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第45回全日本短歌大会表彰式(於:明治神宮)

みなさま、こんにちは。

本日、明治神宮 参集殿において開催された第45回全日本短歌大会表彰式に出席いたしました。

このたび田中成彦しげひこ選者賞をいただきました。
田中先生は日本歌人クラブ近畿ブロック長をなさっています。

なお、総応募数は1,394首、22歳から101歳まで幅広い年代から応募があったそうです。選考経過は下記の通り。
第一次選考 208首通過 → 第二次選考 163首通過 → 最終選考 → 各賞決定

選者の皆さま並びに日本歌人クラブの事務局の皆さまに厚く御礼申し上げます。これからも精進いたします。

ただそこに在ることゆゑのかなしみを抱いてねむれ冬のぶらんこ

田中成彦選者賞

表彰式では、選者の田中先生から口頭でコメントを頂戴しました。下記のような趣旨でした。

一見すると、ぶらんこを人間のように喩えているようにみえる。
しかし、そうではなくて、人間をぶらんこに喩えているのではないか。
比喩の二重性、重層性。作者の根源的なやさしさが滲み出ている。

田中先生のコメント

また、受付で入賞作品集をいただきました。選者の方の評を読むことができます。

ただそこに在ることゆゑのかなしみを抱いてねむれ冬のぶらんこ
<評>
子どもが外に出ない冬場は余り人気がない公園のぶらんこ。この歌はそうした景観の疑似的表現のように見えるが、実は時節に適わないがゆえ価値を認められない人間の哀しみを、呼びかけの形にしたのではないか。構成やひらがな多用の表記にも工夫がある。(田中成彦)

入賞作品集p41

今回、選者ひとりに今野こんの寿美すみ先生がいらっしゃいます。今野先生は、りとむ短歌会編集人であり宮中歌会始選者もなさっています。
私は岩波文庫版『山川登美子歌集』や『歌ことば100』(本阿弥書店)等の著作を愛読してきましたので、今日はこの2冊を持参してサインをいただきました。
突然のお願いにもかかわらず快く応じてくださり、このような書物・歌・人とのご縁を喜んでくださった今野先生に深く感謝いたします。

山川登美子をご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんので、簡単な紹介を岩波書店のWebサイトから引用させていただきます。

与謝野鉄幹に見いだされた山川登美子(1879-1909)は,鉄幹に寄せる思慕の強さや鳳晶子(与謝野晶子)との交流が作歌の意欲に結びつき,創刊直後の「明星」誌上で活躍した.
29歳で早世しながらも,喪ったものへの哀惜を主題となし得た点で抜きんでた女流であった彼女の全作品から,生前未発表の歌をふくめて858首を収録した.

https://www.iwanami.co.jp/book/b249014.html

私自身、29歳になった時に登美子の享年だと強く意識しました。登美子は私を短歌の道に招じ入れてくれた歌人のひとりとして生涯記憶されることでしょう。古書店で全集も入手しました。

釈迢空(折口信夫)が与謝野晶子以上に登美子の才質を認め、その早世を惜しんだというエピソードが思い出されます。姿態をしつらえすぎる晶子の歌に比して、登美子の歌の「暗示の、ひらめき」(釈迢空)を一貫して評価していました。

登美子の歌に接するとき、私は女のやさしさ、うつくしさを思わずには居られません。登美子は二十九で結核死するまで処女(をとめ)の心を失うことはなかったのだと思います。

なお、昨年の表彰式の記事はこちら↓ よろしければご覧ください。


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