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久保選手、南野選手について

またまた今回はサッカーの話題について。

知り合いから、久保選手や南野選手の代表での起用の仕方について、
意見を求められたので、ここで詳しくお話ししようと思います。

◆久保選手の実力は?

彼は、ボールタッチが細かい事で選択肢が多く持てるドリブルができ、
ボールを触りながら、周りを見て判断できる頭の良さを持っています。
顔を上げながら細かいタッチでドリブルできるので、
相手は次に何をするかわからず対応に苦しみますし、
久保選手自身は、状況次第で次に考えていたプレーをキャンセルして別の動選択肢に瞬時に変えることができます。

また、キック精度が非常に高く、味方の動きを殺さない(味方に合わせた)パスが出せるので、パスのずれが少ない(ミスパスになりにくい)のが特徴で、フリーキックも得意です。

2019年に久保選手はレアルに移籍しましたが、
例えば、レアル・マドリードのレギュラークラスのイスコ選手と比べても、
ボールを持っていないときの攻守のポジショニングの面で優れている(イスコ選手はボールをもらいに下がりすぎる)為、レアル移籍当初もBチームとはいえ、当時のジダン監督はチームに残ってほしかったようですが、一方で、トップチームに残せなかったのは、フィジカル面や守備の強度、疲労時のプレーの精度がまだまだ足りないと監督が感じていたからです。
ただ、久保選手自身はリーグ戦が始まる前のプレーシーズンマッチで、ある程度スペイン一部リーグで戦える自信を持ったので、別のクラブへのレンタル移籍を希望したようです。

他チームのグリーズマンやミュラーなどの超一流の選手と比べると、
守備のサポートへ向かう回数の少なさが気になるというのはありますが、
(そんな選手と比べられるということ自体がすごいですが)
特にこれまでのレンタル先のチームでは、前述の一流選手たちが所属しているビッグクラブよりも余計に攻められる回数が多くなってしまうはずなので、余計に彼の弱点ばかりが指摘されてしまうわけです。
なので、単純に得点や試合出場数などのわかりやすい数字に引っ張られがちですが、そういった理由で結果を出しづらかったり、起用されなくなる選手がいるという事を押さえておくべきです。

また、久保選手はよく一流選手と比べられ、
"○○二世"になることを求められがちですが、
あくまで彼は彼なので、彼のオリジナルを行ってほしいです。
ただ、彼らのように自分で仕掛けられて、頭が良くて、
というようなイメージはよくわかります。

しかしながら、
その為にはメッシ選手のように絶対的な突破力と得点力を得るとか、
ジダン選手の現役時代のように、テクニックに加えて強靭なフィジカルを持つことだったり、ベルナルド・シウバ選手のように1試合平均14キロ走れるような体力が必要となるわけで、そういった絶対的な武器を得る為の努力が必要です。

◆南野選手の実力は?

南野選手は見た目が端正な顔立ちをしているので誤解されがちですが、
彼は以前代表にいた岡崎選手のような、非常にアグレッシブで熱いストライカーに近いプレースタイルで、ライン間でボールをうまく受ける動きや、飛び出す能力に秀でた、パスの受け手になる選手です。
ただ、見た目に反して(すみません)南野選手の方が、動きの面で器用さに欠けるところがあります。
また、瞬時の判断や計算、他の選手との意思の共有力が低いので、
他人を使うプレーが苦手です。

ちなみに、彼がリバプールに移籍して劣化したというのは大きな間違いです。
まず、リバプールは世界でもトップ3に入る最強のチームです。
他のチームであればすぐに中心選手になれるでしょうが、
同じチームに世界でも5本の指に入るようなストライカーがいるので、
彼らを押しのけてレギュラーの座を獲得するのは至難の業です。
むしろ、攻守の切り替えが格段に向上し、守備の強度が上がり、
激しく早く動けるようになったことを評価すべきです。
その影響か、リバプールではインサイドハーフでも起用されています。

南野選手も、久保選手と同様に単に得点などの数字だけで評価されがちなところがあるので、そういった点を踏まえつつ、得点シーン以外の部分もきちんと見てほしいなと思います。


◆オーストラリア戦が分岐点だった

久保選手は、以前は日本代表の右サイドで起用されることが多く、
五輪代表ではトップ下で起用されていましたが、
ワールドカップアジア最終予選に入って起用されなくなった理由は、
ケガしている間に代表チームのフォーメーションや戦術が変わって、
彼を起用しにくくなったというのがあります。

具体的に変わったのは初戦のオマーン戦と3試合目のサウジアラビア戦を落とした後の、オーストラリア戦からで、
GKを除いて、4-2-3-1のフォーメーションから、インサイドハーフをより高い位置に置いた、4-1-2-3(あるいは4-1-4-1)になりました。

これによって、トップ下と言われるポジションが無くなり、
南野選手が中央から左サイドに配置転換されました。
この事を問題視する意見がよく出てきますし、確かにそれもあるかなあとは僕も思っているのですが、
一番厄介なのは左に張った南野選手が内側に入って(元々真ん中が得意な選手なので)、長友選手が高い位置に上がった時、その後ろに下がってポジションをとってカバーする選手がいない、もしくはそういった約束事が無い事です。

今の時代にフォーメーションで試合に勝とうなどという考えがあれば時代遅れというか、そもそも間違っています。
初期配置というのは当然あるものの、試合状況によって選手たちはポジションを変える必要がありますし、1人の選手に与えられる役割も以前より増えてきていますが、勿論、それぞれの選手ごとに個性や弱点があります。
なので、どんなフォーメーションで戦おうが、選手たちがその中で機能するための約束事を設けないと戦うことができません。

また、フォーメーションを変えた事で、
結果的に右サイドのウィングの伊東選手に攻撃を依存するようになったため、久保選手に限らず、他の選手を同じポジションで起用しにくくなりました。

久保選手のように周りの選手を生かし、高い判断能力を持った選手は是非代表でも生かすべきだと思うのですが、今のところ日本代表の森保監督にその考えはないようです。

◆戦術を選手に決めさせている?

森保監督の選手起用や采配に疑問を持つ人は少なくないです。
実際に元代表選手の中からも強く批判する人が出てきています。

この件に関して、僕はある見解を持っています。

それは森保監督が選手たちにある程度戦術を決めさせているのではないか?
という推論です。

それはある記事を読んで改めてそう思ったのですが、

確かにハリルホジッチ監督から西野監督へ引き継いだ際に、
ワールドカップまであと2カ月くらいしかなかったわけです
そのタイミングで、新しい戦い方を構築するのは不可能なので、
前の政権の遺産を活用しつつ、細かい決め事や原則は選手に任せて、
大きな方向性だけを提示するというのは、決して悪い決断ではありません。

ただ、これから2年ないし4年指揮することが決まっている森保監督が、
それをマネするのは、お世辞にも良いとは言えません。

◆だから、特定の選手の起用が優先される?

あくまでこれは仮説でしかありません。
ですが、森保監督が細かな戦術を用意していないとすれば、これまで招集した選手の明暗が分かれてしまっている理由にも、森保監督の選手起用の仕方についても合点がいきますし、森保監督の事を現スタメン起用の選手たちが高く評価している事についても納得がいきます。
監督としても、戦術を決めている選手を外すわけにもいかないでしょうし、
選手の側も、自分たちの意見を反映してやりやすいようにしてくれるわけですから、そうなっていくわけです。

ただ、そうなったときに、上手くいっている時は良いですが、
上手くいかない時の修正を誰がするのか?という話になります。
少なくとも、これまでの森保監督の采配を見る限りは、それがうまくいっているようには見えませんでした。
また、上手くいっていなくても、戦術を決めている選手に責任が降りかかってくるので、監督は選手側からの批判を免れることができます。

これが果たして良い事なのかは、僕にはわかりません。

◆選手を生かすために

監督の役割は、自ら選んだ選手を生かして、戦いに勝つことです。
その為にはその選手の長所を最大限発揮できるように役割を与え、
それぞれの選手がうまく機能するための最低限の決めごとを与える必要があります。

勿論、特定の選手を特別扱いするわけにはいきませんが、
久保選手や南野選手のような才能もあり、高く評価されている選手たちをできる限り生かしてもらいたいと、僕は思います。


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