【鑑賞記録】春季特別展「歌留多」
滴翠美術館で開催している春季特別展「歌留多」展(6月9日まで)を拝見しました。
滴翠美術館は山口銀行(三和銀行の前身)の頭取を務めた山口吉郎兵衛が収集した美術品を公開している美術館です。芦屋の閑静な住宅街にあり、ベランダからはフランク・ロイド・ライトが設計したヨドコウ迎賓館が臨めます。
山口吉郎兵衛は遊びにまつわる美術工芸品を収集しました。滴翠コレクションの中で特に知られるのが「天正かるた」で、今回の展示でも陳列されています。一枚の「天正かるた」表裏を剥がして隣り合わせて額装しています。歌留多は歌や物語、いろはなど様々な種類が展示されています。漆塗がされた板歌留多や将棋の駒のような形をしたものなど変わった姿のものもありました。
他には歌留多を楽しむ人々を描く遊楽図が並びます。作者は未詳ながら顔の表現や岩の描写から類推すると狩野派系の絵師によって描かれたのではないかと思います。土佐派は岩の周りに苔を表す点を打つ描写が散見されますが展示品には見られませんでした。土佐派の作品としては土佐光文が鑑定し光芳筆とする合貝があり図が歌留多になっています。
築90年となる洋館は趣もあり建築好きな方にもオススメだと思います。