見出し画像

【PRODUCT STORY】母の記憶 15

おかげさまで、リニューアルオープン後、早いもので1周年を迎えます。
ということは、ITOCIも1年経ちました。早いですね。
本来noteにはブランドのことやプロダクトのことを書く予定で始めました。
サイトではお伝えしていますが、
まだプロダクトストーリーをnoteでお伝えしていませんでしたね。
少しずつですが、どういったいきさつで作られたのかを、綴っていこうと思います。


-----


まずはITOCIのアイコンプロダクト《one mile apron》から。

この2年間、世界中で誰もが今までの世界から急激に引き離され、自分自身と真剣に見つめ直す日々を過ごしてきたと思います。
今までのnoteでも綴ってきたように、私もみなさん同様、内なる自分と向き合い、仕事や家族、人との繋がり、身の回りのモノについて、深く深く考えさせられた時間でした。

お仕事も小休止したということもあり、私も空いた時間でお料理をしたりお菓子を作ったり。
そんな時ふと、幼い頃母が一日中エプロンをつけている姿を思い出しました。
必ずといっていいほど、エプロンや割烹着を身につけていた母。
朝から晩まで家事、子育て、(私の家は自営業でしたので)仕事にと、時間に追われる1日でしたでしょう。
私の初任給でプレゼントをしたエプロンを纏う母の姿。
しかし、私自身はエプロンを持ったことがありません。
エプロンが欲しいなぁ…

そして、現代でも女性たちは相変わらず忙しい。
フッと息抜きする時間もないのではありませんか?

そこで忙しい女性たちに少しでも時間を取らせない、一日中着ていられるエプロンを作ろう。
デイリーウエアのようにファッション性があり、機能性もある、そんなエプロン。従来のサロペットタイプではなくてね。
買い忘れた物があっても、そのまま飛び出してゆける。
脱ぎ着をせず、ほんのそこまで着てゆける=1mileエプロン。

と、いう想いから始まりました。

-----

このエプロンは、一日中着ていられることが大前提ですから、肩が凝らないデザインや生地に軽さがあるもの。
また、水跳ねに強いもの。
長く愛用出来るタフさ。
そこで選ばれたのがリネン素材です。
リネンは綿よりもコシが強く、吸水性に優れており速乾性もあります。
今回は軽さも重要ですから、生地が薄い分、強度が必要となります。
さらに、糸の中が中空糸になるリネンは、軽さ、強さともにピッタリです。

サッと一振り

そしてもう1つ、水跳ねに強いこと。
これは生地に撥水加工を施そう。
リネンに撥水加工をしたことがないという加工場さんに、
数種類のリネンと撥水の強弱を試作して頂き、今回の生地に辿り着きました。
撥水加工は、水や油も弾きます。
食器洗いをしていれば、水跳ねでお洋服が濡れてしまいますよね。
汚れだけではなく、水にも強い。お洋服も守る。
エプロン自体に汚れが付きにくければ、洗濯の回数を減らすことも出来る。
忙しい女性の少しでも助けになればという想いです。
(撥水加工には注意点もありますので、それはまた別の参照をご覧ください。)

撥水加工は永久ではありません。
洗濯を繰り返していけば、効果は薄れていきます。
しかしその先には、生地の風合いや質感の変化をお愉しみ頂けるところも、リネンの特徴といえるでしょう。擦り切れるまでご堪能ください。
(撥水加工はリネン100%のみのエプロンに施しています。)

-----

私の実家はド田舎です。母はエプロンを着けたままスーパーへ出かけます。もちろんおしゃれ性はなく、普通のエプロンです。
そういえば都会のコンビニでは、エプロンを付けたままお買い物をしている人をあまり見かけませんね。それならば、お洋服のようなエプロンで、着たまま外出できる。犬の散歩もそのままで。
そして、従来の首に掛ける細い肩紐。これは、肩凝りが酷い私にとって1日中、身につけていられない。それならば、エプロンのサロペットと肩紐の認識を覆そう。

と、逆転の発想から生まれたデザインです。

何度も試作
サンプルは自ら製作

生地の試作をしている間に、私の方はサンプル作り。友人たちに意見を求め、数ミリ単位で微調整。毎日使うものだからこそ、手間も時間もかけようやく生まれました。

今ではリネンだけではなく綿バーションも追加し、使うシーンによって選ぶ事が出来ます。
個人の方だけに留まらず、お店の方からのご要望もあり嬉しいかぎりです。


母の記憶から受け継がれたエプロン。
次に紡ぐ物語も、きっと優しい母の背中を見て育つ子へと、受け繋がることでしょう。

私の手から次に紡ぐ物語がどうか素敵でありますように。
と、願いを込めて。


「ITOCI(イトスィ) de C’est pas Grave」
「愛しい」と「糸=ITO」が織り上げる布地は、
いつも傍にあるからこそ深くこだわりたい。
そして肌が喜ぶ瞬間を日々重ねてゆきたい。
ファッションのように軽やかさを身に纏った、
布地中心の暮らしのアイテムを。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?