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インフルエンサー化する創業者たち

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2023年4月24日配信 Vol.112より

Briefing

ブランド創業者がSNSの発信に力を入れ、インフルエンサー化するケースが増えている。その背景をModern Retailが解説している。

これまでもインフルエンサーがブランドを立ち上げ、もともと持っている影響力を駆使してブランドのファンを増やすケースは多々あったが、SNS広告の費用対効果が悪化したことによって、広告を回すよりも創業者自身がフォロワー獲得に力を入れた方が費用対効果が高いと考えるブランドが増えているようだ。

また、ブランド公式アカウントよりも創業者個人のアカウントの方がフォロワーを獲得しやすいという背景もある。たとえば生理用品ブランドのAugustは公式アカウントのTikTokフォロワー33万5千に対して、創業者のNadya Okamotoは400万以上のフォロワーを抱えている。企業アカウントでは出せないパーソナルな発信ができる点が創業者個人のアカウントの強みだ。

一方で、創業者のインフルエンサー化は、本来経営に注力すべき創業者のリソースがSNSへの投稿作成のために削られてしまうという難しさもある。どのブランドも経営とインフルエンサーとしての活動のバランスには頭を悩ませている。

中華ソースブランドの「Fly by Jing」の創業者であるJing Gaoは、立ち上げ当初は個人のアカウントにも精力的に投稿し、顧客からDMで寄せられる質問や投稿へのコメントにも自ら対応していたが、会社が大きくなりフェーズが変わるにつれて、ガイドラインの作成によって他のメンバーでも対応できるように変化させていったという。

メンズコスメブランド「Stryx」のJon Shanahanも、ブランド立ち上げ当初から広告塔として発信をしてきた創業者の一人だ。しかし創業者一人にインフルーエンス力が集中してしまうと、永遠に創業者が発信から離れられなくなってしまう。これまで外部インフルエンサーにも投稿を依頼してきたものの、「消費者の支持を得るには同じ人間が広告塔でありつづけることが重要だと気づいた」。今後は提携するインフルエンサーを3人に絞り、長期的に発信をしてもらう予定だという。

こうした創業者のインフルエンサー化によって、D2Cブランドはもはや単なる「ビジネス」の域を超え、憧れのライフスタイルを送る創業者の延長と見做されるようになりつつある。スキンケアブランドの創業者が自社ブランド以外にどんな美容アイテムを使っているのか、バッグブランドのCEOがどんなエリアを旅行しているのかを消費者は知りたがっている。

インフルエンサーブランドのみならず、あらゆるD2Cブランドが、創業者の「インフルエンサー化」から逃れられない時代がすぐそこまできているようだ。

'An extension of me': The rise of the founder-influencer

Podcast

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ファウンダーインフルエンサー / Poshmarkが、ライブ配信機能「Posh Shows」 / ブランドと個人 / カスタマーからのDMが来る / インターンが撮影をつきっきり / 動画コマースツール「Tolstoy」 / コンバージョンリフトとブランドエンゲージメント / 動画のほうが楽 / クリエイターが使い始めたら最強 / プラットフォームの色とトレンド / YouTubeの埋め込みのハードル etc…

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