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#86 Shopifyプレジデントが語る、機能開発の考え方

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Briefing

Shopifyプレジデントが語る、機能開発の考え方

ShopifyのプレジデントであるHarley Finkelsteinが、D2CブランドのエキスパートであるNik SharmaとMoiz Aliが運営するYoutubeチャンネル「Limited Supply」に出演。Shopifyの新機能開発の考え方や今後の方針について語った。

動画の中盤では、Shopifyを利用するブランドがスモールビジネスだけではなく、数十億ドルの利益を生む大企業にまで広がっている点に触れられている。Shopifyを利用して成長したブランドの中には、他のサービスへと移行するも、再びShopifyへ帰ってくるケースもあるという。Shopifyはスタート当時から今日までスモールビジネスを尊重する方針を取り続けており、機能開発の際にはどの規模のブランドにとっても必要かどうかを重視して決定しているという。ブランドの規模や商材に合わせた細かい機能は、Shopifyアプリを組み合わせてカスタマイズしてもらうことで、エンタープライズ向けにも対応している。

Shopifyが自社開発した例として代表的なのが、2020年にローンチしたメールアプリだ。メールマーケティングはスケールを目指す大きな企業だけでなく、ECを始めたての初心者にとっても重要なツールであると判断したからだという。加えて、ShopifyはD2Cの成長を支えてきたプラットフォームだが、一方で彼らのターゲットは創業初期から変わらず、スモールビジネスを支えることにある。一般的なプラットフォームは成長とともにエンタープライズ向けに舵を切ることが多いが、Shopifyはエンタープライズへの「シフト」ではなくエンタープライズへも拡張(ストレッチ)するという意識で開発の意思決定をしている、という話が印象的な回だった

暴走するNYのレストラン予約事情

NYを中心にレストラン予約の競争が激化し、予約権を売買する仕組みや、予約権を得るための年会費システムなど、新たな潮流が生まれ始めているとフード系メディアの「Bon Appetit」が伝えている。予約競争激化の背景には、パンデミックの影響で経営の安定化や効率化をめざし、予約制を採用するレストランが増加したことにある。Redditでは人気店を予約するためのハウツーが飛び交い、なかにはロレックスやグッチといったブランド品を賄賂として渡すことで予約を確保しているケースもあるという。

そんな中、予約を優先して確保するために、レストランのメンバーシップサービスを提供する「Front of House」を使う人も増えている。たとえばシーフードレストラン「Dame」の場合、Front of Houseを通して年間1,000ドルを払うことで、毎週1回の予約権を獲得できる。ただし、これは、予約権の投資であって、食事代は一切含まれていない。「人気店に行った」こと自体がステータスとなっている今、予約をとりやすくするサービスがさらに増えていくかもしれない。


Editor’s View

『Shopifyプレジデントが語る、機能開発の考え方』を読んで

ポッドキャストを聴いている中でMoizさん/NikさんのD2Cブランド側の意見とShopifyのプラットフォーム側の意見が別れるポイントが見えました。MoizさんとNikさんが出したShopifyに対しての不満や改善ポイントのレコメンドはShopifyの立ち位置からすると恐らく自社で解決する予定はない。誰でも簡単に始められる、初期起業家を主にターゲットしているShopifyがD2Cのプロやエンタープライズ向けのクライアントにサービス提供する難しさを感じたが、その中でもShopifyはより起業家側に立つことを意思表明、そして他社とは違ってアップマーケットへシフトするのではなく、「ストレッチ」(伸びる)表現は非常に重要だった。── Tetsuro(@tmiyatake1

『暴走するNYのレストラン予約事情』を読んで

レストラン予約競争の激化は日本でも起きていることなので、Front of Houseのような会員権サービスは日本でも生まれそう。一方で、レストランがステータスゲームに巻き込まれることで、転売と似た問題も起きることが予想されます。転売によって権利の値段だけが吊り上がり、レストラン側は一銭も得しないという状況にならないためにも、きちんとレストランに収益が入るかたちで予約をスマート化させる仕組みが必要かも。その点、Front of Houseは年会費の8割がレストラン側に渡るようなので、個人的には期待が持てるサービスです。──Asami(@qzqrnl

Front of Houseは、今年の6月にできたばかりのスタートアップ。元レストラン経営者のColin Camac、デザインエージェンシー出身者のAlex Ostroff、そして有名マーケターであるゲイリー・ヴェイナチャックのファンドVaynerFundのPhil Torontoが立ち上げた。仕事で毎日外食する機会がある人なら行列のできる名店を常に確保できているのは大きなメリットなのかもしれない。──Miki(@mikikusano


Podcast

今回は初めてリアルで集まって収録。

アメリカのレストラン予約事情の記事では、NYをはじめとするアメリカの実際の感覚や日本での動きについてトーク。
またShopifyのプレジデントがD2Cブランドのエキスパートが運営するYoutubeチャンネル「Limited Supply」で語った内容から、プラットフォームとしてのShopifyの視点とD2Cブランドの視点の違いについても盛り上がりました。

▼音声で聞く場合はこちらから。


News


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