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【緊急】ガザ地区侵攻が迫る!カギとなるのはイスラエルが警戒するあの組織

中東情勢が日に日に悪化しています。
17日夜にガザ地区の病院が攻撃され、CNNの報道では死者は100~300人以上である可能性が高いとみられていて、事態は緊迫しています。
ガザ北部への退避期限は既に経過し、イスラエルの地上侵攻は目前とされていますが、今後どうなっていくのでしょうか?


◆病院攻撃は誰が?その意図は?

病院への攻撃に関して、ハマス側はイスラエル軍の空爆によって病院に避難していた多数の人々が巻き込まれ、少なくとも500人が死亡したと主張しています。

一方、イスラエル側は、イスラエル軍の攻撃ではないと否定したうえで、ハマスとは別の武装組織「イスラム聖戦」が発射したロケット弾が病院の近くの駐車場に落下したことによる爆発だと主張しています。

さらに、アメリカの情報機関は18日に、病院爆発へのイスラエルの関与はないとする初期評価書を公表し、CNNが入手した評価書によると、爆発がパレスチナの武装組織「イスラム聖戦」のロケット弾の失敗によるものかどうかを裏付ける作業が続けられているそうです。

ハマスとイスラエル軍、双方が関与を否定しており、真相はいまだ不明ですが、この攻撃で誰が得したか?を考えると答えが見えてくるかもしれません。

病院への攻撃によって、予定されていたアメリカのバイデン大統領をはじめ、ヨルダンやエジプト、パレスチナ自治政府の首脳らが参加する会談は中止となりました。
これにより、アメリカ主導で事態収拾を図る、という目論見は完全に崩されました。
ネタニヤフ首相との会見は予定通り行われましたが、それではイスラエル支持を表明しただけになってしまいます。

つまり、今回の病院攻撃の意図は、アメリカ、もしくはバイデン政権にダメージを与える事が目的だった可能性があります。

◆アメリカは「Boots on the ground(地上のブーツ)」を送るのか?

それでは、アメリカは今後この問題にどう関わっていくのか?
米軍が出ていくことはあるのかが気になるところでしょう。

結論から言うと、アメリカが地上部隊を送る事は現時点ではないと言えます。

JSOC(統合特殊作戦コマンド)という、これはアメリカの全特殊部隊を統合した作戦本部になるものなのですが、これらが出ていくかどうかが、米軍が出ていくのかどうかという事に直結するわけですが、今のところ動きはありません。

また、アメリカの報道官もイスラエルに(現時点で)直接関与するつもりはない、Boots on the ground(地上部隊)を派遣するかどうか判断するに足る十分な情報がない、という趣旨の発言をしております。

◆アメリカ軍の態勢は整いつつある

しかしながら、大統領から命令が出れば、いつでも部隊を動員できるだけの態勢は整いつつあります。

既に空母「ジェラルド・フォード」が地中海に派遣されており、さらにもう一隻の空母「ドワイト・アイゼンハワー」が向かっている状態です。

また、あくまでも現地のアメリカ人とアメリカ大使館を守る事が目的ですが、既に海兵隊の一部が派遣されています。
現地の情報は彼らを通じて本国に共有されているでしょう。

それ以外の部隊も続々とイスラエル近海に向かっているようです。

アメリカのメディアもそのあたりには敏感ですから、大統領はどう判断するのか、今後の動向を探る質問を繰り返していて、水面下ではさらにメディアからの追及が続けられているようです。

◆イスラエル側が恐れているもの

日本のメディアでも地上侵攻は実際に行われるのか、それはいつになるか、という話題が何度も報道されています。

イスラエルの北にはレバノンという国があり、レバノンには「ヒズボラ」という、これもイスラムの戦闘組織があるのですが、近年イスラエルとも対立してきました。

ヒズボラの規模はハマスの比ではありません。
ハマスが手製のロケット弾を使用しているとしたら、ヒズボラはイランから技術供与された精密誘導ミサイルを約13万発所持していると言われています。
しかもそれらは、イスラエル全地域を射程に収められるものです。

実際ヒズボラはハマスの大規模攻撃に同調するように、8日から相次いでイスラエル側に攻撃を繰り返しており、19日にも、ヒズボラがイスラエル軍の陣地に向けロケット弾を発射し、これに対しイスラエル軍が砲撃するなど交戦が続いています。

つまり、今重要なのはこのヒズボラがハマスに加担して、本格的に戦端を開くのかという事です。
そうなった場合、イスラエルはハマスとヒズボラとのに正面作戦を展開する事になり、非常に困難な戦いになります。

そうなるとアメリカも高みの見物をしている場合ではありません。
それを警戒しているのか、地中海のアメリカ空母はレバノン側にいるようです。
イスラム勢力の背景にいると見られているイランに対しても牽制しつつとなると、これはアメリカにとっても困難なミッションになります。

◆問題はガザ地区の自治

例え、イスラエル側がこの戦いに勝利したとしても、問題はむしろその後です。

現在はガザ地区をハマスが実効支配していますが、そのハマスを駆逐したとしたら、誰がそこを治めるのかという問題が浮上するのです。

そうなるとパレスチナ人がイスラエルの行政統治を受け入れるわけもなく、穏健派のPLO(パレスチナ解放機構)に統治を任せるというアイディアが以前から公式ではありませんが、囁かれていました。
先の中止になったバイデン大統領とPLOのアッバス議長との会談も、その下相談をするつもりだったのでしょう。

ところが前述の通り、アッバス議長は病院への攻撃の後に、ヨルダンから帰国してしまいました。
先日の投稿で書かせていただいた通り、イスラエルはヨルダン川西岸地域で違法な入植とパレスチナ人追い出しを続けている中で、さらに今回の攻撃で多くのパレスチナ人が殺害されている今の状況で、バイデン大統領と会談しているような状況ではないと判断したのでしょう。

◆イスラエルが地上戦に踏み切れない理由

イスラエルとアメリカからすれば、戦闘終結後の体制についてある程度段取りと目途をつけた上で戦闘に入りたかったのですが、今回の病院攻撃で難しくなってしまいました。

ガザ地区へ地上侵攻するという情報がメディアから何度も流されていながら、一向に進まない理由はここにあります。

中東情勢はこれで混沌状態になり、イスラエルとサウジアラビアとの国交正常化交渉も含め、アメリカが目論んでいたことはすべて失敗に終わりました。

一連の流れで得をしたのは恐らくイランですが、そのあたりも憶測でしかありませんので、病院攻撃の犯人も藪の中です。

まさに「戦場の霧(fog of war)」、遠い戦地の戦況が全く見えない状態になっています。

◆今後のアメリカ大統領選も中東情勢に影響?

出口が見えない中東情勢ですが、戦闘が長期化した場合に、さらに最悪なケースも考えられます。

来年11月にはアメリカの大統領選挙を控えているわけですが、もしバイデン現大統領が破れ、トランプ氏が大統領に返り咲くようなことがあれば、アメリカの政策がイスラエル寄りに大きく舵を取る可能性も否定できません。
そもそも、エルサレムへのアメリカ大使館移転など、近年のトランプ氏の政策が、中東情勢の悪化の理由の1つであったとも言えます。

そうなった場合、イランを含む他の中東の国々の反発は必至で、戦況がさらに悪化してしまう可能性もあります。

◆中東はまさに混沌状態

病院攻撃の意図が、まさにこの混沌状態を作り出すことだったとすれば、一発の攻撃でここまでの状況を作り上げたのは、非常に巧妙であったと言わざるを得ません。

この件で得をしたのはイラン、と書きましたが、それ以外にもこの件に関与していそうな勢力はあります。
残念ながら現時点ではどれも憶測でしかなく、真相は闇の中。
安易な予想はここでは控えておきます。

この先の展開もかなり読みづらくなってきました。
果たしてこの混沌を誰がどのように収めていくのでしょうか?


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