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狭霧 織花
2022年11月27日 21:09
『忘れないで。また会おうね。絶対ね』 そう言われて渡されたのは、たった一輪の大きく立派に咲いた花。『ずっと忘れないよ。またどこかで、絶対に会おう』 そう返したのを覚えてる。 くる、くるとまわすと、花びらが風車のように回る。 ―――こんなんが約束の印かよ。――― 少し笑いがこみ上げる。口元にのぼる笑みは、きっと皮肉めいているだろう。 春、夏、秋、冬。あれから何度、季節は巡ったのか。