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【起業】一戸建て賃貸業ノウハウ⑸接触交渉

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接触交渉
 続編第5回は、土地建物の売主と、いかに接触し、どのように交渉するのかをお題として取り上げます。
 最初に、仲介業者が取り扱う物件について、不動産売買の商習慣のほか、交渉にあたりどのようなコツがあるのかをお伝えします。
 次に、読み物として、私が直接交渉した相続不動産の売買を記しました。
 ここ1年間で契約した実例であり、示唆に富んだ内容となっています。直接交渉のキッカケとなった、私の書いた手紙も掲載してみました。


1 仲介物件の売買交渉

不動産の売買はゼロサムゲーム

 不動産の売買は、ゼロサムゲームです。
 物件の売買価格が動き、上がれば売主のゲイン、下がれば買主のゲインになるからです。
 仲介物件はすでに売主希望価格が明示されていますので、よりゼロサム感があるでしょう。

売主が一番知られたくない売却理由

 伝統的に、不動産の取引は先に意思表示をした方が不利となります。
 仲介物件の場合、売主が先に手を挙げており、その売却理由は明らかにせず、仲介会社に売却理由を聞いても教えてくれません。売却理由を伏せることが唯一の交渉材料だからです。
 売主の立場では、物件の売却に至った理由は複数あるものの、やはり「売り急いでいるという理由」だけは、買主に足元を見られますので明かしません。不利を承知でポーカーフェイスしています。

 他方、仲介業者は第三者の立場であり、宅建法に基づく標準的な書面を作成し、売買の手続きを整えています。不同沈下や事故といったような、土地建物の瑕疵を隠していることはまずありえません。売主の契約不適合責任については厳しく、物件の種類・数量・品質を定型様式でチェックしています。

売買できなくても気にしない
 買主の立場では、売買は焦ってする必要はないものだと思います。
 賃貸業者のネット記事を読んだ限り「いま欲しい物件が手に入らなかったら、あとで欲しくならない」という感覚を抱くものだと知りました。
 私もそんな気持ちをもっています。

売れ残っている相続物件には差し値

 ところで、仲介物件のうち「相続物件」は、売却理由が明確なので、売主がすべてのカードを晒しています。
 売主は、商売とは関係のない相続人が多いため、はやく物件を引取ってほしいと願うケースばかりです。
 しかしながら、売れ残っている理由は、高値交渉は考えていないにもかかわらず、売主希望価格が高いと気が付いていないところにあります。
 そこで、「売れ残っている相続物件」は、引き取ってあげるという感覚で交渉し、ビジネスとして豪胆に差し値を入れるべきです。
 私は、それこそが相続人のためになると考えます。

 物件臨場または交渉の席で自分のビジネスネスモデルを説明のうえ、リメンド(reMend)のため、提示した差し値に理由があることを納得してもらえれば、私は手持ち現金で決済できる範囲で契約します。
 取引の1回性が高いとはいえ「商売の信用」とは相手の理解を得て、自らの約束を守ることで培われるからです。

 なお、宅建協会の標準売買契約書では、銀行融資不実行を停止条件として設定するのが当たり前ですが、私は相続物件の売買では信義に悖る行為になると思っています。お金のない買主の停止条件が約束を反故にする特約なんて、私は売主に申し訳が立たないからです。

2 相続不動産の直接交渉

 私は相続人と直接交渉して、ここ1年間で4回売買しています。読み物として、ありのまま記してみました。
 なお、小見出しは物件情報を掴んだ端緒です。
 読者が応用しても有効な手立てになると存じますし、仲介業者を経由しないため、仲介手数料や調査費用もかかりません。

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