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学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

Diploma Policy(DP)

今日は3つのポリシーのうちの1つ、ディプロマ・ポリシー(以下、DP)について書いていきます。ちなみに、3つのポリシーとは以下のような目的で作成をされているものです。

「三つのポリシー」に基づく大学改革(高大接続・社会との接続)(文科省)

この3つのポリシーは、2017年に義務化がされたもので全ての大学が作っています。教育探究科学群でももちろん作っていて、文科省への届出書類でも結構神経を使った部分ですね。ただ、教育探究科学群の3つのポリシーのうち、特にDPについては、個人的にはちょっと神経を使い過ぎたというか、届出書類としての成立を優先させ過ぎて一般的には分かりづらいものになっている気がします。届出書類の作業全般に言えることなのですが、ちょっと実態と乖離があるのが難しいですね。

教育探究科学群のDP

教育探究科学群のDPは、「分野別参照基準 教育学分野」に依拠して作成をしています。これは、教育探究科学群は教員養成課程を持たないものの、あくまでも主たる学問領域は教育学であり、教育学の学位プログラムとして成立させるというこだわりをもって作りたかったためです。そのためには、カリキュラムの連続性だけでなく、分野別参照基準を参照(ちょっとややこい)することによって、好き勝手に変なことをやっているのではなく、しっかり日本の大学における教育学分野の学位を出すに相応しい教育組織にしたいと考えました。結果的には、DPは以下のような感じになっています。

  1. 教育事象について批判的考察ができる

  2. 教育的活動に関わる中で、その構想や具体化ができる

  3. 教育的事象や活動に関し、効果的にコミュニケーションをとれる

  4. 教育的事象や活動に関し、効果的に協働できる

  5. 生涯にわたり学び続けるための基礎を身に付けている

  6. 探究科学の手法を用い、主体性をもって発信できる

分かるような分からないような…ですよね。これの1-5は分野別参照基準とほとんど同じで、教育探究科学群としての追加要素は6「探究科学の手法を用い、主体性をもって発信できる」です(最近の説明では探究と科学の方が分かりやすい説があってどうしようという感じですが…)。しかし、実は、この分野別参照基準を参照した1-5のDPには、もう少し細かい内容の説明があって、それを見るともう少し何をしたいかが分かります。

DPのちゃんとした説明

1.   教育事象について批判的考察ができる
・教育事象について、関連文献を収集・解読し、考察することができる。
・教育事象について、十分な根拠(事実・データと理論的論拠)を持って自分の主張をまとめることができる。
・教育事象に関する他者の異なる意見に対して、自分との共通点や相違を整理し、自分の意見を再構成することができる。
・教育事象を他の社会的事象と関連付けて分析することができる。
・現在の教育事象を検討する際に歴史的な経緯や他の社会・文化との比較検討をふまえて考察することができる。

2.教育的活動に関わる中で、その構想や具体化ができる
・教育的意図(あるいは教育目標)について、様々な立場からその価値を吟味し選択することができる。
・設定した教育目標について、それを実現するための制度・政策や内容・方法を構想・具体化することができる。
・教育における意図とその結果(意図せざる結果や望ましくない副次的結果も含む)の関係を反省的に捉えることができる。
・教育という営みの価値選択性とそれに伴う暴力性や排除性という二面性に自覚的である。

3.教育的事象や活動に関し、効果的にコミュニケーションをとれる
・特定の教育事象についての自分の主張を、口頭あるいは文章で明確に論じることができる。
・教育的な取組において、言語(口頭あるいは文章)や非言語的手段(表情や身振りなど)を使って効果的にコミュニケーションを行うことができる。
・教育学の中の自分の学んだ領域について、それを専門としない他者に説明できる。

4.教育的事象や活動に関し、効果的に協働できる
・特定の教育テーマ・対象をめぐって、立場や価値観の異なる他者と対話することができる。
・教育に関する様々な意見に対して、合意を形成するよう働きかけることができる。
・教育的な取組において、チームを組み協働するなかで、自分の役割を果たすことができる。

5.生涯にわたり学び続けるための基礎を身に付けている
・どんな知識も時代性と普遍性を持ちうること、どんな能力もその熟達化過程には終わりがないこと、教育という営みは職場や家庭や地域等で生涯関わり続けるものであることを認識しており、学士課程で得た知識・理解や能力を生涯にわたって更新・再構成し続けることができる。

6.探究科学の手法を用い、主体性をもって発信できる
・教育探究科学群のオリジナルのため具体的な説明文章は今のところなし

こんな感じで、~をできる的な文章が続いており、どういった能力を身に付けて欲しいかというのが実は書かれています。教育探究科学群の指向性としても、どこどこに就職します!とかこんな資格が取れます!というより、こんな能力が身につきます!とか、社会でこんな役割を果たせます!みたいな部分を重視しているので、その点では分野別参照基準のDPの記載は良く出来ていると思います。
本当はこの部分も含めてDPとしてちゃんと世の中に公開をしていくのがいいとも思うのですが、情報量満載になっちゃいますし、しかも仕方がないけど~できる~できるって続いちゃうので難しいですね。
ただ、カリキュラムデザイン上は、もちろん3つのポリシーの趣旨も尊重をしており、各科目とDPの関係性は何となく考えてあります。ですので、見えない部分ではちゃんと学位プログラムとして機能するように設計はしているのですが、ひとつの科目がひとつのDPに対応しているわけでもないですし、一覧性の高い図を作るのが難しくて悩み中なんですよね。単純に各科目にDPのIDみたいなのをつけてふっていくのはできるのですが…

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