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ブランドはアプリ化するべきなのか?

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一部の企業を対象にした分析によると、2022年の月間利用者数が最も多いアプリはファストファッションやアクティブウェアブランドのものだった。 ウェブサイトよりも優れた体験と機能を提供するショッピングアプリの場合、アプリがもたらすブランドの成長機会は相当なものになる可能性がある。実際アプリを利用する顧客は、アプリを使用しない顧客と比較して購入頻度も購入数も多く結果的に消費額も高い傾向があるという調査も報告されている。

しかし、ユーザーが利用しやすく愛されるアプリを作ることは簡単ではない。実際パタゴニアは2016年にアプリを停止ている他、Farfetch、Nike、Levi'sなど、利用者が少ないアプリを持つブランドは数え切れない。現実的に考えると、ブランドが高い費用や開発労力を払って自社ブランドアプリを作っても、それに見合うほどの恩恵を受けられる可能性は高くはないのだ。

そこで今回はThe Business of Fashionの「ブランドが自社アプリを作成するポイント」を紹介したい。まず1つ目のポイントは、ゲームやソーシャルアプリと同じ中毒性のあるトリックを使用したアプリ利用者限定のコンテンツを常にアップすることだ。たとえばルルレモンは、アプリにログインした会員に無料のフィットネス情報を提供している。またファストファッションブランドは、定期的に新商品やルックブックを発表している。
Data.aiのインサイト部門責任者であるLexi Sydow氏によると、Androidユーザーだけで1年間に約3500万時間をこのアプリで過ごしていたという。またカートに入れるのではなく、商品に "ハート "をつける仕様にすることで、ゲーム化された限定割引があり、プッシュ通知やSMSテキストメッセージに登録促進する工夫を施すとよいという結果も出ている。

2つ目に、企業規模や強力なファンコミュニティの大きさだ。これはアプリ利用の普及率に特に影響する。Golden Goose、G-Star Raw、Scotch & Sodaなどのブランドのアプリを制作しているコマースサービスのプラットフォームNewStoreの消費者向けアプリ担当副社長によると、強力なファンを持つブランドまたは、リピート購入者のシェアが大きいブランドは、顧客がブランドアプリを熱望する可能性が非常に高いためだ。

3つ目のポイントはウェブサイト以上の追加機能をアプリに備えることだ。Nikeアプリのユーザーは、店頭で商品をスキャンして詳細情報を得たり 、ウィッシュリストに保存ができる。またH&Mのアプリは、店頭で色やサ イズを確認したり、写真を撮ったり、携帯電話から写真を取り込んだりして、似たようなH&M の商品を探すことができるビジュアル検索機能を備えている。

以上のような機能を備えたアプリを開発しても、その後の保守・運用にも労力がかかることも忘れてはならない。常にバグを修正しアップデートを繰り返す必要がある。ブランドのアプリ開発はコストがかかる面でまだまだ可能性のある分野で、今後の動きが楽しみだ。

<参考記事>
Does Your Brand Need an App?

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