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デザイナーがフィリピンに行ったら、世界が変わった話

こんにちは。リバネスの高木です。
センター オブ ガレージ(COG)のインキュベーションマネージャーしてます。

COG(センター オブ ガレージ)は、ベンチャー、町工場、大企業の三者連携を実現する、リアルテック・ベンチャーのインキュベーション施設です。研究開発型や、ものづくりに特化した世界中のベンチャーに対して、イノベーションを加速させるためのあらゆるサポートを提供します。 また、この枠組みを通じて、「世界のものづくりの課題を解決する」という町工場の新たなミッションと、大企業とベンチャーとの化学反応を実現し、日本の新しい「ものづくり」に貢献します。
https://co-g.work/

現在、国内外30社超のものづくりベンチャー企業や大企業、中堅中小企業、大学の研究室、ベンチャーキャピタル、町工場が入居しています。面積的にも入居企業の多様さ的にも日本最大級であり、「大企業-ベンチャー連携」や「プロダクトの試作」、「施設内でのPoC実証」など、世界的にもかなりエッジの効いた取り組みをしていると自負しています。

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COGの施設の立ち上げから携わり、現在は施設の企画・運営を行うことに加え、数多くのベンチャー企業への伴走支援も行っています。その体験から得られた知見をに紹介していきたいと思います。

今回はまず、なぜこのようなキャリアを目指したのか、自己紹介を兼ねて書いてみます。

デザインからベンチャー支援へ

これまでのキャリアを簡単に説明すると、熊本県出身で美術大学でプロダクトデザインを学び、さらに美を追求したくて化粧品等のデザイン事務所に入りました。その後、青年海外協力隊としてフィリピンに3年間赴任した後、リバネスに参画しました。
そもそもフィリピンに行くまでは、東京のデザイン事務所で化粧品などの容器設計やラベルのデザインをしていました。当時は、施設運営やベンチャー企業のサポート、社会の課題解決に深く関わるとは思ってもいませんでした。

フィリピンに行ったきっかけ

「母国フィリピンでは、日本のように高価な製品を使う人は少ない。僕はこの会社で得た知識や経験を母国で役立てたい」という話を東京のデザイン事務所にいた際に、当時の顧客であった世界的消費財メーカーでブランディングを担当していたフィリピン人男性から聞きました。その後、彼は職を辞して帰国していきました。フィリピンの物価などを考えると相当に高給・高待遇な仕事であるにも関わらず、です。この彼の信念と行動に触発され、私も途上国開発に興味を持つようになりました。そして、当時デザイン業界で盛り上がっていた「世界を変えるデザイン」に携わるべくフィリピンに行くことにしたのです。
とはいえ、当時の私は英語は話せないし、海外で仕事をした経験もありませんでした。そこで私がとった行動はJICAの青年海外協力隊事業に応募することでした。

フィリピン・ボホール島でやっていたこと

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2014年から、日本から一番近い東南アジアの国フィリピン・ボホール島に赴任になりました。ボホール島はフィリピン中部ビサヤ諸島の島で、セブ島から船で2時間程の位置にあり、人口120万人、面積は4117 km²でフィリピンで10番目に大きい島です。ダイビング等のリゾート地として知られるほか、フィリピンメガネザル「ターシャ」という世界最小級の霊長類の生息地でもあります。主な産業は観光業で他には自給自足のための農業・漁業が営まれています。
そこでの私のミッションは、大学内に設置されたFablabという市民に開かれたものづくり工房を拠点に、3Dプリンタ等のデジタル工作機器を用いて島内の190をこえるお土産品等の小規模事業者の支援をすることでした。

「世界を変えるデザイン」に期待していましたが、現場を見てみると一筋縄ではいかないと感じました。単純に装置を使い、ものを作ることを広めるだけでは意味がないと思いました。そこで、地元住民たちが自ら考え、製品を次々と生み出していくための仕組みづくりや、地域の抱える課題を解決するためのプロジェクトの運営、島内でイノベーターを発掘・育成するためのイベント運営等に取り組んでいました。
(このあたりの話は、後日noteに書きます)

リバネスとの出会い

世界開発目標がMDGsからSDGsとなった2017年頃、私はこの活動を島内だけでなくフィリピン全土や海外に発信する方法を模索していました。
そのタイミングで、青年海外協力隊の先輩からリバネスという会社がマニラでベンチャー企業や社会課題の発掘のイベントを行うと聞ききました。その後、早速、事前下見に来ていたリバネスの丸さんや徳江さんと初めて出会う機会をもらいました。
テックプランターという取り組みの目的やビジョンを詳しく伺い、ボホール島で私が支援していた4チームをエントリーさせることを決めました。結果、見事1チームが企業賞(THK賞)を受賞し、2021年現在でもフィリピンの貿易産業省や科学技術省、日本の大学等を巻き込みながら事業を拡大させています。

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チーム名: Fablab Bohol
テーマ: プラスチックゴミ問題を解決するため、プラスチックゴミから安価な素材を作り出す機器の開発と地方自治体へのリサイクルシステムの導入
・JICA Philippines
https://www.jica.go.jp/philippine/english/office/topics/news/170613.html
・tech planter philippines
https://en.techplanter.com/2017/05/31/the-very-first-winner-of-tech-plan-demo-day-in-the-philippines-is-team-ube-tech/

ボホール島で試行錯誤した成果が、世界に発信され、実際に社会課題の解決が加速度的に進むきっかけを掴みました。

その後、青年海外協力隊の任期の3年が迫った2017年頃にリバネスに参画しました。その最初の仕事がインキュベーション施設COGの立ち上げでした。

それから3年、当初は何もなかったCOGも様々な機材や設備が整い、ベンチャー企業だけでなく、町工場や大学、ベンチャーキャピタル等ユニークな入居者も増えました。場所を貸すだけでなくプレイヤーが自分の研究や事業を前に進めるための場としての空間へと変化しています。

次回からの記事では、「ベンチャーの製造に関する困りごとの解決例」や「海外での社会課題をいかに解決していくかの体験談」、「COGで日々起きていること」などを書いていこうと思っています。

(リバネス:高木)

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