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昨日のホラーみたいな出来事

美容院を12:30に予約していたので、1時間前くらいに余裕を持って家を出た。5分ほど歩いてから、最寄駅の改札に向かうため、エスカレーターに乗る。

私の前には、グレーのパーカーっぽいアウターと、明るいブルーのジーンズ、ブランドものの白い春っぽいスニーカーを履いた女性が立っていた。顔は見ていないけど、おそらく20代半ばか後半くらい。髪はロングで、茶色に染めていた。

なぜそんなに鮮明に彼女のファッションを覚えていたかわからない。その後ろ姿を見ながら、春が来たんだなぁと思って映像として覚えていたとでもいうべきか。そのまま彼女は同じ方向のホームへ向かい、私とは違う車両に乗り込んだ。

美容院に行くときしか降りないその田園都市線の駅は、相変わらずの人混みで、軽く食べておこうと思ってケンタッキーに入ったが、5,6人ほど並んでおり、もうすぐレジに呼ばれる、というときにタイムオーバーになってしまった。

諦めてセブンイレブンでジャッキーカルパスを買い、2本ほど口に放り込んだ。こういうときマスクをしていると、とても困る。外でマスクを外すだけで、ちょっとした迷惑行為みたいになってしまうから。

もう5年以上通っているその美容院は、美容院ではなく美容師の彼女に会いに行っているようなもの。友人の妹でもある彼女に勧められ、生まれて初めて“ハイライト”なるものをしてみた。

“ハイライト”と言うと、染めた髪の中に、金髪っぽいラインが入るイメージだったのだが、もっと自然で、ツヤと立体感が出る仕上がりになっていて、満足だった。ただハイライトだけで8,000円という価格にはちょっとびっくりしたけれど。これは毎回はやってられないな、と思った。

最近はこの美容院に行った後、近くの百貨店に入っているベトナム料理屋でブン・ボー・フエ、と言ううどんみたいな麺の牛すじ煮込みスープの麺を食べるのがお決まりのパターンになっていた。何回食べても飽きない味。この店の麺は素麺みたいな細さだが、本当はどれくらいのものなのか、今度現地に言ったら食べ比べてみたい。

美容欲も腹も満たされて、ミモザと翌日の送別会で渡す選別などを一通り買って買い物欲も満たされ、帰路に着く。

最寄り駅に着くと、もうあたりは暗くなっていた。行きで乗った上りのエスカレーターを、今度は降りようとして、“ヒッ”と声が出そうになり、上半身が冷たくなるのを感じた。

私の目の前には、朝と全く同じ服を着たあの女性が、私と同じように帰路についていたのだ。



おかえり。


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