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狭霧 織花
2024年6月23日 22:34
*注意着物の着方についてのお話ですが、着付けの専門家ではありません。そういった解釈、意図を持ってのお話でないことをご承知おきください。「あんなはしたない着こなし、ようできたことだこと」 毒を含んだ声と言葉に、立ちすくんだ。聞えよがしの悪態は、きっと届いてしまったことだろう。 声の主はすぐ隣に立っていて、怒気をはらんで不機嫌そうに鼻を鳴らしていた。思わず袖を引くと、なに、と強い声が自分に向
2024年6月16日 20:54
*注意このお話には精神疾患、残酷事件の描写があります。 姉の様子がおかしくなったのは、春を少し過ぎたくらいだった。 よく笑う、明るく優しい姉がふさぎがちになり、言葉少なになった。いつしか部屋に閉じ籠るようになった。心配して声をかければ怒鳴られてしまうことさえしばしばあった。 部屋に籠ったままになれば当然食事の回数、量が少なくなり、姉はみるみるうちに痩せ細っていく。家族は皆心配し、戸惑い、
2024年5月19日 22:49
品行方正、謹言実直、堅物、真面目が取り柄。 そんな評判が当たり前で、それが私の名札ですらあったような気がする。名前を聞けば「ああ、あの」の後に続く言葉があげたうちのどれかであるのは間違いなく、そしてその評価は正しいのだ。 成績がいいのは当たり前。学級委員に選ばれるのは当たり前。なぜならば、こつこつ授業を受けてノートをとって課題をこなし、予習復習は日課でテスト前は学んだことを確認するだけにして
2024年5月12日 20:32
私の瞳の色は、他の人と違う。みんなは焦げ茶色。私はみんなと違う色をしていた。 変な色、とばかにされた。みんなと違うから遊ばない、と仲間はずれにされた。そんな幼少時代、私は自分の目が嫌いになったし、憎らしくも思った。この瞳を鋭利ななにかで突いてしまえば、こんな苦しみや悲しみもなくなるのだろうかと思うこともあった。 けれど、この瞳は二十歳を越えた今も私の眼窩に収まっているし、視界は良好、ぱっちり
2024年4月26日 23:20
空があんまり青いから。 だから、私は。 憂鬱だ、と顔に書いてある。 鏡をのぞきこんだ私は、向かいに映る自分を睨み付ける。 なんでそんなに不機嫌なの? 己に問うが答えは返らない。 私が口を開かないからだ。眉間によったしわ、への字にまがった唇。そしてどんよりと濁った目。 何がそんなに気に入らないの? わからない。 ますます寄った、眉間のしわに右の人差し指をあてて。ぐりぐりと引き伸