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新規事業の3つの舞台と3人の役者たち(『演劇入門』からの着想:後編)

こちらは、以下noteの続きです。

舞台と役者がそろったので、それぞれの舞台裏をのぞいていきます。

新規事業に着手した人たち

まずは観客がいない(いても口出ししない)、だれにもとやかく言われない『プライベートな舞台』から新規事業の物語は始まります。

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マーケットニーズなのか技術シーズなのか、個人の妄想なのか経営層からの要求なのかはさておき。はじめにこの新規事業の中核となるチームが誕生します。1人かもしれませんし、数名の共同経営者がいるかもしれません。

はじめは不安でいっぱいで、はじめて作った企画書案は日々塗り替えられていきます。しかし変え続ける過程を経ることで「自分たちが、変えてはいけないものは何か」が次第に明確になってくる。それはぶれない『軸』になり、一本目の足を置く『拠り所』になります。

観客からみるとどうでしょう。チームが何をしているのか、ほとんどわかりません。チームをよく知っている人たちは「彼らなら、何かやってくれる」と信じて託しており、信頼していますが、他の人達は「彼らは、一体何をやっているんだ?」という好奇心と疑いの気持ちが高まります。


とにかく早く、カタチに

小集団のプライベートな舞台もカタチをつくるためには、顧客との対話や専門家の協力が必要になり、『公私混合な舞台』の幕が上がります。

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チームで話をしていても埒が明かなくなり、彼らは会議室を飛び出します。顧客候補と対話をしていく中で、自分たちが向き合うべき「あなた(顧客)」をみつけ、現場がどこにあるのかが次第にわかると、『あなたに何を届けたらいいのか』がカタチになってきます。(プロダクト・マーケット・フィット等と言われるあたりでしょうか)

届けるべきカタチがわかってくると、プロダクトの開発が必要になり、エンジニアリングスキルのあるメンバーも必要になるため、これまで蚊帳の外だった観客層への説明を避けては通れません

はじめて話を詳しくきき始めた観客層は、前と話が同じだと「なにもすすんでないじゃないか」と思い、前回と話がかわっていると「聞いてないぞ」という反応になります。「早く利益貢献してほしい」という気持ちがある一方で、「リスクが高いので、スモールサクセスから」という言葉で結果としてスピードダウンしてしまうことも。。

一報、お手伝いとして支援する立場の専門家は、当事者意識が(始めは)ないので「自分のスキルを磨きたい」という個人的なモチベーションでチームに関わるようになります。結果として、チームと専門家の間の熱量のギャップに苦しんだり、これまで「言わなくてもわかる」と思っていたことが「言ってくれないと分からない」という状態になり、それもスピードダウンの要因になってきます。


私的なものを排除した、公的な舞台へ

『だれに何を届けるのか』が明確になり、売上獲得できるようになると、次に必要なのは利益であり、効率的で高収益な体制です。そのためには私的なことはなるべく減らし、公的な組織運営は避けられず、舞台は変わります。

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チームは、専門家集団を率いる『事業経営責任者』の集団に変わります。変わらず、迷わず定常運転できるよう、ルールを増やし、決まった行動をとれるように仕組み化することが求められます。今の事業だけでは成長に陰りがみえてくると、『二の矢・三の矢』を求められ、成長と効率との両立が課題になります。

事業経営責任者を支える専門家も、『専門家集団としての機能別組織』がつくられます。多くは別の事業部からの異動で構成されるため、ルールやインフラが整備されきってない不安定な状態の組織では「なんだか働きにくい」という反発を抱く人たちも増えていきます。一方で、それを成長するチャンスだと受け止め「仕組みがないなら新しく作ればいい」という挑戦者が現れると、これまでの既存事業のやり方にとらわれない、新たな事業運営が作られ始めます。(この舞台の主役は、専門家の方なのかもしれません)

観客層たちも、新規事業から『次の柱となる事業』に成長することを期待します。一方で、他にも数多くの新規事業があるため「どれがうまくいきそうか?」という目線で案件をみて、成功確率の高い案件にのみリソースを配分するという判断をするようになります。確率が高くない(あるいは分からない)案件に高額投資をするのはリスクが大きいため、二の足を踏みます。

・・・どの舞台の役者(当事者)にも、なりたくなくなりますね。。


3つの舞台を明るく、活気づけるには

それぞれの舞台と役者の思惑(思いや困惑)がみえてきました。

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「日本の製造業の新規事業を、もっと最高な舞台に変えていきたい」

それが私の『使命』です。1つの答えがあるわけではない。答えらしきものも、人と動いてカタチやカツドウに変えていかないと、答えになりません

「新しいことをやる」ことが新規事業部門の仕事です。さてさて。明日から何を仕掛けていこうかな。


前編、後編の図はパワーポイントでつくったので、ご参考まで。

よかったら、感じたこと考えたこと、行動していること。コメントもらえたら嬉しいです!ではでは。