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「買いたい人」を絞り込みリピート購買を増やせ!:読了

今更ながらファミペイはもっと早くに始めれば良かったなと思ってます。
使ってみるとなかなかお得なアプリなのは確かで、時折お菓子が無料で貰えたり、ドリンク1杯無料になったりもします。
なんだかんだでローソンやセブンと比較しても家計には優しくなりやすいものがあって、品質のセブン、オタ向けのローソン、家計のファミマと良い具合に方向性は分かれたのかなと思います。

今回はマーケティングの中でも小売に関する本を読みました。
これはブックランド本の森という、淡路商店街の少し路地に外れたところにある古本屋さんで買ったもので、100円の中から適当に選んだ感じです。
ザッと流し読みして、購入を決めました。

🖥カタリナ・マーケティングの成功事例本

本書の内容は全般的に言うと、小売業界におけるカタリナ・マーケティングの成功事例本と言ったところでしょうか。
カタリナ・マーケティングは膨大な量のPO Sデータを持っているそうで、その数20億件あるのだそうです。
これは2009年に出版された本ですので、電子マネーの発達した今は更に膨大な量のデータを持っているでしょう。

🍫コラボクリアファイルと言う名の広告

小売に関する本なので、全体をザッと読んでみると、改めてコンビニコラボクリアファイルもある種の広告戦術の上で成り立ってるんだろうなと言う気がしてます。
コンビニコラボクリアファイルって大抵対象商品がチョコがグミか栄養ドリンクなんですが、チョコはともかく、栄養ドリンクは普段、あんまり買わないものだったりしますね。
いや、現実のところ、チョコレートも普段はまず買わないかな。
甘いものは好きですが、普段から買うかって言うと、あんま買わないですね。
逆にコラボクリアファイルの対象商品になることが少ないのは、ポテトチップスであったりカップ麺であったりします。特にカップ麺が対象商品になった場合、景品が凄まじい勢いで無くなっていきます。
それと、コラボ対象商品がプライベートブランドの商品になることはまずありません。対象商品になるのは高確率で明治かロッテのお菓子になります。
多分、150円以上のチョコレートというのは、やはり日常的に買われるものでは無いのでしょうね。
カロリー比で見ると菓子パンやポテトチップスの方が安く、買ってすぐ食べる場合はわざわざチョコレートを買うインセンティブが働きにくい感じもします。
そこで一部のアイドルファンやアニメファンをターゲットに「広告」を出すことによって、一部の層の消費が促されるのかも知れません。
尤も、このコラボキャンペーンもまた、半径150mの法則がありますが…。

この本で言われている内容としては「上位顧客であっても簡単に浮気する」ってことです。
まぁこれはアニメオタクを見れば確かに顕著ですね・・・。
五等分の花嫁と言う作品が流行ってますが(といっても私は観てませんが)例えば「中野三玖は俺の嫁!」みたいに言ってる人間が、果たして5年後も好きで居続けられるかと言うと、やっぱりスイッチは簡単に行われます。
最近のアニメは2期まで放送されたら打ち切られることが多く、3期の放送まで辿り着ける作品は僅かと言えるでしょう。

1期から2期もだいぶ空きますが、2期から3期は空く以上に「そもそも放送されるか」と言う問題があり、ここでオタクはブランドスイッチをしてしまうと考えられます。尤も、最近のアニメは同一タイトルのゲームへ誘導するための広告と化していることも多いと思いますが・・・。
お菓子の世界も同様で、チョコレートはもしかするとポテトチップス以上に固定客は付きにくいかも知れません。

チョコレートは菓子パンやケーキなどとも競合しますし、なんなら喫茶店だって明治やロッテから客を取り得る訳で(喫茶店は茶菓子が豊富)、カルビーやコイケヤと比べると、明治やロッテの方がライバルは多く、お金に余裕があったらファミマスイーツや不二家のお菓子を食べたくなるでしょう。

一方、アニメ制作側としてもグッズとしてのクリアファイルには「スペースを取らない」という大きな特徴があり、平べったいので衝撃に強く、製造費も安価で大量生産できるという、実に良い「広告」なのであります。
こうして浮気した人を戻す(或いは浮気させる)効果もあるわけです。

当然、ファミマやローソンなどはコラボキャンペーンやる時とやらない時のチョコの売れ具合の違いというのをデータとして持ってるわけで、恐らく明治やロッテも間接的にこうしたデータは持っているでしょう。
こうした効果を見ながら、ブランドスイッチさせないように戦術を売ってるわけですね。

🏪顧客とのコミュニケーションは密にした方が良い

小売業界向けに書かれた本書が他の産業に対して「そのまま適用できる」って言うのはあまり無い気がしますが、ただ業界違えど、上位2%が売上の8割を担っているというのは、あまり変わらないところと言えそうです。

WEB系のIT企業は自社サービスを持っていますが、最近この世界は「カスタマーサクセス」という概念が重視されるようになりました。
これはクラウド化(主にSaaS)が進んだことにより、顧客のブランドスイッチが容易になったことで、自社の製品で顧客のビジネスを成功に導けるよう、積極的に関与していくというPUSH型の顧客サービスです。

当たり前と言えば当たり前なんですが、解約していくお客さんは基本的に自社とのコミュニケーションが希薄なお客さんが多いです。
今更考えてみると、自社サービスを持ってるIT企業で外部向けセミナーやってない会社って殆ど無いですね・・・。

ITサービスですら、何だかんだで製品で差を付けるって、意外と難しいです。だいたい真似する会社は出てしまうんで、製品力で差を付けるって結構難しかったりするんですね。
すると結局差別化要素は顧客とのコミュニケーションの質だったりします。
小売りと比べるとITは顧客の絶対数が少ない分、コミュニケーションの質を上げやすいのは良い所ではありますね。その分、専門特化した知識も必要になる苦労はあるけど・・・。

本書は全般を通して小売業向けに書かれてますので、他の産業の人間がそのまま役に立つって感じではないですが(カタリナマーケティング社の宣伝的な要素が大きいと思います)古書店で安くなって読む分には、参考に出来るページもあって良いかもしれませんね。

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