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新規事業の3つの舞台と3人の役者たち(『演劇入門』からの着想:前編)

「私の人生を変えた一冊です」

帯にそう書いてある本は、何十何百とあるのでしょうが、私にとってのそれは平田オリザさんの『演劇入門』なのかもしれません

はじめて『演劇入門』読んだときのnoteはこちら。

とくに衝撃を受け、着想を得たのは『第二章 戯曲を書く前に』に書かれた3つの舞台のお話。そこには新規事業の舞台にも通じるものがありました。

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そもそも新規事業とは

語り尽くされたお題ですが、まずは「新規事業とはなんぞや」の目線合わせから始めさせて下さい。

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ここで新規事業とは、『1人が描いたカミ(企画書)』から始まり、『専門家の力を借りてカタチ(プロダクト)』にして『大きな組織的カツドウ(事業運営)』へと『変化していく(べき)』ものとします。

ここで「変化していく(べき)」とカッコ書きしているのは、多くがカミで止まり、カタチをうまく作れず、カツドウまでたどり着かず終わるからです。(私自身も、まだカツドウは未経験領域です。。)


3つの変化と3つの舞台

次に、それぞれの変化が起こる『舞台』はどこか。

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『カミは机』『カタチは現場』『カツドウは機能別組織』で作られる。

カミは企画書という単なる紙であり、気がつくと神のような絶対的な存在になるものです。それはとても私的(個人的)で一見するとだれも共感しないもののようにも見えますが、一部のカミには熱狂的な信者(ファンや仲間)が集まるようになります。

カタチはプロダクトだけでなく、いつも周囲に話すときの語り(カタリ)やミッション・ビジョン・バリューのような抽象的なものを具体的にしていく過程で生まれてきます。それは会議室を飛び出し、顧客を訪問して現場を体感する中で形作られていくので、必ず公私の混合(融合)で社会と接続される必要があります。(社会実装ともいわれますね)

最後にカタチはカツドウへと進化を遂げます。チームは機能別の専門家集団を統率し、システマティックに、効率的に活動できるようにインフラを整備していく必要があります。そこには私的なものの多くは薄まっていき組織に属する全員が共有できる公的な組織的なカツドウが主になります。


3つの舞台のイメージ合わせ

舞台は揃いました。では次に必要になるのは『役者』です。

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『チーム』ぶれない軸を共有し、同じ方針や目標を胸に抱く小集団です。余程のことがない限り、チームメンバーがいなくなることはありませんが。将来CXOになることを期待され、自身もその自覚をもつ挑戦者です。

『専門家』は、スキルや人脈等を一定期間提供してくれる存在です。チームの価値観に必ずしも共感していなくとも、専門的な力さえ発揮してもらえばOKなので、多くの場合は途中で離脱していきます。(もちろん一部の専門家はCXOとして継続的な支援をする場合もありますが、共感でつながれたチームメンバーではありません。)

加えて新規事業には『観客層』という外の人たちが存在します。チームの意思決定や投資判断に影響する人(Fund)、新しい取り組みを温かく見守る応援団(Power)もいますが、もちろん反対勢力(Brake)も存在します。


後編に向けて

舞台と役者が出揃いました。次の後編では、それぞれの『舞台裏』を展開します。役者たちはそれぞれ何を想い、何に苦しみ、どんな希望をいだいているのか

これからすぐ書きます。少々お待ち下さい。

※さっそく後編かきました。よかったら此方からどうぞ。