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~6月シリーズを終えて~サッカー日本代表の今後について

6月の親善試合からだいぶ経っており、
話題としては新鮮味に欠けるとは思いますが、
ただ、時間が経って冷静にみられるようになっても、
納得ができない状況が続いている為、
どうしてもこの記事を書きたくなりました。

◆6月シリーズで見えてきたもの、変わらなかったところ

見出しをこんな風に書きましたが、
正直なところ、新たに見えてきたものは何もありません。
むしろ、この3年ほどの間で、
伊東選手と三苫選手という武器が見つかったという以外、
チームとしては何も変わっていない事、
何も成長できていない事が明らかになった、と言うだけです。

専門家だけでなく、一般の方々からも、森保監督の戦術が無いという事は以前から言われています。

戦術が無いという言い方だとざっくりしすぎていてわかりにくいと思いますので、もう少し要約すると、試合の中で攻守における基本方針や決めごとが無い、という事です。

例えば料理に例えると、11人で料理を作っていて、
1人が日本食を作るつもりで下ごしらえをしていたのに、
他の10人がそれぞれ中華だったり、イタリアンだったり、
あるいはフレンチを作り始めてしまうような、
そんな感じだと思ってください。

個人の裁量に任せると言えば聞こえがいいですが、
要は自分たちで考えろという事ですね。

それでもチーム内やサッカー協会上層部からの信頼が厚いのは、
恐らくですが、彼のモチベーターとしての能力が高いであろう事と、
多方面から「あの人はいい人」だと言われる、
彼個人の人格面の評価が高いからだと思われます。
実際これだけ選手から好かれているという事は、
本当にいい人なんだと思います。

ただ、いい人である事がいい監督の条件である、
とは一度も聞いたことはありません。

◆南野選手からも疑問の声が・・・

先日もある記事(な・ぜ・か、削除されてしまいましたが・・・)に、
現代表のエース格である南野選手の衝撃的なコメントが掲載されていました。

つまり今の代表チームには哲学(フィロソフィ)も細かい約束事もないと、
現代表選手自身が認めているわけです。

ワールドカップ開幕まで半年切った、このタイミングで。

◆「戦術三苫」発言について

今から約2週間ほど前に話題になっていたのが、
チュニジア戦後の三苫薫選手のある発言と、それに対する森保監督の見解、
「薫が戦術」発言についての記事でした。
これを見て、僕は正直、『この監督、ヤバすぎる』と感じてしまいました。

三苫選手はチームとしてどう攻めていくかの決まりごとが何もないので、
個人個人がばらばらの判断で行動している事に懸念を抱いており、
どうしていくかチームで共有できていない事が問題であり、
今後必要なことだと語っているのですが、
それに対して森保監督は、

“「個の突破が難しいと本人も感じながらやっているだろうが、世界とやっていくうえで『薫が戦術なんだ』と」と力説”

“「チュニジア戦でも薫のところに3人は引きつけられているので、それだけでも選択肢が生まれる。突破しないという部分ではすっきりしないかもしれないが、たくさん他の選択肢が生まれているということは感じてほしい」”

何を言っているのでしょうか。

何をしてくるのかわかっている相手であれば対処ができる、
それがワールドカップというレベルの戦いです。
つまり、相手がドリブルだけだとわかっていれば、守備は容易いのです。
例え相手がメッシであってもです。
だから、他の選手とのコンビネーション含め、複数の選択肢があってはじめてドリブルが脅威になります。

三苫選手が求めているのは、自分が持った時にサポートの選手がどの位置に入り、更にもう一枚がどこに顔を出すか。要はどうやってゴールを奪うのか、その道筋をいくつかチームとして共有したいという事なのですが、
森保監督は三苫選手の発言の意図を全く分かっていません。

分かっていないどころか、それを自分のドリブルで何とかすればいいだろと、課題に対する解決方法を三苫選手に丸投げしてしまっているのです。

これはあり得ないなと思いました。

◆現状では絶望的

正直なところ、この状況で前向きな発言を行っているのは、
一部メディア関係者とサッカー協会の上層部だけです。
本大会で良い結果が出る、勝ち抜けるであろうと、
現時点で思っている人はほとんどいません。

冷静に考えれば、個人の能力をあと半年弱で大幅にレベルアップさせようとするのは非現実的です。
であれば、個人の努力だけで何とかさせようとするのではなく、
チーム一丸となって問題解決に向かっていこうとする気概が必要なのではないでしょうか?

◆おまけ~日本の代表監督とS級ライセンス

日本代表の監督は日本人がいいのか、外国人がいいのか、
よく議論の対象となりがちですが、

結論から言えば日本人の優秀な監督が就任する方が、
コミュニケーションの面でも、コスト面でもメリットがあります。
(海外から呼ぶとなると報酬が高額になりがちです)
何より自国の代表を率いるという事で、高いモチベーションが見込めます。

ですが、現状では代表監督を任せられるような日本人の人材は少ない為、
外国人監督から選ぶとすれば、Jリーグでの指導経験があるなど、
日本人選手の特性を理解している方が良いでしょう。
オシム監督などはJリーグでの経験もありつつ、
日本代表のサッカーを"日本化"するという、かなりハードルの高い目標まで掲げてくれていました。
ただ、そこまで日本のサッカーに対して愛情を示してくれる人は稀でしょう。

では将来的に日本人の優秀な指導者が日本代表を率いるようにするためには、どうしたらよいのでしょうか?

その為にはまず、ライセンスの問題を解決しなければなりません。

日本人がJリーグや代表監督になるには、その人の能力云々以前に、
まず日本サッカー協会公認のS級コーチのライセンスが必要になります。

ですが、そのライセンスを得るためには多額の費用と時間をかけた上で、
推薦を得る為のコネが必要となります。

ただ、この条件下においては、
S級ライセンスを取得する為に多くの「お金」と「人脈」と「時間」を必要とする為、決して若い人間が取得できるような条件ではありません。
(現在の最年少取得者は36歳)

また、コネクションを得られるのは、日本のサッカー界でもかなり限られた一部の人々だけです。

最近のJリーグの中で同じ監督が何度も循環し続けていて、
若い指導者が育ちにくいのも、これが原因となっています。

さらには海外で高い実績があっても、日本でライセンスを取る為には、
日本に戻ってきて改めてコネを作る為の時間がかかることになります。
また、日本人が海外で日本のS級ライセンスに相当するライセンスを取得していても、再度日本のS級ライセンスを取得し直さなければなりません。
日本人が指導者を志すにあたって、海外に出て学ぶことに対して後ろ向きな傾向があるのは、それが理由の1つです。
(外国人監督の場合は自国のライセンスでも認められます)

勿論、海外で学んだからいい指導者になるとは限りませんが、
レベルの高い場所で学ぶことが選択肢に入る事は良い事だと思います。
そして国内でも、若い指導者がライセンスを取りやすい環境が整えば、
指導者同士の競争が始まり、指導者の質が高まると思うのです。

それができない今の状況を変えない限り、いつまでたっても変わらないと思います。

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