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C28ラガービールでとりあえず乾杯

ちょっと気分がハイになり、「ジェームズ、どんな酒で勝負をするんだ?」と尋ねると「ビールかな?」と返ってきました。「ふざけるな!ビールで勝負なんてばかばかしい」と言い返すと、ジェームズは「ボクは、初めにビールが飲みたい」とごく当たり前のことを言いました。その点は同感だったので、「初めの一杯は、お前がおごれ!」と先輩風を吹かせて言うと、意外とあっさり「うん、わかった!」と承諾しました。「よし!」と一杯目は、生ぬるいラガービールで乾杯しました。なかなか芳醇な香りで、生ぬるいビールなんてバカにしていたが、いやいや美味しいものでした。つい気も大きくなり、「ジェームズ、2杯目は俺のおごりだ!」と盛り上がりました。

すでにジェームズの顔は赤くなっています。白人のためか、余計に赤がくっきりしていました。「それで、ジェームズ、どんな酒で勝負するのか?スコッチウィスキーか、モルトウィスキーか?どうだ?」と聞くと、「ボクは、強い酒は好きじゃないので甘くておいしいお酒がいい」と言うではありませんか。なんじゃ、こいつマジで酒が飲めるのか?といぶかしみました。そこで、ドリンクの欄を見ると、シェリー酒という文字が目に飛び込んできました。確か甘いお酒だったという記憶があったので、「お前は、シェリー酒を飲んだことがあるか?」と聞くと「ない」との返答。「じゃあ、まず一杯目の勝負は、シェリー酒だ!」ということにしました。

前金制なので、カウンター越しに金を払って、目の前にシェリー酒が運ばれてきました。きれいな細長いグラスに注がれたシェリー酒は、ほのかにピンク色で、なんとなくクリスマスの時に日本でお子様が飲む炭酸飲料にも似ています。まず色のインパクトはなんともかわいいものでした。「イキオ、シェリー酒に乾杯だ!」と生意気なことを言うジェームズに「あぁ、勝負だ!」と気合を入れて、グラスに口をつけると、はんなりと口当たりは甘く、スーッと入ってきました。上手い!そう思いました。たぶんジェームズも同じことを感じたらしく、「イキオ、ボクはこのお酒が気に入った!」とあっという間に飲みほしました。くぅーっ、負けてたまるかと、こちらも一気に飲み干すとウェイターにもう一杯ずつ同じシェリー酒を頼みました。

おばかのジェームズは、「イキオ!これは俺が始めた勝負だから、今日の酒代はみんなボクが出すよ!」などとふざけたことを言うので、「当然だ!」とその提案に乗って、全部酒代はジェームズ持ちとなりました。いやいやこれは楽しいことになってきました。

イングランドのシェリー酒について

シェリー酒は、スペインのアンダルシア地方で生産されるフォーティファイドワインの一種で、その名はスペインの都市ヘレス(Jerez)に由来します。シェリーは独自の製造プロセスを経て作られ、その過程でブドウの発酵を止めるためにブランデーを添加し、アルコール度数を高めます。この独特な製法により、シェリー酒はその豊かな風味と長い保存期間が特徴です。

シェリー酒にはさまざまな種類があり、主なものとしてフィノ、アモンティリャード、オロロソ、ペドロ・ヒメネスなどがあります。フィノは軽くて乾いた味わいで、冷やして飲むのが一般的です。アモンティリャードは中程度の色と風味を持ち、オロロソは濃厚でリッチな味わいです。ペドロ・ヒメネスは非常に甘く、デザートワインとして楽しまれます。

イングランドでもシェリー酒は人気があり、多くのパブやバーで提供されています。特にクリスマスや特別なイベントの際には、シェリー酒がよく飲まれ、その甘くて豊かな風味が楽しみの一つとなっています。シェリー酒は食前酒としても、食後のデザートワインとしても最適で、その多様な味わいはさまざまな料理と相性が良いです。

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