見出し画像

もうスポーツから卒業したはずなのに、結局スポーツに感動してしまう。

 学生時代はずっと運動部だったのに、卒業してからは憑き物が落ちたようにスポーツから距離をとりました。そんなに運動が好きじゃなかったのかも。それでも、あの時間は私に必要だったし、気づけば他人がスポーツする姿に感動させられている。スポーツが持つ、あの力はなんなのか。

私のスポーツ遍歴

 小学校から高校卒業までバレーボール部で、大学ではうっかりアメリカンフットボール部。とくに大学では部活ばかりで、気づけばアメフトの普及活動にどっぷり浸かっていました。どの立場で感じたことかを明確にすべく、しばしの自分語りをお許しください。
 なお、これまで関わったチームでは、「体育会系」でイメージされるような理不尽な上下関係はほとんどありませんでした。体育会系が苦手な方もいると思いますが、時代やチームによって雰囲気が全く異なることを心に留め置きいただけると幸いです。

バレーボール(小学校~高校3年生)

スパイクを打とうとしているところ。
そこそこ背が高くて左利きなのに、あまり活かせなかった。

 バレーボールを9年やっていましたが、練習が嫌いなので下手なままでした。「途中で辞めた」と思われたくない一心でしがみついてたように思います。上手くなりたいと思えたのは最後の1年間だけだった。先輩や後輩にうまい選手がいたのにね。チームメイトには申し訳なく思います。そんな煮え切らない競技生活だったからか、ハイキューの日向ひなたくんのような、ひたむきな努力で圧倒的な武器を身に着け成長する選手には憧れます。
 選手として大成することはありませんでしたが、高校3年間のバレー部と顧問の先生のおかげで自分の欠陥に気づき、"人間"になれました。チームスポーツは社会性の揺り籠になりうると思っています。

アメフト部のマネージャー(大学)

京都中のアメフト部と連携し、市内の小学生向けの簡易なアメフト(タッチフット)体験の教室を開催。このときは教育委員会に相談したり、市内全域の小学校に電話をかけたり。

 大学では、強烈な監督が率いるチームに憧れて、ラグビーとの違いも知らぬままにアメリカンフットボール部へ入部しました。選手はできないので、マネージャー。練習準備やサポートはもちろんあるんだけど、主な役割はチームのお金・モノの管理や外部団体との調整。あらゆる「管理」が苦手なのによくやらせてもらえたことよ(何度も失敗しました)。まったく華やかさはなく、汗と寝不足と自信喪失の連続。たまにきらりと光るやりがい。
 そんな在籍時に最も時間を割いたのは、アメフトという競技自体の普及でした。スポーツ推薦がない大学だったので、受験勉強にくたびれたもやしっ子たちにアメフトを説明しながら勧誘し、入部後のトレーニングで強くなってもらうしかありません。もし入学前からアメフトを知ってくれていたら、選手獲得の大きな一助となります。受験生や高校生、地域の子供や保護者を対象にいろんなイベントを企画しました。自チームだけではできることが限られるので、最終学年では関西の学生代表みたいなものを担うまでのめりこんでいました。
 社会人になってから仕事として「IT人材の育成」を選んだのですが、まさに「自分でプレーできないスポーツの魅力を広める経験」が、深く影響しています。

スポーツへの関わり方

 スポーツは「する」だけでなく、「みる」「ささえる」といった関わり方があります。

スポーツの参画の仕方は「する」「みる」「ささえる」がある
第二期スポーツ基本計画(2017年・スポーツ庁)

 学生時代はスポーツを「する」と「ささえる」を通じてたくさん大事なことを知りました。必要な経験だったと思っていますが、あまりにそればっかりだった反動で、卒業後はすっかりスポーツから遠ざかりました。もういいでしょ、あんなしんどいこと…と。
 それでもテレビで箱根駅伝やW杯を見てしまうと、才能に目がチカチカし、努力を想像して胸が苦しくなります。サッカー"ニワカ”のくせに、エムバペがPK直後に再びゴールを決めた瞬間、夜中に立ち上がって叫んでいました。(決勝はメッシを応援してたので、悲鳴に近かった)。「みる」だけで熱が生まれる。
 そういえば、スポーツ中継は観客席をよく映します。おそらく、テレビの前のあなたは一人じゃない、みんな一緒に盛り上がってるよ、と伝えるために。そしてみんなで一緒に熱狂する時間は、日常の僻事ひがごとから解き放ってくれます。年代も価値観も異なる隣人と旧知の仲かのような空気が生まれます。これがスポーツを「みる」醍醐味ではないでしょうか。

 この記事を書き始めたことで、今さらながら、学生時代に「みる」楽しみを言語化できていればよかった、と悔やんでいます。あのときは、他人と連帯できることがどれほど貴重な時間なのか分かっていなかった。(学生はすぐ連帯できるのだ。)
 アメフトの魅力を届けるためには、競技の特徴やルール説明だけでは不十分で、スタンドであまり知らないスポーツ/チームを応援しながらどうやって"みんな"と盛り上がれるか、にもっと腐心すべきでした。今だからわかるのですが。 

今回の記事を書くことで、思わぬダメージをくらっています。大人になることで徐々に視野は広がりますね。

スポーツの魅力とは

東京五輪のMTBクロスカントリーを観覧(幸運にもたまたま当選していた)。
未知なるスポーツだったが、周りの熱気に圧されて興奮。

 スポーツ庁の言葉を借りれば、国民の健康増進や自己実現、成長産業の創造、地域活性化、国際関係…なんて表現に。その通りだとは思いつつも、あらためて自分の言葉に変換するならば、スポーツの魅力は「明解な目標を立てやすく、しかもそれを共有できる」ではないかと思っています。
 社会は複雑怪奇で、自分の立ち位置さえ見失ってしまいます。社会人になってから「バレーボールは単純だったなぁ」と何度思ったことか。スポーツには、必ずルールがあって、勝ち負けや成長を計測できます。価値観どころか言語や文化が異なっていても、スポーツならばともに楽しむことができる。立ち上がり、手を叩き顔を見合わす。
 難しいことをたくさん考えなければいけない私たちには、シンプルなルールのもとで知らない人と熱狂する時間が必要なのです。

--
 近々スポーツについて色んな方々と意見を交換する機会があるので、改めて自分のスポーツ遍歴を振り返りつつ、スポーツがもつ魅力を考えました。

 本文でも書きましたが、最近スポーツ観戦が楽しいです。せっかく静岡市で暮らしているので、サッカーみにいかないとね。いくぞアイスタ!頑張れエスパルス!

#私のスポーツ遍歴


この記事が参加している募集

#部活の思い出

5,455件

#私のスポーツ遍歴

920件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?