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第3章【14】平野先生の即興講座①

注)写真は、私が音大入学前にアフリカで働いていた時のものです。記事とは関係ないのですが、たくさんあるので、毎回紹介しています。白い山は収穫されたコットンです。コットンは、重要な現金収入源となるのですが、児童の強制労働の場でもありました。(撮影:いちあ)

1年生の授業の履修をする際、はじめてで、どれをとったらよいかよくわからず、とりあえず履修できる、面白そうなものをかたっぱしから履修をしていった。

金曜の4限には、《即興講座 初級》という授業があって、通年(1年間30回の授業)の授業だった。シラバスをみると、即興だから、高い演奏技能がないとダメだなと思い、1年生からは、私の場合は無理かもしれない、と思った。ただ、音楽をやるうえで、即興は、将来、どうしてもできるようになりたいし、担当の平野先生というサックスの先生のプロフィールを読んで、面白そうだし、ダメもとで履修してみようと考えた。

平野公崇先生は、サックスや、吹奏楽をする人なら誰でもご存知の、国際コンクールで優勝された、凄いサックスプレーヤーでいらっしゃるのだが、大学1年生に入学した頃の当時の私は、10年以上に及ぶ海外勤務から、久しぶりに、浦島太郎のように日本で生活を始めたところで、まったく日本の事情にうとく、音楽界で誰が有名で、など、まったくわからなかったのである。

しかし、なぜか読んだ指導陣紹介の平野先生のプロフィールでなんだか良さそう、と、ポチっと履修ボタンを押したそのことが、私にはとても大きな意味を持ってくることは、また次回以降、書いていきたい。(結局、その後1年間、副科実技で平野先生についてサックスを習うお話は、後日書いていきます!)

大学の授業には、各コースの専用で、そのコースの人しか履修できないものと、一般教養科目や、音楽の座学の科目でも、一般的に学ばなければならない和声学やソルフェージュ、音楽史などは共通科目といって、コースに関係なく誰でも履修する授業があった。しかし、実技系の授業は、通常、コースの専門科目で、コースの人しか履修できないのだが、この即興講座は、実技系の授業でも珍しい、共通科目で、いろんなコースから履修している学生がおり、平野先生に学びたい学生が多く、とても人気のある講座だと、履修してしばらくしてわかった。

金曜4限の授業で、はじめて教室にはいると、大きな教室にはかなりの人数(70人くらい)の学生でにぎわっていた。私の大学には、ジャズコース、音響デザインコース、ロック・アンド・ポップスコース、など、多様なコースがあるのだが、これらのコースの学生とは、普段あまり接点がないので、種々雑多な学生の雰囲気が、私が日常一緒にいることが多かった、弦楽器コースのおしとやかさとは異なり、なんとなく開放感があった。

少し不安になりながら、ひとり、前から4列目くらいにおとなしく座っていると、この授業は大人数なので、平野先生の助手として、2人のアシスタントの先生がいらして、そのうちのひとりは、ジャズピアノの先生、もうおひとりはサックスの先生だったのだが、そのうちのジャズピアノの先生が来て、授業の概要を説明し始めた。

なんせ人気のある人数の多い授業のため、授業は3教室くらいにわけて、それぞれのクラスに担当がつく、グループ分けはこれから平野先生がいらして決める、などなど。

そうこうしているうちに、平野先生らしき方が教室に入ってこられた。1回目の授業ではあるのだが、この授業は初級・中級なる授業があって、2回履修できるため、昨年から履修している学生がうれしそうに歓声をあげて平野先生を迎えていて、なぜか、雰囲気としては、花道をプロレスラーが肩にガウンを羽織って、リングに入ってきた感じだった。

なんか、俺様って感じの先生だな、というのが私の第一印象だった。

平野先生は、冗談がお好きのようで、その一方で、かなり厳しい(世界チャンピョンなんだから、あたりまえ)面もあるのだが、1回目の授業では、『即興とはなにか』ということを、学生に連想ゲームのように、お題をあたえて、3秒以内に答える、というゲームをさせて、すぐに反応できる技術・能力をつけるのが大切、なんていうお話をしてくれた。

そして、ひととおりオリエンテーションがすむと、70人くらいいる学生をグループにわけたのだが、私は幸運なことに、即興がはじめての学生向けの、平野先生が担当になるグループに入れてもらえることになった。

続きは次回から数回にわけて続きますが、平野先生をご存知でない方に、この動画を!!私の大のお気に入りで、地上で聴ける天上の音楽のうちのひとつデス!!

観ないと、すごく損します!! 私は自分のチェロがダメで、もう落ち込んだりしてやめたくなった時に、この動画をいつも観るようにしています。音楽の素晴らしさももちろん、音楽の表現を自分の表現と一体化しているところ、あまりに美しく、自由で、人生楽しくてしょうがないだろうなと、観るたびに思うのですが、『このオジサンだけにそんな人生の楽しみを享受させてばかりで、私が拍手だけしておとなしくしていると思うなよ!!今にみてろ、私もそっち行くからな(20年くらいかけて)!!』と、大口(平野先生、無礼講、ごめんなさい!!)をたたいて、勇気とパワーをもらっています!!

平野先生の演奏会に行ったことのないみなさん、是非。音楽をする人も、しない人も、平野先生のサックスは、格別です。今後の回で書いていきますが、平野先生との出会いは、私のチェロのK先生との出会いと同じくらい、強烈で幸せな出会いでした。

次回、お楽しみに!!

チェロで大学院への進学を目指しています。 面白かったら、どうぞ宜しくお願い致します!!有難うございます!!