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短編

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2022年11月の記事一覧

向日葵

『忘れないで。また会おうね。絶対ね』
 そう言われて渡されたのは、たった一輪の大きく立派に咲いた花。
『ずっと忘れないよ。またどこかで、絶対に会おう』
 そう返したのを覚えてる。

 くる、くるとまわすと、花びらが風車のように回る。
 ―――こんなんが約束の印かよ。―――
 少し笑いがこみ上げる。口元にのぼる笑みは、きっと皮肉めいているだろう。
 春、夏、秋、冬。あれから何度、季節は巡ったのか。

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梔子

 夢を見ていた。目の前に広がるのは幻想的な草原。
 どこまでも、どこまでも果てなく続いていく緑の海原。
 切なく、懐かしい思いが込み上げてくる。
 なぜかはわからない。
 ただ、涙が込み上げるように、夢を見る。
 ただ、ずっと恋焦がれるように。願うように、夢を見る。
 夢を、見ていた。

 なぜ……?

 問い掛けても答えはなくて。

 ゆっくりと目を開くと、目の前には愛しい人の横顔が見えた。

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紫陽花

 ずっとずっと不思議だった。
 目の前に映るものの、全てが。なにもかもが。とてもとても、不思議だった。
 ある日私は尋ねてみた。
「どうして人は人を好きになるの?」
 母は笑って答えた。
「さあ、どうしてかしら?でも、母さんは父さんのことがとっても好きよ?」
 偽りの無い素直な言葉。その声音が、甘さと幸せを含んでいた。
 そして、
「あなたのことも好きよ。私の大事な人たち」
 続けられた言葉は私に

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