがメキシコの好きなところ。

教えてもらったのはJarabeというメキシコの伝統ダンス

6/21 食べれるのは2日後

語学学校のテスト二日目。30分弱の会話試験。正直一番緊張していた。

文法が理解できて、何を言っているかを理解できても、自分が「話す」のは別物。そわそわしすぎて、早く学校に到着してしまい、余計にそわそわした。そわそわしているわたしを安心させようと友人が会話試験でありそうな質問を出してくれたりしたけど、うまく返せず余計に心配になった。

あんなに心配していたのに、試験は先生とのおしゃべりだった。その中でも既習事項を正しく支えているかを見られていたんだろうけど、あっという間に、和やかに、先生たちはたまに爆笑して(愛想笑いだったのかな)終わった。
途中言葉を補ってくれたり、相槌をいれてくれたり、サポートしてくれたペアの子に大感謝。

テストが終わり、家に帰る。ホストグランドマザー(?)に得意料理を教えてもらう約束をしていた。

たらーっ!

材料:
・牛肉(脂身と脂身じゃないところをわけておく):500gくらい?、1cm角
・じゃがいも:2個、5mm角
・たまねぎ:2個、みじんぎり
・にんにく:3片、そのまま
・トマト:3個くらい?、5mm角
・chile pasado(乾燥した唐辛子):1袋(100g)
・塩
・油
・水
作り方:
①鍋に油をひき、肉の脂身をカリカリになるまで炒める。カリカリになったら鍋から一度肉を取り出す。
②じゃがいも、たまねぎ、にんにくを入れてさらに炒める。温まったら一度取り出す。
③脂身じゃない肉を炒める。
④肉がいい具合になったら、トマトを加えてさらに炒める。
⑤①で取り出した肉を加えて炒める。
【いろいろ炒めている間に、乾燥した唐辛子をお湯でふやかし、中の種と筋をきれいにとる】
⑥ひたひたより多いくらい水を入れる(トマト汁とお肉の油ですでに美味しそうな見た目)。
⑦種と筋をとった唐辛子を加え、少し塩味を感じるかな〜というくらい塩を加える(煮込むのでこのときしょっぱくしすぎると危険。この時点では唐辛子の辛さがちょっとある)。
⑧1時間ほど煮込んだら火を止める。
⑨3時間ほど放置をして、再度一煮立ちさせる。
⑩一日から二日ほど寝かせる。完成(このときには唐辛子の辛さが全くない)。

caldo de res(分量は適当だけど多分つくれる)

煮込みながらみんなでおしゃべりをしているときに「食べれるのは明後日の夕方かな〜」と言われびっくりした。てっきりつくったものを一緒にその日のお昼ご飯として食べると思っていたのだ。

結局翌週月曜日に食べたcaldo de res

待てば待つほど味に深みが出て、辛さも遠のいていく。手間はかかるけどおいしい一品。

6/22 少しずつ当たり前になる

特に予定がないまま迎えた土曜日。ホストファミリーへのお礼は何をしようか、これからどうしようか、ぼやぼや考えていたら午前中が終わりそうだった。

せっかくの土曜日にどこにも行かないのはもったいないと思い、友人の予定にお供させてもらうことにした。

待ち合わせの駅に早く着いて腹ごしらえで、pastes を買った。

中身はmole de pollo

・英語の pasty から来ている
・19世紀、Hidalgoに炭鉱掘りとしてやってきたイギリスの Cornwall 出身の移民たちが食べていた cornish pasty が定着したもの
・ひき肉とじゃがいも、ハムチーズ、鶏肉の甘辛ソース、りんごなど中身はいろいろ
・メキシコシティでも売店のような形のお店がたくさんある
・スペイン語、ポルトガル語圏でよく食べられる empanada と似ている。
・empanada の方が皮がしっとりしていて、調理された生地に調理済みの中身を詰める。pastes 皮の周りが三つ編みされていて、生地と中身を一度に調理する。(らしい)

pastesについて

Plaza de las Tres Culturas にみんなで向かう。

メキシコシティ北部にある広場で、メキシコが辿った3つの歴史文化を見ることが出来ることから las Tres Culturas (3つの文化)という名前がついている。

①ピラミッドと Tlatelolca と呼ばれるアステカ帝国の商業の中心だと言われている都市(14世紀前半)
②スペイン征服時代の象徴である el Colegio de Santa Cruz と呼ばれる教会(16世紀前半)
③Pedro Ramírezがデザインした建物たち(2005年)

3つの文化

何度も何度も同じ曲を流して、広場で遊戯会の練習をする子どもたちが聞こえる。いくつもの時間軸が重なり、各々が主役だった時代をぽつりぽつりと感じた。

6/23 ぺちゃんこ

言葉だけ先走ってしまうことがある。

自分のことを説明するときに、自分の中身が置いてけぼりにされて、まだゆるい形しか持っていない外側があっちにいってしまう。
そんな今にもぺちゃんこになってしまいそうなわたしを、すごいね、と聞いてくれる人がいる。そんなときに自分の胡散臭さにうんざりする。
置いてけぼりにされるわたしも、先走ってしまうわたしも、うんざりするわたしも、全部まとめて自分。少し追いかけるくらいがきっとよいんだろうな、と思うので、もうすこし今ここにいる自分と向き合わなければ!

かっこいい大人でいたい、そう話してくれた大人がとてもかっこよかった。これも今日の忘れたくないこと。


少し書くのをさぼったら、あのとき感じていた気持ちなのか、少し時間がたった今だからこそ感じる気持ちなのかわからなくなってしまった。あちゃ。

@Plaza de las Tres Culturas

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