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啓蟄に、dp3 Quattroというカメラとお散歩へ。

 土曜日(3/5)の静岡市は、春霞ただよう最高気温16℃。すっかり春の陽気だなぁと思っていたら、「今日は啓蟄ですよ」と教わりました。暦と天気が一致している日は、季節感をもっと感じたくて、いそいそとカメラをもって散歩に出てしまいます。この日はSIGAMのdp3 Quattroという、少し変わったコンデジを片手に。

3月5日は啓蟄(けいちつ)

梅の花によるセイヨウミツバチ(多分)

 冬には冬の楽しみ方がありますが、街中には虫も花もすくなくて少し寂しい季節でもありました。ところが昨日は、あちこちでミツバチの羽音。「いつの間に働き始めたんだい…」と思っていたら、啓蟄でした。人も虫も花も一斉に活動的になった気がする。

啓蟄(けいちつ):春の暖かさを感じて、冬ごもりしていた虫が外に這い出てくるころのことである。「啓」には「ひらく、開放する、(夜が)明ける」などの意味、「蟄」には「冬ごもりのために虫が土の下に隠れる、とじこもる」という意味がある。

知恵蔵「啓蟄」の解説より
熱心に蜜と花粉を集めていました
写真はぜひクリックしてください、ミツバチの体表の繊毛が花粉で黄色く染まっていてかわいいです。

 あたりは梅の甘い香りが漂っていて、ミモザも咲いていました。

梅の幹は桜よりもガサガサで、苔や地衣類がたくさん付着していて複雑で味わい深いです。
ミモザだけど葉っぱが違うなぁ、と思ったら、そもそもミモザはアカシアの花の総称らしくて、こちらはパールアカシアという木のようです。

 空が霞んでいて、春の色。

静岡市内でよくみかける柑橘。だいだい?

昨日持ち歩いたdp Quattroというカメラ

 ここで少しカメラの話しをさせてください。dp Quattroシリーズは、知る人ぞ知る、変わったレンズ一体型カメラ(いわゆる高級コンデジ)です。SIGMAだけがつくっている特殊な"foveonセンサー"を搭載していて、細かく複雑なものをその手触りが伝わるほど繊細に撮影できます。
 このdp Quattroシリーズは0~3番の4機種が販売されていました。そのうちdp1 Quattro(広角、換算28ミリ)を昨年春に買ってから、あまりの楽しさに、秋にdp3 Quattro(中望遠、換算75ミリ)も追加で購入しました(以降、Quattro→Qで略します)。

  なお、dp3Qはサムネの悲しいメッセージの通り、つい先日「生産終了」しています。わたしはぎりぎり新品を手に入れることができたので幸運でした。なおfoveonセンサーを搭載したカメラについては、「鋭意開発中(*阪口意訳)」とSIGMAの山木社長が公式見解を出してくれているのが、ファンたちにとっての救いです。

(追記)山木社長にこちらのnoteを読んでいただけたようです。愛が中の人に伝わるのって、ファンにとってとても贅沢で嬉しい。山木社長ありがとうございます。

 もともと生き物の写真を撮ることが好きだったのですが、こちらのカメラで写し取る世界は、繊細で美しくて、家に帰ってからも「こんな小さな花にも繊毛が」「ここにアリがいたのか」なんて新しい発見に満ちています。マクロレンズよりも画角が広くて、肉眼以上に詳細に写し取るので、外で見た世界をPCの画面内で再構築しているように感じます。

富士の樹海。光芒に照らされる苔の繊細さが伝わります。(去年7月にdp1Qで撮影)
雨粒が虹色に反射していて夢中で撮影したうちの1枚(去年10月にdp3Qで撮影)
上の写真と同じ画像です!美しい水滴が乗っている葉っぱの箇所を、大きくトリミングして角度を変えたものですが、それでもこの解像度。水滴のなかのきらめき。すごいですよね。

カメラによって目線が変わる

ヒメオドリコソウ。繊毛に包まれやわらかに初春の日陰で輝いていました。

 こんなカメラなので、持ち歩いているときは、足元の地面の小さな者たちに目が向きます。名も知らぬ小さな草花や苔、地面のひび割れをみつけると撮りたくなります。啓蟄の昨日、足元にこんなにたくさんの花が咲いていることに気づけたのも、間違いなくdp3Qのおかげです。
 そして、撮影時には名前のわからない花が多いのですが、花や葉っぱの形状、生えている状況が詳細に映りこんでいるおかげで、家に帰ってからしっかり名前を調べることができます。

春の七草、ホトケノザ
いつもかわいいヒメツルソバ。dpQシリーズを持っているときは必ず目に留まります。
園芸種のアリッサム、かな。
日陰に咲くとても小さな青い花。星のかけらが散らばってるようでかわいかったです。
ワスレナグサかと思ったけどもっとずっと小さくて、「キュウリグサ」のようです。

 ついこの前までは、dp3Qを持っていてもロゼットや枯葉ばっかりで、花を見つけられないことが多かったのに。季節の移り変わりに気づくと嬉しくなりますね。

 昨日は、花だけでなく、色んなものを撮りました。スマホしかもってない日だったら、まず撮らないだろうなぁ…。

木の断面にも個性があってが楽しい。
foveonセンサーを愛する人は、壁に這う植物を見つけたら必ず撮影します。
あと、シダも。
薄暗い林道の雰囲気が伝わります。写りこんでいる草の名前を全部調べられるようになることが、私の夢…今は植物の知識が足りなくてまだまだなんですけども。

 すっかり夢中になっていて、気づいたら夕方でした。

昨日のランチはしらすの漬け丼

漬けしらすと漬けマグロの二色丼。しらすと目が合う..

 ところで、昨日のお散歩では、静岡市の海沿いの有度山(うどやま)にある、ふじのくに地球環境史ミュージアムを訪れていました(訪問理由は後述)。お昼にはいろんな偶然が重なって「しらすの漬け丼を食べにいきましょう」と、大石しらす店へ連れて行っていただきました。しらすって茹でか生かしか食べたことがなかったけど、漬けは味がしみてて歯ごたえプチプチですごくおいしい。もちろんマグロも。あと付け合わせのお味噌汁もおいしくてびっくりしました。
 なお、このランチの最中、昆虫学の先生に「今日は啓蟄ですよ」と言われて、なるほどそれで!と得心したのでした。

ランチ後、図鑑カフェでアイスコーヒー。この繊細な泡を映したくて。dp3QのSFDモード。

カメラがあればバス停から15分の道も楽しい

みんなお散歩日和

 ふじのくに地球環境史ミュージアムは、1時間に1本の直通バス以外だと、バス停から15分以上歩かないとたどり着けません。少し不便な立地です。諸事情で直通バスに乗れない時間に向かいたかったので、「今日は歩くぞ」と軽量なdp3Qだけ持ってでかけたのですが、これが正解でした。(いつものメイン機はカメラとレンズなどでどうしても2kg近くなってしまうのです。)
 身軽なので気になる方へどんどん歩いて、足元の小さな啓蟄の知らせを見つけてはしゃがみこんで撮影。「あ、これはいいんじゃないの」という手ごたえを感じたときは一人でニヤニヤ。
 春爛漫のお天気とdp3Qのおかげてとっても楽しい散歩の時間となりました。あまりに楽しくて、帰りは1時間以上寄り道しながら帰ったほどです。

 遠出しなくてもカメラがあれば日常が非日常。啓蟄の土曜日、dp3Qと楽しいお散歩ができて、とてもいい一日でした!



*地球環境史ミュージアムと企画展について

ミュージアム内2Fにある、食物連鎖と静岡県の生態系を学べるお部屋
(数年前にSONY α7iiで撮影)

 静岡の自然環境、生き物と人々の暮らしについて学べるとても面白いミュージアムです。何度行っても飽きない。この日は企画展「しずおかの酒と肴」を見るために訪れました。

 とっても楽しかったです!ゴールデンウィークの終わり(5/8)までやってるそうなので、ぜひ。

 自分のスマホで聞ける音声ガイドもあるので、ぜひイヤホンもって訪れてください。私はイヤホンを忘れて聞けなかったので、また近いうちに再訪しようと思います(もちろんdp3Qを片手に!)。

友人がやってる観光系ベンチャー㈱Otonoが提供しているサービス(スマホ撮影)

 ここのミュージアムが大好きで、4月以降は、ボランティアガイドのような形(ミュージアムサポーターと呼ばれています)で、関わっていくことができそうです。好きな場所に「関わりしろ」があるって、ラッキーなことですね。楽しみ。

**Foveonセンサーとの出会い

 一番初めは2013年、dp Quattroの1世代前のDP Merrillをカメラ好きの知り合いが使っていて、特殊なセンサーだということを教えてもらいました(当時はセンサーについての理解が曖昧だったので、よくわかっていなかったのですが)。
 その後、安倍先生の漫画「飛び込め!!沼」シリーズ(大好きで全シリーズ持っています)で、そのセンサーのやばさの一端を理解して、

 最終的には藪崎さんとその一味の方(foveon教団)の作品と言説に触れることでdp1Qとdp3Qの購入に至りました。

 こちらのnoteに書いてある通り、一癖も二癖もあるカメラなので、容易にはお勧めできませんが、カメラ好き・写真好きなら一度は触ってみては、と思います。(本音は「次世代機の開発に繋がるので、Foveonユーザーが増えてほしい」です。)

※注釈がない写真は、すべて3/5にdp3Qで撮影した写真たちです!

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