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石巻の街並みをFoveonと散歩する。

 仕事でも遊びでもなく、縁あって石巻へ。向こうで何に出会うかわからないときはできるだけ身軽に。ここぞというシーンに出会ったら撮ろうと、コンパクトなdp3 Quattroディーピースリークワトロを1台だけカバンに忍ばせて向かった。
 このカメラ、小型だからスナップ用かと言われるとちょっと違和感がある。例えるならば、浜辺できれいな小石や貝殻を拾い上げてしまうような、街なかのそんな瞬間だけを切り取るカメラだ。

dp3 Quattroというカメラ

SIGMA dp3Quattro
50mm(換算75mm)単焦点レンズとaps-cサイズのFoveonセンサーを搭載

 Foveonセンサーという独特のセンサーを搭載しており、手触りがわかるようなリアルな質感を伝える唯一無二のカメラ。ただその解像感は諸刃の剣で、手軽に1枚さっと撮るのには向かない。だからこそ被写体にしっかり向き合って撮ることができるので、私は大好きだ。
 横長で薄べったい外観も特徴的で、アートに造詣の深いこだわり派の方々からよく褒められます。それもそのはず、プロダクトデザイナー・岩崎一郎氏のデザイン。

 そんなこだわりのカメラを持って、石巻のまちなかを散歩した記録です。

2月のある日。石巻1日目。

 一泊二日の旅程の1日目。午後に空き時間ができたのでいそいそとdp3Quattroを持って散歩にでた。

最初、でっかいクマの人形が窓から飛び出てるのかと思った。通常のネコの1.2倍ぐらい大きい。大きさと毛の長さが家のネコに似ていて親近感。

 石巻は、江戸時代から続く港町。港町として栄えた当時、まちの玄関だった北上川の方に向かう。

河口が近いので、幅広い。カモが縦列で渡っていく。

 このあたりに船がつき、たくさんの積み荷や人が行き交ったらしい。

堤防の上は幅広い歩道になっていて、屋台がでていたり。新しい町と川の接点になっている。
川の中州に、宇宙船のような建物。石ノ森章太郎を記念してつくられた漫画ミュージアム。まちを代表する景観かも。

 川べりを散歩した後、すぐそばの天ぷら屋さんでお昼ご飯。

アナゴ天丼。とっても美味しい。写真で伝わると思いますが、軽やかなサクサク。

 お昼食べて、少し用事して、夕焼けをみようと高台を目指す。日和見山ひよりみやま公園へ。急坂を上る途中、大日本製紙の吐く息が、雲とたなびく様に興奮しました。空中に浮かんでいるかと思った。

初めは屋根の合間に見え隠れする
もくもく
大日本製紙の工場。富士にもたくさんの製紙工場があって、この赤白の煙突には既視感。

 住宅街から登ること10分、頂上に着きました。すべてが優しい赤橙に染まる。

同行者の二人は人生相談をしてました。

 頂上の駐車場には、おそらくもう営業していないレストラン。3面窓ガラスから夕陽が射しこみ、美しい時間です。

 頂上には大きな鳥居が海に向かって建てられています。

鹿島御児神社の鳥居
鳥居の土台。

 鮮烈な夕陽に浮かされて、たくさん撮ってしまう。

夕陽の中和に。Foveonのカメラをもってるとどうしてもこういうパーツを撮ってしまう。

 夕陽の中、来た道を戻る。

建物の隙間から、夕陽にそまる石巻のまちが見える。
最後に、大日本製紙をもう一度。

 この後、帰り道はもう影になっていて、黄昏時。

川の向こうの山の端に、満月が。
北上川と町並みが見える。真ん中はお昼に歩いた遊歩道。右側は中州の漫画ミュージアム。
ちょっと心配になってしまうぐらいの傾斜
生活の歴史を感じる
遠くから見ると、よりいっそうUFOっぽいね。

 Foveonセンサーは暗い場所に弱いので、もうこれ以上は撮れない。夕焼けの余韻に浸りつつ、宿に帰って、この日の散歩は終了。

石巻2日目。

 朝ごはんを食べに宿を出て、そのあとお散歩を再開。

パンとスープのセットが嬉しい。
昨日のぼった日和見山公園へ続く坂道。下からみてもやっぱりすごい傾斜。

 少し宿で用事を済ましてから、気になってた本屋さんとコーヒー屋へ。

石巻まちの本棚。古本を買った。
爽やかな甘さのレアチーズケーキ

 新刊だけの書店なら、きっと買うことのなかったような本と出合えるので、時間があれば古本屋さんには寄ってしまう。のんびりした時間を過ごしているうちに、静岡へ帰る時間となった。

 穏やかな時間の余韻と共に仙台へ特急で1時間、仙台から東京まで「はやぶさ」で1時間強、さらに東京から静岡へ1時間。飛ぶような速さで石巻が遠ざかり、現実に戻りました。石巻でこれがしたかった、という悔いはないはずなのに、今も名残惜しさを感じています。またきっと訪れてしまいそう。そしてそのときも、Foveonのカメラだけを持って行くんだと思う。


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 一つ前の投稿では、石巻に訪れた理由や特徴をもう少し詳しく説明しています。このまちのもつ魅力やしなやかさが伝われば嬉しいです。


ご参考)Foveonセンサーの魅力

 今日は、dp3Quattroが発売されて8年目。8年たってもここまでたくさんのファンに愛されるガジェットなんて、他にあるんだろうか。君のかわりになる存在なんてない!

 過去にも何度か、このカメラへの愛をしたためています。

 

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